iPhone⇔Androidで「LINE」のトーク履歴引き継ぎが可能に でもどうして“直近14日間”限定?

» 2022年06月29日 19時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 既報の通り、LINEのコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」に「かんたん引き継ぎQRコード」という新機能が追加された。また、アカウント情報の引き継ぎ時に直近14日間のトーク履歴を自動的に引き継ぐ機能も搭載された。自動引き継ぎ機能は、従来は全く対応していなかったiPhone(iOS)とAndroidという異なるプラットフォーム間での引き継ぎも可能だ。

 しかし、プラットフォームをまたぐ場合、直近14日間を超えるトーク履歴は引き続き引き継げない。「直近14日間でも、できるようになっただけマシ」と見ることもできるが、多くのLINEユーザーにとって、この仕様はAndroidスマートフォンからiPhone、あるいはiPhoneからAndroidスマートフォンへの乗り換えに当たっての大きな障壁となっている。

 なぜ、このような仕様になったのだろうか。LINEの広報担当に聞いた。

【追記:7月1日16時30分】「どうしても残したい!」というトーク履歴を残す方法を追記しました
【追記:7月1日19時40分】直近14日間のトーク履歴の引き継ぎがQRコードを使わなくても自動で行われることを踏まえて、本文の一部に加筆を行いました

新アプリの画面 バージョン12.10.0以降のLINEアプリでは、ログイン時に「QRコードでログイン」を選べるようになった(画像はiOS版)
QRコード 移行元のスマホでは専用のQRコードを表示して移行を待ち受ける

制約は全て“技術的な理由”

 おもなやりとりは以下の通り。なお、分かりやすくするために、一部に追記や表現の変更を行っている。

―― かんたん引き継ぎQRコードで引き継げる「直近14日間のトーク履歴」なのですが、これは「直近14日間にやりとりしたトークの履歴」という理解で良いですか。

LINE広報 その通りです。直近14日間にやりとりをしたトークの履歴を自動的に引き継げます

―― なぜ「直近14日間」なのでしょうか。ユーザーの利便性を考えると、もう少し期間を広く取った方が良い思うのですが……。

LINE広報 技術的な理由によって、トーク履歴を引き継げる期間を限定しています。

―― 異なるプラットフォーム間で“完全な”トーク履歴の引き継ぎができないのはなぜでしょうか。これが理由で、プラットフォームをまたぐスマホの買い換えができないという声を少なからず耳にするのですが……。

LINE広報 トーク履歴の保存は、プラットフォームによって保存先が異なります。そのため引き継げません。(筆者注:iPhone版は「iCloud」、Android版は「Googleドライブ」に保存している)

保存 Android版アプリはGoogleドライブに、iPhone版アプリはiCloudにトーク履歴を保存する。それぞれのプラットフォームにおいて一番簡単に利用できるクラウドストレージを採用したがゆえに、プラットフォームをまたぐトーク履歴のやりとりが困難になってしまった

状況は改善するも抜本的解決には至らず

 LINEアプリでは従来、プラットフォームをまたがるトーク履歴の引き継ぎが一切できなかった。かんたん引き継ぎQRコード機能が実装されたことで、直近14日間という制約があるものの、プラットフォームをまたがってトーク履歴を継承できるようになった。

 とはいえ、“どうしてもなくしたくない”トーク履歴もあるはずだ。そのような場合、現状では同じプラットフォームのスマホでLINEを使い続けるしかない。「テキストだけでも……」という場合は、以下の手順でトーク履歴のテキストファイルを生成することはできる。ただし、新しい端末におけるトーク履歴としてインポート(取り込み)はできないので注意しよう。

  1. 保存したいトークの画面を開く
  2. ハンバーガーアイコン(横3本の棒状のアイコン)をタップ
  3. 「その他」をタップ
  4. 「トーク履歴を送信」をタップする
  5. テキストファイルを送信する方法(アプリ)を選ぶ

 LINEアプリはスマホに関する知識が少ない人、言い換えればリテラシーの低い人でも使いやすいことを重視しているように思える。しかし、プラットフォームをまたがるトーク履歴の継承が現状でも困難なことからも分かるように、使いやすさを重視したがゆえにかえって使いづらい面も出てしまっている。言葉を選ばずにいえば「LINEアプリの『中の人』はLINEアプリを使って困ることはないのか?」と疑問に思うこともよくある。

 「使っている人が多いということ」と「不満が少ない(ない)こと」は、必ずしもイコールではない。使っている人が多いアプリだからこそ、“コミュニケーションアプリ”として、地道な改善を積み重ねていってほしいと思う。

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