TCLは、次世代ディスプレイの1つである自社開発の「NXTPAPERディスプレイ」を搭載したコンセプトスマートフォン「TCL NXTPAPER Phone」をCES 2023で展示しました。コンセプトモデルであり、製品化については未定です。
NXTPAPERはディスプレイは紙のようなディスプレイを目指した技術で、特に目に有害なブルーライトをカットできるため目が疲れにくいという特徴があります。紙を目指したディスプレイとして電子ペーパーがありますが、NXTPAPERは一般的な液晶や有機EL同様にフルカラー表示が可能です。
TCL NXTPAPER Phoneはコンセプトモデルのため詳細スペックは不明。プロセッサにMediaTekのDimensity 700を搭載し、アウトカメラは5000万画素。その他のスペックは公開されていません。しかしマットな仕上げの背面は高級感もあり、このまま市販化できるレベルに達していると感じました。
なお、ブースの説明員によると、この製品のターゲット層の1つは子どもとのこと。長時間のスマートフォンの使用は目の健康に影響が出る恐れがありますが、NXTPAPERディスプレイなら目が疲れにくいとのこと。そうなると製品化されるときは200ドル以下程度の値段になるのではないでしょうか。
TCL NXTPAPER Phoneのディスプレイは確かに紙のような感じがします。TCLは既にNXTPAPERディスプレイを搭載したタブレットを販売中ですが、TCL NXTPAPER Phoneが搭載するNXTPAPERは第2世代のものになっているとのこと。NXTPAPERの欠点は画面の明るさですが、現行品よりも100%明るくなっているそうです。
NXTPAPERディスプレイの構造上、斜め横から見るとディスプレイ層の最上面が表示エリアになっていることが分かります。ディスプレイの表面はマットな仕上げで蛍光灯などの外部の光の反射がありません。一般的なスマートフォンと比べると、ディスプレイが常にマットに見えるのは独特な雰囲気です。
カメラを起動してみましたが、プレビュー画面に見える被写体は追従性も問題なく、色の再現も液晶や有機ELと変わらないように見えます。展示会場は照明が明るい場所だったとはいえ、NXTPAPERは十分実用的なディスプレイだと感じました。
写真の発色も悪くありません。TCLは電子ペーパーディスプレイ搭載スマートフォンを中国で多数展開していましたが、モノクロディスプレイでは用途が限定され、またカラー電子ペーパーは現時点では液晶や有機ELと比べ発色の点で大きく劣ります。目に優しいディスプレイの開発は子ども向け、そして教育市場という大きなマーケットをカバーできることから、TCL NXTPAPER Phoneも早い時期に製品化されるのではないでしょうか。
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