ドコモショップを3割削減する方針を明らかにしているNTTドコモ。単に削減するだけでなく、リアル店舗とリモート店舗を融合させた「ハイブリッド店舗」の推進を目指しているという。その意図はどこにあるのか。また、ショップの役割は今後、どのように変わっていくのか。6月に実施した井伊基之社長のインタビューをお届けする。
―― ドコモショップで、エコノミーMVNOを含めて複数商材を扱うことの混乱もあると思います。ドコモのプランだと思ってOCN モバイル ONEを契約したらキャリアメールが使えなくなって困ったという話も耳にしました。ショップスタッフの教育も含め、どのように交通整理していくのでしょうか。
井伊氏 ショップで売ったらインセンティブを支払うというのがもともとの役割です。品ぞろえが増えることは必要ですが、もちろん勉強してもらって商品知識は身に付けてもらわないといけない。お客さんに、取り扱う商品のスペックをいかに正確に説明できるか。そこを間違えると、メールを使える、使えないとか、お客さんとの食い違いができてしまう。われわれもインセンティブを払っているので、そこはプロの対応をしていただいきたい。
今は対前年(2021年度)でお客さんの来店が3割ほど減っています。これは恐らく、オンラインで買うお客さんが増えたのと、スマートフォンの買い換えサイクルが伸びたからだと思っています。だから今は放っておくと、お客さんがあまり来ないので売れない。今は外のモールで出張販売をしたり、量販店に人を出したりして売っているんですよ。ショップが今、混んで仕方がないかといえば、そうではなくて、空いているんです。
―― コロナ禍の影響もあるんでしょうか。
井伊氏 いや、オンラインだと思いますよ。ahamoもそうですし、ドコモオンラインショップでも申し込みができて端末も買えますし。オンラインリテラシーのある人は、行くのが面倒だから、オンラインで済まそうというのが進んだのかなと。
―― 3割減らすという方向性は変わらない。
井伊氏 変わらないですけど、なぜかメディアの方は、減らすことばかり報道される。3割分の仕事をオンラインに変えてください、とお願いしているんですよ。店頭のフェースツーフェースの仕事を7にして、オンライン上の仕事を3作ってもらえれば、全体が変わらない。そのバックにいるのがショップのスタッフなんです。
人が介在する新しい形態のオンラインショップをやろうとしているのですが、そこが伝わっていないんですよ。自分で全てを選ぶ(従来の)ドコモオンラインショップのやり方じゃなくて、ショップスタッフがお客さんのスマホに出てきて、「何ですか?」とお手伝いをする。そのオンラインでの仕事にシフトしてくださいと言っているわけです。別にスマホだけじゃなくて、ドコモでんき、dカード、他の商材のお問い合わせもそこに入ってくるし、契約をすれば、ショップにインセンティブを支払います。
バーシャルショップとリアルショップの両方を、同じスタッフ達で手分けしてやってくださいというのが目的です。結果としてリアル店舗はコストがかかるので、これを3割減らすことによって、彼らのコストが下がると思う。その分、あまりコストの掛からないバーチャル店舗で、同じスタッフに仕事をしてもらうという構造変革をお願いしているんです。
―― スタッフの方達の仕事がなくなるわけでは……。
井伊氏 ない。仕事が変わるわけですよ。今まで出社しないといけなかったのが、在宅でできるので、スタッフの人たちの働き方改革にもなります。
―― リモート店舗のプラットフォームのようなものは作っているのでしょうか
井伊氏 われわれが作って提供します。まだ作っている途中だと思いますけど。
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