Dimensity 9200は、通信面でもハイエンドらしい強みを発揮する。
統合された5GモデムはSub-6(6GHz以下の帯域)とミリ波(28GHz帯)双方の通信に対応する。その性能は「世界級」をうたっており、ミリ波のビームフォーミング利用時のスループットは、従来比で最大25%向上しているという。
また、ミリ波の8波キャリアアグリゲーション(CA)、Sub-6の4波CAにも対応しており、Sub-6とミリ波の同時通信も可能で、下りのスループットは最大7.9Gbpsにもなるという(実際の通信速度は状況によって変動する)。
5G通信はSub-6とミリ波(mmWave)の両方に対応する。機械学習ベースのAI(人工知能)を活用したビームフォーミングなど、通信の高速化を図る技術を投入することで、5G通信時の最大スループットは下り7.9GbpsとなったWi-Fi通信については、先述の通り「Wi-Fi 7対応準備」を果たしている。ただし、筆者注にも記した通り、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11be規格の無線LANは、“まだ”規格の策定作業中で、現時点では「ドラフト(暫定規格)」を「2.0」から「3.0」に進める作業を進めている状況である。確定版の規格は、2024年5月以降に登場する見込みとなる。
Dimensity 9200のWi-Fi 7対応が“準備”とされているのは、このような背景に基づく。ただし、過去の事例を踏まえると、規格策定作業において大幅な仕様変更が行われることがない限り、その“準備”がムダになることはないはずだ。
加えて、Dimensity 9200はBluetooth 5.3にも対応している。新たに登場したワイヤレスオーディオ規格「Bluetooth LE Audio」や、同規格がサポートする音声の一斉配信機能「Auracast(オーラキャスト)」もサポートする。
最新のフラグシッププロセッサだけあって、無線まわりも“最強”を目指したようだ。
繰り返しだが、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11be規格の無線LANは、まだ“ドラフト”という位置付けで、現在ドラフトのバージョンを3.0とする作業が進められている。「デバイスがあっても、アクセスがなくては……」ということもあって、MediaTekは2023年からIEEE 802.11be対応のアクセスポイント/ルーター用チップセットの供給を開始する予定となっている。米ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2023」において、Wi-Fi 7のデモンストレーションも披露する予定だという
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