KDDIの「副回線サービス」を契約してみた 利用時の注意点と300kbpsでできること石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年04月01日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 KDDIとソフトバンクは、お互いの回線をいざというときのバックアップ回線として活用する「副回線サービス」を発表した。KDDIは、3月29日にサービスを開始しており、現在、同社のサイトや電話で申し込みを受け付けている。ソフトバンクは、KDDIよりやや遅れて4月12日に同名の副回線サービスをスタートする。ソフトバンクは、ソフトバンクショップで申し込む形だ。

 料金はKDDI、ソフトバンクともに429円(税込み、以下同)。KDDIはソフトバンクの、ソフトバンクはauの回線を使うが、速度はコンシューマー向けの場合、300kbpsに制限される。データ容量は500MBだ。両社が導入する副回線サービスは、2022年7月に発生したKDDIの通信障害を受け、開発されたもの。“保険のようなオプション”として、2022年から検討が進められてきた経緯がある。普段は競合となるキャリアが互いに手を取り合ったことでも、話題を集めていた。

副回線サービス KDDIとソフトバンクは、副回線サービスを導入。KDDIは申し込みを受け付けているが、ソフトバンクは4月12日の開始になる

 そんな副回線サービスを、筆者も受付開始の初日に申し込んでみた。eSIMを設定するための書類が届くのに最長で1週間かかるため、同時にKDDIから副回線サービスを設定済みの端末も借り、実際にサービスを試している。ここでは、その申し込み方法や利用方法をお届けするとともに、使い勝手や注意点などもレポートしていきたい。

まずは副回線サービスの仕様を確認、設定には注意点も

 今回、副回線サービスはiPhone 13 Proで使用した。主回線はauの物理SIM、副回線はソフトバンクのeSIMという構成だ。副回線サービスといっても、あくまでユーザーの契約先がKDDIになるだけで、eSIMプロファイル自体はソフトバンクのもの。iPhone側に表示されるキャリア名などもソフトバンクと表示される。多くのスマートフォンは、それぞれの回線に識別用のラベルをつけられるが、分かりやすいよう「副回線」を選択しておくといい。

副回線サービス副回線サービス KDDIに申し込むが、eSIMプロファイルはソフトバンクになる。副回線というラベルをつけておくと、判別しやすくなりそうだ

 iPhoneは、SIMカードやeSIMの種類によって、設定メニューを出し分けている。副回線サービスのソフトバンク回線も、ソフトバンクと認識されており、5Gの設定項目も表示される。ただし、同サービスで接続できるのは3Gと4Gのみで、5Gには非対応だ。iPhone 14シリーズでOSがiOS 16.4になっている場合、5G SAを指す「5Gスタンドアロン」というスイッチも表示される可能性がある。少々細かい話だが、ネットワーク側で副回線サービスの仕様になるよう、制御をかけていることがうかがえる。

副回線サービス 5Gの設定メニューは存在するが、3Gか4Gにしかつながらない

 実際、副回線サービスをオンにして、ネットワークを切り替えてみた。iPhoneでDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)を活用している人にはおなじみだが、設定メニューを「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」と進むと、どちらの回線でデータ通信するかを選択できる。副回線に切り替えたいときには、ここで「副回線(またはユーザーが決めたラベル)」をタップすればいい。

 注意したいのは、ここで「モバイルデータ通信の切替を許可」をオフにしておくことだ。KDDIでは、意図せずデータ通信するSIMカードが切り替わった結果、いざというときに副回線が使えなくってしまわないよう、この設定はオフにすることを推奨しているという。300kbpsで通信できるのは500MBと少ないため、いざというときのために取っておくのが正解といえる。

副回線サービス 副回線を有効にして、DSDSの状態になった後、利用するモバイル回線を切り替える。「モバイルデータ通信の切替を許可」はオフにしておきたい

 また、間違って電話をかけるなどして想定外の料金がかからないよう、通常は副回線自体をオフにしておくことも勧めているという。ただし、この点はユーザーが副回線サービスを、どう捉えて契約するかにもよる。通信障害や災害に備えつつ、もう1つの電話番号を持ちたいというときには、常時オンにしておいた方が使い勝手がよくなる。毎月料金がかかるサービスのため、寝かしたままにしておくのは少々もったいない。

副回線サービス 回線そのものをオフにすることも可能だ。間違って使ってしまわないよう、普段はこの状態にしておいてもいいだろう

 さて、実際の通信速度はどうか。ソフトバンク回線にデータ通信を切り替え、スピードテストを行った。アプリの「Speedtest.net」で、楽天モバイルサーバにつなぎ、速度を計測した。300kbpsに制限がかかっているかどうかを確認するため、同じ場所で「Galaxy Z Fold4」を使い、ソフトバンクのスループットも合わせてチェックしている。結果は以下の通り。通常のソフトバンク回線は5Gにつながり、約180Mbpsと高速だったが、副回線サービスはきっちり0.27Mbps。うたい文句よりはやや遅いが、ほぼ300kbpsに制限されている。もちろん、5Gにはつながらない。

副回線サービス副回線サービス 東京・渋谷にある筆者の事務所は、ソフトバンクの5Gエリア。速度も速く、200Mbps前後と安定している(写真=左)。同じ場所で測定したが、副回線サービスは5Gにならない。速度も0.27Mbpsに絞られている(写真=右)
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