世界を変える5G
インタビュー
» 2022年06月22日 08時00分 公開

「端末としての利益はほぼ出ない」 トーンモバイルが約2万円で5Gスマホを提供する狙いMVNOに聞く(1/3 ページ)

ドコモのエコノミーMVNOに参画したトーンモバイルが新たに投入した5Gスマートフォンが「TONE e22」だ。さらに、「5G時代のスマホ生活を先取りできる実証実験」として、「TONE Labo」も開始した。実証実験のため料金は無料で、加入すると1万円の端末割引を受けられて2万1780円で購入できるが、端末としての利益はほぼでないという。

[石野純也,ITmedia]

 2021年12月にドコモのエコノミーMVNOに参画したトーンモバイルだが、サービス内容はその後も矢継ぎ早に進化させている。2022年2月には、当初iPhone用だけだったサービスをAndroidにも拡大。トーンモバイル自身が手掛ける端末を、取り次ぎ販売で提供することで、もともと同社が得意としていた垂直統合型のサービスを実現した。そんなトーンモバイルが、新たに投入したのが5G対応モデルの「TONE e22」だ。

トーンモバイル 5Gに対応したトーンモバイルのスマートフォン「TONE e22」。実証実験を兼ねたサービス「TONE Labo」に加入すると、1万円引きの2万1780円で購入できる

 TONE e22は、6.67型のフルHD+ディスプレイを搭載したミッドレンジのスマートフォン。プロセッサには、MediaTekの「Dimensity 700」を採用しており、レスポンスも向上させた。メインカメラのセンサーは4800万画素。ワイヤレス充電にも対応する。トーンモバイルが得意とする独自のソフトウェアも、TONE e22に合わせてアップデートしており、同社の端末をハブにしてファイルを交換できる「OneDrop2.0」を内蔵した。

 さらに、「5G時代のスマホ生活を先取りできる実証実験」として、「TONE Labo」を開始。これは、医師などに健康相談ができる「TONE Care」や、ブロックチェーンを活用したポイントシステムの「TONE Coin」などをパックにしたもの。実証実験のため料金は無料で、加入すると1万円の端末割引を受けられ、2万1780円(税込み)で購入できる。トーンモバイル初の5G端末を開発した狙いはどこにあるのか。フリービットで代表取締役社長CEO兼CTOを務める石田宏樹氏に話を聞いた。

TONE e22の予約件数は過去一番よかった

―― 6月1日にTONE e22が発売になりました。直後のインタビューですが、発表後からの反響も含めて現状の動向を教えてください。

石田氏 予約件数は、過去一番よかったですね。Webでポンと跳ねましたが、店舗は週末(インタビューは6月2日に実施した)からだと思っています。ここまで作り込めるようになったのは初めてで、まずお店の方からの反応が全然違います。昨日も大きなドコモショップに行きましたが、特徴をきちんと分かっていただけていました。

 ただ、店舗によってはまだ前モデルが展示されています。基本的には週末(6月4日)に置き換えていきますが、ドコモショップの中には、まだトーンモバイルをあまりご存じでない店舗もあります。うちの母が田舎でドコモショップに行ったら、「トーンモバイルって何ですか?」と聞かれてしまい(笑)。ドコモのメカニズムで研修は相当やりましたが、まだそういうところも残っています。

トーンモバイル フリービットの石田宏樹社長

―― 2400店舗もありますからね。3割減ってしまうようですが……。その影響はありますか。

石田氏 店舗が減ったとしても、もとの数よりは増えるので(笑)。エコノミーMVNOを始めて、100店舗から一気に24倍に増えましたが、そのインストールがまだ終わっていない状態です。中央部は対応が早いのですが、そうでないところに対しては、今からレクチャーをしていく形です。先日も、900人ぐらいのショップの方に対してレクチャーできる場を作っていただきました。ドコモにとっての繁忙期にAndroidを売り始めたこともあり、優先順位を取るのがちょっと難しかった。それを、今やっていただいています。それもあって、2400店舗のマックスパワーはまだ分かっていない状態です。

