新ミッドレンジ「AQUOS sense7」開発秘話 カメラもデザインも大刷新を遂げた理由(1/3 ページ)

» 2023年02月08日 12時32分 公開
[石野純也,ITmedia]

 ど真ん中のスマートフォンを目指して開発されたシャープの「AQUOS sense」は、ミドルレンジモデル台頭の波に乗る形で、世代を経るごとに販売台数を伸ばしていった。日本では、Androidの中でトップクラスの売れ行きを誇る端末といえる。同シリーズの実績はシャープのシェア向上にも貢献しており、トップ争いをするメーカーの常連になった。一方で、ど真ん中ゆえに、どこか物足りなさが残っていたのも事実だ。優等生的な端末だが、一芸がないともいえた。

 そんなAQUOS senseシリーズのイメージを覆す1台になりそうなのが、2022年11月に発売された「AQUOS sense7」だ。同モデルは、カメラに最大の特徴があり、ミドルレンジモデルながら、一部ハイエンドモデルが採用していた大型の1/1.55型センサーを採用する。「AQUOS R」シリーズとは異なり、ライカカメラ社の監修は受けていないものの、その開発過程で得た絵作りのノウハウも、同モデルに注入されているという。デザイン面も、AQUOS Rシリーズに近づけ、AQUOSとしての共通イメージを抱きやすくなった印象がある。

AQUOS sense7 2022年11月に発売されたシャープのミッドレンジスマートフォン「AQUOS sense7」

 AQUOS sense7はなぜ大リニューアルを遂げたのか。シャープでAQUOSシリーズ全体を統括する通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏と、AQUOS senseシリーズを企画した商品企画部 課長の清水寛幸氏、カメラのソフトウェアを手掛けた第一ソフト開発部 係長の原竜也氏に話を聞いた。

AQUOS Rのノウハウを生かして「やりたかったことができる」カメラ

―― AQUOS sense7を使ってみて、カメラの写りが格段によくなっていたことに驚きました。なぜ、今回、カメラをここまで強化しようと思ったのでしょうか。

清水氏 必要十分、必要十分と何年も言ってきましたが、なぜAQUOS senseをやっているかというと、スマホのど真ん中を前に進めることが使命や役割だと考えているからです。スマホでご提供できる便利さや楽しさの真ん中を、さらに進めていきたい。その中で、22年モデルとしてど真ん中に何が必要かというと、やはりカメラです。

 これまでのAQUOS senseは、電池持ちや処理性能、スタイルに取り組んできましたが、世の中初めてのスマホから買い替える人も増えています。「最初だからお手頃価格の端末を買ったけど、次はもっと楽しみたい、自分なりに使いたい」という気持ちが高まっている人も増えています。その用途として、カメラのニーズは高い。それもあり、スタンダードとして、これでいいというぐらい楽しめるものにしました。

AQUOS sense7 商品企画部 課長の清水寛幸氏

―― ハードウェアとして、センサーも1/1.55型になっています。ハイエンドモデルでも採用されることのあるセンサーサイズですが、ここまで変えたのはなぜですか。

清水氏 そこはAQUOS Rの存在が大きかったですね。「AQUOS sense6」のときも画質調整には「AQUOS R6」のノウハウを生かしていました。sense6もsense5Gまでと比べるとすごくよくなってはいるのですが、今申し上げた、やりたかったことのレベルには達していませんでした。AQUOS Rは、R6から1型の大型センサーを搭載し、ライカカメラ社と協業することで、他とは違う存在感が出てきました。「AQUOSはこういうもの」という印象を持っていただきたかったので、スタンダードモデルでもこのカメラをやると決めました。

AQUOS sense7 先代のAQUOS sense6からセンサーサイズを66%大型化している

利便性を考慮して「センターカメラデザイン」を採用

―― ただ、AQUOS senseはハイエンドモデルと比べると比較的コンパクトなので、大きいセンサーを載せるのはなかなか大変だったのでは。実際はいかがでしょうか。

清水氏 構造のところで言うと、真ん中にカメラを載せるのは不利になります。左端の上に寄せている端末が多いのも、そういうことです。基板に置くためのレイアウトとして、とにかく効率をよくしようとすると、カメラを端っこに置き、余ったスペースに小さいものを配置していくことになります。

小林氏 本体の端には何も置けない領域があり、カメラの周りにも部品は置けません。ですから、端に置けば、“カメラの周り”が発生しなくなる。テクニカルには、左右のどちらかに寄せた方が効率はいいんです。ただ、カメラはやはり真ん中にあった方が撮影はしやすい。縦撮りがしやすいですし、バーコードを読むときにも読みやすい。私たちはセンターカメラデザインと呼んでいますが、これは撮りやすさだけでなく、メッセージ性を込めることも含めて苦労して作ったものです。

清水氏 (カメラを中央に配置した埋め合わせとして)手っ取り早いのは、バッテリーを減らしてしまうことですが、AQUOSは電池持ちを評価していただいているので、そこは譲りたくない。電池容量はAQUOS sense6をキープし、かつ厚みもなるべく増やさないよう、とにかくレイアウトを頑張りました。

AQUOS sense7 あえてカメラが背面上部のセンターに位置するデザインを取り入れている

Rシリーズよりはややビビッド寄りに画質を調整

―― AQUOS Rの画質調整のノウハウも生かしたということですが、センサーとソフトウェア、それぞれの画質向上効果を割合で表すことはできますか。厳密は話でなくても構いません。

原氏 体感ですが、6:4ぐらいの割合でセンサーの力の方が大きいですね。最初にこれを入れるというのが決まったとき、直感的に「いける」と思いました。このセンサーを生かすにはどうすればいいかというところから、開発をスタートしています。

 やりたかったのはディテールをしっかり出すことです。(過去のモデルは)暗所が弱かったのはもちろんですが、明るいところでもディテールが出ていなかったのが悔しかった。ただ、解像感を出しすぎるとエッジが強調されてすぎてよくない。ここに、AQUOS Rシリーズで培ったノウハウが生きています。R6、R7はライカカメラ社の目指す画質を理解しながら、やりすぎないところを目指しましたが、こういう絵はいい、こういう絵は悪いというノウハウはシャープにも蓄積されています。

AQUOS sense7 第一ソフト開発部 係長の原竜也氏

―― ただ、AQUOS sense7の画質は、AQUOS R7と比べると“スマホっぽさ”があるような気もしました。

原氏 ミドルレンジのユーザーなので、よりビビッドな色が好まれます。画質は意識しながらも、Rシリーズよりはややビビッド寄りに調整しました。海外メーカーの端末だとかなりキツめにやっているものもありますが、そこまではいかず、色にはこだわっています。

清水氏 スマホらしい画質を目指しました。Rはよりカメラらしくという微妙なすみ分けをしています。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月06日 更新
  1. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  2. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  3. KDDIのローミング縮小でも「やめる理由にはならない」 楽天モバイルユーザー4人が語る本音と“経済圏”の囲い込み (2026年10月05日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  6. JALモバイルはなぜIIJに加え「ahamo」を選んだのか? JALとドコモが明かす“ホワイトレーベル”の狙い (2026年10月05日)
  7. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  8. 注目点は“可変絞り”だけじゃない! 「iPhone 18 Pro」のカメラは思った以上に変わっている (2026年10月05日)
  9. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  10. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー