「iPhone 14 Plus」は失敗だったのか? 「減産」の報道に思うこと

» 2022年12月11日 12時00分 公開
[山本竜也ITmedia]

 Appleが9月に発売したiPhone 14シリーズ。2022年は、iPhone 12、iPhone 13でリリースされていたminiが廃止され、代わりに新しくiPhone 14 Plusが導入されました。ただ、このiPhone 14 Plus、発売直後から不振が伝えられており、かなり苦戦が強いられているようです。

iPhone 14 Plus iPhone 14(左)とiPhone 14 Plus(右)

iPhone 14 Plus発売から2週間足らずで減産の報道

 他モデルから少し遅れて10月7日に出荷が始まったiPhone 14 Plusですが、2週間足らずで減産が報じられていました

 10月末には、Apple関連の情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏も、iPhone 14/14 Plusを生産していたPegatronとLuxshare ICTの生産ラインをiPhone 14 Proと14 Pro Maxに切り替えるとツイートしています。

 このツイートに関しては、iPhone 14 Pro/14 Pro Maxの需要が高く、またその生産が中国のゼロコロナ政策の影響を受けているため、低調なiPhone 14/14 Plusの生産ラインを振り分けるという意味で、直接的にiPhone 14 Plusが不調だからということではありません。ただ、iPhone 14シリーズの予約が開始された段階で、iPhone 14 Plusの予約は予想を大幅に下回っており、「今年は標準モデルに対するApple の製品セグメンテーション戦略が失敗した」と自身のブログで述べていました

日本ではランキングのトップ50にも姿を見せず

 実際のところ、どれほど売れていないのか。Appleは詳細な情報を公開していませんし、各調査会社による分析も第4四半期の結果を待ってからということになりそうです。日本国内の場合はというと、BCNの11月の月間ランキングを見ると、iPhone 14 Plusは50位以内にも登場していません(iPhone 14 Pro Maxも出てこないのですが)。

 日本では小型のiPhone 12 mini、13 miniに一定の人気があるといわれており、これだけを見るとminiを廃止してPlusに切り替えたのは失敗だったのではないかと思えます。ただ、11月のBCNランキングでは、iPhone 13 mini 128GBのドコモ版が30位、ソフトバンク版が42位、au版が45位と、日本でも売れているとは言いづらい状況です。

 また、米市場調査会社CIRPが4月に公開した2022年3月期のデータによると、米国ではiPhone 12 mini、13 miniは低迷しており、シェアはそれぞれ3%にとどまっています。なお、米国で最も売れていたのはiPhone 13で、そのシェアは38%とのことです。

iPhone 14 Plus 米国ではiPhone 12 miniとiPhone 13 miniのシェアは10%未満にとどまっている

 こうした状況をみると、miniを切り捨てるという判断をしたのも仕方がないところでしょう。

 miniに代わり投入されたPlusは、無印iPhone 14の画面を大型にしたモデルという位置付け。iPhone 11以降、大画面モデルは最上位のPro Maxのみとなっていましたが、その大画面をノーマルモデルで実現したともいえます。近年はスマートフォンが大型化しており、より安価に大画面モデルが手に入るなら人気になるはず、という思惑もあったのでしょう。

miniとは違う、微妙な価格設定

 なぜiPhone 14 Plusが不人気となったのかは、専門家による分析が待たれるところですが、一消費者である筆者の意見としては、価格設定が微妙だったのではと思っています。iPhone 12 mini/13 miniは、それぞれiPhone 12/13よりも安価に設定されていました。つまり、最も安い最新モデルだったわけです。少なくとも日本では、サイズが小さいからという以外にも、安いという理由でiPhone 12 mini/13 miniが選ばれていたのではないかと想像しています。

 これに対してiPhone 14 Plusはサイズが大きい分、iPhone 14よりも高価になっています。128GBモデルのApple直販価格(税込み)を見ると、iPhone 14の11万9800円に対し、iPhone 14 Plusは13万4800円と割高です。最安モデルを購入するなら、無印のiPhone 14を選択することになります。また、iPhone 14 Pro(128GBが14万9800円)との価格差も少ないので、iPhone 14 Plusを購入するなら、画面はわずかに小さくてもiPhone 14 Proを選ぶ人も増えそうです。

iPhone 14 Plus iPhone 14 Plusの価格はiPhone 14 Proよりは安いが、iPhone 14よりも高い

 結局のところ、iPhone 14 Plusが失敗だったのか、ある程度は予想通りだったのかはAppleのみぞ知るわけですが、次期iPhone 15にPlusがラインアップに加わるかどうかで判断できるかもしれません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年