トーンモバイル ドコモショップで取り扱われることで、トーンモバイルの取り扱い店舗は飛躍的に増加した

TONE Coinをどう受け入れてもらえるかが一番難しい

―― TONE e22の話に戻りますが、この端末の特徴を教えてください。1世代前のモデルから、どういう点を主に進化させたのでしょうか。

石田氏 ベースのところで言うと、CPUを上げてバランスを取り、5Gに対応しました。日本のスペックとして入っていないのは、防水とFeliCaぐらいです。TONE Coinを動かすという戦略があったため、それに基づいてメモリなりストレージなりを最適化していきました。

―― ブロックチェーンを動かすことをベースにスペックを決めていったということですね。

石田氏 端末は3年なり、4年なり使う方が多い。5Gや5G SAでどういうアプリや利用方法があるかを考えた中の1つとして、ブロックチェーンがありました。今回は実験段階として使えるようにしていますが、チップセットにはセキュアエレメントに準ずるものが入っています。チップセットメーカーともいろいろとやりとりをして、その中で使えるものを実装しました。そこは普通とは違うところですね。

―― その1つがTONE Coinです。

石田氏 あれは7年ぐらいかけてやってきたプロジェクトで、やっと世に出せるようになりました。実際、あれをどう受け入れてもらえるかが一番難しいところです。割引を入れたのもありますが、初日の申し込みで言うと、100%がTONE Laboに加入しています。

―― コインの使い道として、dポイントとの変換ができるとリアルな店舗でも使えて面白いなと思いました。

石田氏 さあ、どうでしょう(笑)。エコノミーMVNOに参画した意義として、ブロックチェーンのようなことは試してみたいというお話は(ドコモと)していました。これからどうなるかは分かりませんが、そうなればすごくいいと思っています。

―― 初期設定だと充電状態のみ、コインがたまる仕組みですが、常時動かすとどのぐらいバッテリーを消費するものなのでしょうか。

石田氏 そこまで(の消費)はありません。ブロックを生成するタイミングなどの最終調整をしていますが、それによってもバッテリーの持ちが大きく変わってきます。発表会では1時間あたり3%ぐらいと申し上げていましたが、今時点で1〜2%ぐらいです。ただし、そのときに接続しているのがWi-Fiなのか、4Gなのか5Gなのかでも、バッテリーの消費量が違います。フルに5Gで動かすと3%ぐらいですね。それもあり、チャージ中だけにするか、フルで動かすモードにするかは、お客さまが選べるようにしています。

―― コインはどの程度たまるのでしょうか。

石田氏 人数によります。母数がどのぐらいかによって、中のアルゴリズムが変わる構造で、少ない時には取得する量が減ります。ただ、少なくともトーンモバイルの支払いでたまるdポイントよりはたまります(笑)。そこは結構ビックリするところだと思います。

トーンモバイル ブロックチェーンを活用してポイントをためられる「TONE Coin」。ためたコインはトーンモバイルの支払いに利用できるようになる予定

―― 収益はどう上げていくのでしょうか。

石田氏 ポイントシステムは、もともと分散型の仕組みで動いています。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のCIO(チーフ・イノベーション&インフォメーション・オフィサー)をやっていたのでよく分かりますが、ポイントシステムは巨大で、セキュアにするのはコストがかかります。それだけを考えても、(TONE Coinは)採算が合います。その上で、ブロックチェーンのプロジェクトを動かし、いろいろなことができます。

 ブロックチェーンは産業用に使われていかなければならないと思いますが、今までは仮想通貨やNFT以外の使い道がありませんでした。原因として同じことをオンプレ(オンプレミス、自前運用の意)でやった方が安いということもありましたが、そうでない使い道としてポイントシステムがあります。

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