ここまで、楽天モバイルの新プランについてやや厳しい見解を述べてきました。しかし、先にも触れた通り楽天モバイルを使い続けるべき、あるいは楽天モバイルに乗り換えるべきユーザーもいるはずです。そのようなケースをもう少し深掘りしてみましょう。
何度も言っていますが、Rakuten UN-LIMIT VIIは月間20GB以上通信する人にとってコストパフォーマンスが良いプランであることに変わりありません。
日常の行動範囲の大半が楽天モバイルの自社エリア内で、かつデータ通信量が月間20GBでは足りないという人には、Rakuten UN-LIMIT VIIがお勧めです。当日中にたくさん通信した場合の速度制限が気になるという人もいるかもしれませんが、筆者の実測で3Mbps程度は出るので、大抵のWebサービスは問題なく使えます。
現行のRakuten UN-LIMIT VIと新しいRakuten UN-LIMIT VIIを比べた場合、毎月のデータ通信量が1GB以上になる人は支払い額は変わりません。毎月の通信量を見直してみて、1GBを下回る月がないという人は、そのまま使い続けても問題ありません。
Rakuten UN-LIMIT VI/VIIではコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を利用できます。このアプリを使うと、国内宛の音声通話(電話)を無料で発信できます(※1)。
「SNSの時代」とはいえ、電話をする機会が多いという人もいます。音声通話をたくさんする人は、節約目的でRakuten UN-LIMIT VIIを契約し続けることもアリでしょう。
(※1)対象外の電話番号もあります
このほか、国内通話が無料になる「Rakuten Link」を多用することで通話料金を節約している(あるいはできる)方も、音声通話料金または通話定額オプションの料金を節約できるメリットがあります。
楽天モバイルからの転出を考えるユーザーは、料金面よりもエリアが狭いことに不満を感じるケースが少なくないように思います。「月額0円なら、エリアが狭くてもガマンする」という声が少なからずあったことからも、そのことは察せます。
確かに、楽天モバイルの自社エリアは日々拡大しています。しかし、三木谷浩史会長(楽天グループ社長)が「大阪駅前で驚愕(きょうがく)のスピードが出る」と太鼓判を押していたJR大阪駅では、駅前付近は5G接続となる場所も多いものの、駅に直結する商業施設の高層階では圏外になるなど、大手3社のネットワーク整備と比べると見劣りする点は理解しておく必要があります。
楽天モバイルとしては、国内のローミングパートナーであるKDDIへのローミングに伴うコスト負担を抑え、少しでもコストを削減したいという思いもあるでしょう。そのためには、楽天モバイルの自社ネットワークを整備し、より多くのユーザーに、ストレス無く多くのデータ通信を使わせることで、ARPU(ユーザー当たりの平均収益)をあげていく必要があります。
新料金プランは、楽天モバイルにとってコストパフォーマンスが悪いユーザーをある意味で"切り捨て"する方針とも言えますが、料金プランの刷新によって楽天モバイルを使い続けるユーザーにとって、より良いサービスに発展していくことを願っています。
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