Appleが9月8日(日本時間)に発表したiPhone 14シリーズ。その中には「mini」の姿はない。
miniはiPhoneのラインアップの中で最も本体と画面のサイズが小さいモデル。その名を冠したモデルが初めてラインアップに加わったのは2020年10月発表のiPhone 12シリーズだ。製品名は「iPhone 12 mini」で、5.4型のディスプレイを幅64.2mmのボディーに収めたモデルだ。
iPhone 12シリーズの登場から約1年後となる2021年9月にはiPhone 12 miniの後継となる「iPhone 13 mini」が登場。幅と高さはどちらも同じだが、iPhone 13 miniの奥行きはiPhone 12 miniよりも0.25mm増している。重さは8.5g重くなった。
それでも小型かつ軽量という特徴は大きく変わらない。
それだけでなく、ラインアップで最も手頃である点もminiの特徴となっている。
iPhone 13 miniは上位モデルのiPhone 13 Proと同様に、顔認証の「Face ID」や、マグネットで簡単にアクセサリーを取り付けできる「MagSafe」に対応する他、プロセッサは「A15 Bionic」を搭載しながら、価格は128GBで9万9800円(税込み)〜となっている。
ではなぜminiがiPhone 14のラインアップから姿を消したのだろうか? 主な要因として考えられるのは、miniの売れ行きが低迷したことだ。
米調査会社CIRP(Consumer Intelligence Research Partners)によると、iPhone 12シリーズの発売後2カ月間の販売台数において、iPhone 12 miniが占める割合は全体の6%にしか満たなかったという。2021年から2022年にかけては、iPhone 13 miniの米国における売り上げも芳しくないとの報道もあった。
一方の日本では、iPhone 13 miniに代表される小型スマートフォンの人気は高く、片手で握れるサイズ感を好むユーザーは多いだろう。
実際、iPhone 13 miniが“実質23円”で投げ売りされた記事を掲載したところ、価格や販売手法を含め読者の食いつきは良かった印象を受けた。
とはいえ、世界中のほとんどで同じハードウェアが使われるiPhoneは、いわば世界共通のスマートフォンといえる。細かい仕様は国によって違えど、ほぼ同じ特徴を持つiPhoneで、同じ体験ができる。そのため、「日本だけのために、わざわざminiを用意する」とは考えにくい。
iPhone 14シリーズでも期待されていたminiがなくなったのは、昨今の事情を踏まえると当然の流れだといえるだろう。加えて、幅67.3mmのiPhone SE(第3世代)が“小型iPhone”の役割も担っているので、あえてminiの新製品をリリースする必要がなくなったのかもしれない。
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