スマートフォンの高性能化に伴い、修理費も高騰している。例えば、Appleの「iPhone 14 Pro」は、Apple Care+に未加入の場合、ディスプレイのひび割れの修理が5万800円。Googleの「Pixel 7 Pro」も、補償サービスに入っていないと、ディスプレイ修理は4万480円かかる。ハイエンドモデルを買い直すのに比べればそれでも安い一方で、ミッドレンジモデルが手に入るほどの価格になっている。スマートフォンが高額化する中、今や補償サービスへの加入は必須といえる状況だ。
そんな中、ドコモは9月に「ケータイ補償サービス」をリニューアルし、以降発売される端末に向け、「smartあんしん補償」を開始した。同サービスは、ケータイ補償より一部モデルでの月額料金を下げつつ、補償の範囲を広げたのが特徴。テレビやPC、タブレットなどの修理代を補償する「イエナカ機器補償」や、スマホ決済の不正利用を補償する「スマホ不正決済補償」、さらには携行品が対象になる「携行品補償mini」が付帯する。
最短で当日にはリフレッシュ品が手に入るサービスの手厚さで人気を博していたケータイ補償サービスだが、なぜドコモはあえてここに手を加えてきたのか。同社の営業本部 アフターマーケットビジネス部 戦略・企画担当部長の和田真澄氏と、戦略・企画担当主査の山田貴大氏に、狙いを聞いた。
smartあんしん補償は、ケータイ補償サービスの後継として登場した補償サービスだ。2022年9月1日以降に発売された端末が対象で、iPhone 14シリーズはもちろん、サムスン電子の「Galaxy Z Fold4/Flip4」やソニーの「Xperia 5 IV」といったAndroidのスマートフォンも、加入できるのはsmartあんしん補償になる。大きく分けると、特徴は2つある。1つが、一部の端末で月額費用を下げたことだ。ハイエンドモデルで補償サービスに入る場合、この恩恵にあずかれる。
例えば、iPhone 14 ProやGalaxy Z Fold4の場合、料金は990円(税込み、以下同)。それぞれの先代モデルとなる「iPhone 13 Pro」や「Galaxy Z Fold3 5G」ではケータイ補償サービスに入ることができたが、料金は1100円だった。最高額の月額料金がかかるモデルに関しては、月あたり110円の値下げになっている。仮に2年で機種変更すると仮定し、それまで補償サービスに入り続けた場合、料金は2640円安くなる。
【訂正:2022年10月22日22時45分 初出時、ケータイ補償の料金に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
それより下のカテゴリーに区分される端末の料金は825円、550円と、ケータイ補償サービスと同額だが、これら3つに加え、330円プランも新設された。現状では、330円プランが適用される端末が発表されていないが、「デバイス自体は既に発表されている」(和田氏)という。基本的には、端末の価格に応じて4つの中から月額料金が決まるといい、「お求めやすいデバイスに関しては、補償プランもお求めやすくなる」(同)。
金額が変わったとはいえ、ここまではケータイ補償とほぼ同じ。「正直件数がそんなになかった」(同)こともあり、一部地域でリフレッシュ品を即日配送するサービスはなくなったが、スマートフォンそのものの修理代や交換代を大幅に抑える仕組み自体は変わっていない。
smartあんしん補償の独自性は、どちらかといえばその特典にある。1つがイエナカ機器補償だ。これは、テレビやPC、タブレットなど、ユーザーが自宅で利用することを前提にした機器を補償するサービス。テレビやPCなら7万円、タブレットなら4万円、ゲーム機なら3万円と上限は設けられているものの、家族の使う機器までカバーされており、適用範囲は広い。PCに関しては、データ復旧が別枠で5万円まで補償されるのも、うれしいポイントといえる。
もう1つが、いわゆるスマホ決済の不正利用をカバーするスマホ不正決済補償だ。こちらは、不正アクセスなどで使われってしまったお金を、100万円まで補償する。ほとんどの決済サービスは、独自に補償を実施している一方で、「一部の決済事業者は上限が10万円ほどに設定されている」(山田氏)。さらに、「一般的には、被害に遭ってから60日か90日までしか補償を受けられないが、われわれは365日の期間を設けているので、この部分で大半のユーザーをカバーできる」(同)。
3つ目が、携行品補償mini。名前にminiとついているように、補償額は最大1万円と少ないが、対象が広いのが特徴だ。デジカメやバッグといった持ち物の損害に保険金が支払われる。自転車やラジコン模型、ノートPC、ゴルフ用品など、保険の対象外になるアイテムはあるが、「補償の対象外になる項目は書いてあるので、それ以外が対象になると思っていただければいい」(同)という。あえて対象のアイテムを明記していないのは、「幅広くなりすぎてしまい、書ききれない」(同)ためだ。
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