世界を変える5G

実は”史上初”を多数実現 MediaTekのハイエンドスマホ向け「Dimensity 9200」はどんなプロセッサ?Wi-Fi 7にも対応可能(2/2 ページ)

» 2022年11月28日 18時30分 公開
[井上翔ITmedia]
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ミリ波5G対応で実効最大速度は7.9Gbpsに

 Dimensity 9200は、通信面でもハイエンドらしい強みを発揮する。

 統合された5GモデムはSub-6(6GHz以下の帯域)とミリ波(28GHz帯)双方の通信に対応する。その性能は「世界級」をうたっており、ミリ波のビームフォーミング利用時のスループットは、従来比で最大25%向上しているという。

 また、ミリ波の8波キャリアアグリゲーション(CA)、Sub-6の4波CAにも対応しており、Sub-6とミリ波の同時通信も可能で、下りのスループットは最大7.9Gbpsにもなるという(実際の通信速度は状況によって変動する)。

5G 5G通信はSub-6とミリ波(mmWave)の両方に対応する。機械学習ベースのAI(人工知能)を活用したビームフォーミングなど、通信の高速化を図る技術を投入することで、5G通信時の最大スループットは下り7.9Gbpsとなった

 Wi-Fi通信については、先述の通り「Wi-Fi 7対応準備」を果たしている。ただし、筆者注にも記した通り、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11be規格の無線LANは、“まだ”規格の策定作業中で、現時点では「ドラフト(暫定規格)」を「2.0」から「3.0」に進める作業を進めている状況である。確定版の規格は、2024年5月以降に登場する見込みとなる。

 Dimensity 9200のWi-Fi 7対応が“準備”とされているのは、このような背景に基づく。ただし、過去の事例を踏まえると、規格策定作業において大幅な仕様変更が行われることがない限り、その“準備”がムダになることはないはずだ。

 加えて、Dimensity 9200はBluetooth 5.3にも対応している。新たに登場したワイヤレスオーディオ規格「Bluetooth LE Audio」や、同規格がサポートする音声の一斉配信機能「Auracast(オーラキャスト)」もサポートする。

 最新のフラグシッププロセッサだけあって、無線まわりも“最強”を目指したようだ。

Wi-FiとBluetooth Wi-Fi(無線LAN)とBluetoothも、最新スペックに対応している
Wi-Fi 7 繰り返しだが、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11be規格の無線LANは、まだ“ドラフト”という位置付けで、現在ドラフトのバージョンを3.0とする作業が進められている。「デバイスがあっても、アクセスがなくては……」ということもあって、MediaTekは2023年からIEEE 802.11be対応のアクセスポイント/ルーター用チップセットの供給を開始する予定となっている。米ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2023」において、Wi-Fi 7のデモンストレーションも披露する予定だという
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