「Rakuten UN-LIMIT VII」徹底解説 「0円廃止」でも楽天モバイルに残るべきユーザーは?5分で知るモバイルデータ通信活用術(3/4 ページ)

» 2022年06月16日 15時00分 公開
[島田純ITmedia]

楽天モバイルユーザーの争奪戦が始まった

 楽天モバイルがRakuten UN-LIMIT VIIを発表した直後、povo2.0やLINEMOなど、MVNOを含む一部キャリアにおいてMNP契約を含む新規契約の手続きに遅延が生じました。一部のキャリアでは、契約手続きを担当する係員を増やして対応したそうです。

 タイミング的に、WebやTVを通して発表内容を知った楽天モバイルのユーザーが「0円からじゃなくなるなら……」と、他社へと転出したものと思われます。実際に、取材に対して「楽天モバイルからの乗り換えが増えている」と回答したキャリアもあるそうです。

povo2.0 povo2.0では、MNPを含む新規申し込みが殺到した結果、本人確認手続きが追いつかず契約手続きに遅延が生じました(現在は解消しています)

 Rakuten UN-LIMIT VIIは7月1日にスタートする予定で、記事掲載時点でおよそ半月の猶予があります。また、7月と8月は月額料金の1081円引きで、9月と10月は1080円分の楽天ポイント(期間限定)の付与でRakuten UN-LIMIT VIと「実質同額」で使える激変緩和措置も発表済みです。もっといえば、1GB超の通信をする人、あるいは同一名義の2回線目以降の月額料金に変更はありません。

 Rakuten UN-LIMIT VII、「楽天市場」での買い物などでたまるポイントが+1倍、「楽天会員」のランクがダイヤモンドであればさらに+1倍(それぞれ毎月1000ポイントが上限)という特典や、新規契約者を対象に「楽天マガジン」を始めとする楽天サービスが実質無料となる特典が適用されます。

 それでも、始まる前から楽天モバイルからの離脱が起こっているということは、Rakuten UN-LIMIT VIIが魅力的なプランではない、あるいは月額0円で維持できないなら楽天モバイルでなくてもいいと考えている人が少なからずいるということなのだと思います。

激変緩和措置 Rakuten UN-LIMIT VIIへ移行することに伴い、既存ユーザーに対しては10月まで実質同一料金で使えるようにする措置を行うことなっています。それにも関わらず、ユーザーの流出が始まってしまったのはどう見るべきなのか……

 生活圏が楽天モバイルの自社エリア外、つまりau 4G LTEエリアへのローミングを利用しているユーザーには、他にも注目すべきポイントがあります。7月1日から国内ローミング用の「データチャージ」が1GB当たり110円値上げされるのです。

 Rakuten UN-LIMIT VI/VIIでは、国内ローミングにおいて1カ月当たり5GBまで高速通信できます。これを超過した場合、au 4G LTEエリア内での通信速度が翌月まで上下1Mbps程度に制限されます。データチャージを購入すると制限を解除できるのですが、110円の値上げは想像以上に負担感が大きいと思われます。

 楽天モバイルがKDDIに支払うローミング費用は、楽天グループ(楽天モバイルの親会社)の連結決算に大きなマイナス要素になるほどの負担だとされています。ローミングの順次廃止と並行して、「月額無料の廃止」と「データチャージの110円値上げ」を行うことで楽天モバイルの収益は大幅に改善することになるでしょう。ただ、いずれの収益改善策も金額だけで見ればユーザーに不利益を与える形になってしまっていることは否めません。

 台所事情を考えると致し方ないことは理解できるのですが、競争環境に合わせてユーザーに有利になる通信料金の見直しなどが行われなかった点は非常に残念です。

値上げはここにも 「月額0円から」の廃止に注目が集まりすぎている所ですが、7月1日からは国内パートナー回線エリアで利用できるデータチャージの料金が1GB当たり110円値上げされます

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