タイでは2020年3月にAISが5Gサービスを開始し、ソフトバンクが2021年8月から5Gローミングを提供するなど5Gの普及が始まっています。タイではスマートフォンの1番人気はサムスン電子ですが、わずかな差でXiaomiが迫っており、Appleも新型iPhone登場直後は販売数を大きく伸ばしています。そしてこの3社にOPPOとvivoを加えた5社が上位を占めている状況です。各社の5Gスマートフォンの販売数も伸びているといいます。
5Gスマートフォンは日本円で2〜3万円程度のものも登場していますが、4G端末と比べるとまだ高価です。そこでAISは格安の5Gスマートフォンを自社販売し、5Gユーザー拡大に努めています。AISが販売する「R1 5G SA」は定価5690バーツ(約2万1000円)、しかしプリペイドプランと組み合わせると大幅に安く買うことができます。
R1 5G SAはRUIOの製品です。RUIOとは聞いたことのないメーカーですが、ネットで調べてみると中国キャリアのChina Mobile(チャイナモバイル)の端末関連子会社「China Mobile Group Device」がこのRUIOのスマートフォンを数機種取り扱っています。AISも、もしかするとChina Mobile経由でこの端末を輸入しているのかもしれません。
価格が安いことからスペックも低く、プロセッサはUNISOCのT740(T7510)、5Gの対応バンドはn41のみという割り切った設計です。しかし方式はアンカーにLTEを使わない5G NRのSA。なお端末のモデル名にあるSAは、このSA方式に対応していることを表しています。
ディスプレイは6.5型(720×1600ピクセル)、カメラは1600万画素、バッテリーは4400mAhと性能はエントリーレベル。本体もプラスチック製で背面にはケースをつけないと傷が付きやすいように感じます。
全体の動作は緩慢ということはないものの、アプリの切り替えなどでややもっさりすることがあるなど、価格相応の製品といえそうです。とはいえ、SAに対応して実売1万円台で買えることを考えると、お得な製品といえるのではないでしょうか。なお価格が安い分、SIMロックはかかっています。
スマートフォンの性能で一番気になるのがカメラですが、UI(ユーザーインタフェース)はシンプルでモードの切り替えは写真、動画、その他の3つのみ。写真はデジタル8倍望遠に対応しますが、まあ1倍で使うのがいいところでしょう。その他のモードには連写やナイトモード、マニュアル設定できるプロモードも備えます。
写真を撮影してみましたが、日中であれば十分と思います。撮影当日は曇天でしたが、風景や街中の写真を撮る分には十分使えそうです。
マクロレンズも備えるものの、200万画素なので食事の写真は標準カメラで思いっきり寄って撮影してみました。あまり近寄れないものの、それなりに撮ることができます。まあカメラを売りにしたスマートフォンではありませんから、SNSで日々の生活の様子をシェアする用途に使う、といったところでしょう。
ナイトモードは厳しく、夜景撮影は割り切って使うのがよさそうです。
東南アジアも各国で5Gが始まっていますが、5Gユーザーを増やすためには中国メーカーの製品よりもさらに安い「激安5Gスマホ」が必要となるでしょう。R1 5G SAのようなキャリア売りの5Gスマートフォンは、これから他国でも増えそうです。
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