ソフトバンクとauのデュアルSIMは同一番号で使える? 宮川社長が“アイデア”を披露(1/2 ページ)

» 2023年02月04日 12時01分 公開
[小山安博ITmedia]

 ソフトバンクは2月3日、2023年3月期第3四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比4.1%増の4兆3454億5900万円、営業利益は同21.7%増の9820億300万円の増収増益だった。売上高は全セグメントで増収。営業利益は、PayPay子会社化に伴う再測定益があったため増益となったが、事業としては通信料金値下げ影響などもあって利益は減少している。

ソフトバンク ソフトバンクの宮川潤一社長

 通期の業績予想に対する進捗(しんちょく)率は、売上高で74%、営業利益で94%、純利益で94%となって順調だった。セグメント別でも進捗率は順調に推移しており、同社の宮川潤一社長は、営業利益1兆円以上、調整後フリーキャッシュフロー6000億円水準、営業利益V字回復の達成に向けて順調な進捗と自信を見せた。

ソフトバンク 売上高、営業利益、純利益の状況
ソフトバンク 売上高は全セグメントで増収
ソフトバンク 営業利益はPayPay子会社化が大きく影響
ソフトバンク 通期予想に対するセグメント別の進捗率

 来期に関しては、「どこか(の事業)が飛び抜けて良いという来期の予想ではなく、全員野球の結果、全体が上がる」というのが宮川社長の予想で、営業利益1兆円を達成する時期は「はっきりいつといえるほどの自信はついていないが、5月の決算では堂々と発表したい」と話した。

ソフトバンク 経営目標達成に向けて進捗は順調だという

値下げ影響は縮小、PayPayは黒字化間近に

 コンシューマー事業では売上高が1%増の2兆1277億円、営業利益は17%減の4312億円。通期営業利益の予想に対しては90%の進捗率となった。スマートフォン契約数はソフトバンク、Y!mobile、LINEモバイル、LINEMOの4ブランドで2865万となって7%増。スマートフォン純増数は11%増の107万、主要回線純増数は129%増の60万となった。

ソフトバンク コンシューマー事業は増収となったものの、モバイルが1兆1552億円と減少するなど、でんき以外は減収
ソフトバンク モバイルの値下げ影響が特に響いた営業利益
ソフトバンク スマートフォンの契約数は順調に増加
ソフトバンク モバイル契約数も大幅に改善

 減収要因は通信料値下げによる影響で、2022年度第3四半期は220億円のマイナス影響だった。通信料値下げ影響は、3年間の影響が想定されており、通期では2021年度が770億円、2022年度は900億円の影響が出る見込み。最終年度となる2023年度は500億円までマイナス影響が縮小。宮川社長は、「氷河期の終わりがようやく見えてきた」と安堵(あんど)する。

ソフトバンク 第4四半期はさらに値下げ影響が縮小する予想
ソフトバンク 値下げ影響は22年度が底となり、氷河期の終わりが見えてきた

 コンシューマー事業ではグループ会社との連携を強化することで、モバイル事業の競争力を向上させるとともに、グループサービス全体の成長を狙っている。第3四半期には、PayPayカードでは「PayPayカード ゴールド」の提供を開始。新規契約の増加、解約の抑止を目的に、通信料金の支払いに設定するとより多くのPayPayポイントを付与する。

ソフトバンク モバイルとの連携でシナジーを発揮することを目指してPayPayカード ゴールドを発行
ソフトバンク 順調に会員数を増やしている

 ゴールドカードによるユーザーの拡大に伴い、グループ内のECサイト、金融ビジネスの拡大にもつながっていて、グループのサービス全体でシナジーが発揮されているという。さらに、ゴールドカードをソフトバンクショップでも獲得するよう活動を本格化。結果としてカード発行後の会員数純増数が拡大し、第3四半期には53万増となった。

 第3四半期から新設されたセグメントである金融事業は、PayPay、PayPayカード、PayPay証券、SBペイメントサービスが含まれる。売上高は主にPayPayの子会社化によって876億円で77%増。それに対して営業利益は子会社化影響とPayPayカードの戦略投資によって115億円減の24億円だった。

ソフトバンク PayPayなどの金融事業は77%の増収
ソフトバンク 営業利益は、PayPayの赤字もあって縮小

 PayPay自体は、顧客獲得費が縮小しているものの赤字が継続したため、54億円のマイナス影響となった。ただし、獲得費を除けば黒字化しており、損益は前年比で改善している。PayPayカードは42億円の減益要因となったが、顧客獲得のための先行投資という位置付けで計画通りとした。

 黒字化間近まで成長したPayPayは、ユーザー数が前年同期比21%増の5400万人、決済回数は同43%増の37.5億回、決済取扱高は同465増の5.7兆円。単体の売上高は898億円で同134%増。EBITDAはマイナス138億円で、2021年度から307億円の改善まで成長した。

ソフトバンク PayPayは、会員数などの指標は順調に拡大
ソフトバンク 売上高も伸び、EBITDAも大幅に改善した

 今後は、グループのシナジーを高めるサービスとして、販促プラットフォーム「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」を投入して、決済・EC取扱高の拡大・広告収入の増加を目指す。

 ふるさと納税のさとふるでは、「PayPay商品券」をスタート。1月末で480自治体の導入が予定されており、地域の活性化、PayPayの取扱高の増加も見込めるため、「大変良いプロダクトが生まれた」と宮川社長。

ソフトバンク その他、SBペイメントサービスはGMVが4.8兆円となって拡大は順調
ソフトバンク PayPay証券はポイント運用が伸びており、収益化につなげたい考え

ZHD・ヤフー・LINEの合併でモヤモヤ感が吹っ切れ

 ヤフー・LINE事業は売上高が同4%増の1兆1696億円、営業利益は同17%減の1269億円。前日の2月2日には、Zホールディングス、LINE、ヤフーの3社が合併してCo-CEO体制から単独のCEO体制に移行することなどが発表された。これに対して宮川社長は、「親会社の立場として、意思決定のスピードアップをしてほしい、ID連携などのシナジーを早く出してほしいと再三言っていた」とコメントする。

ソフトバンク ヤフー・LINE事業は増収
ソフトバンク ただし、2桁の減益となった

 もともとZホールディング、ヤフー、LINEが経営統合したことで、非常に期待感を持っていたという宮川社長。ただ、この2年間は「なかなか新しいプロダクトが生まれてこない。この部分についてもう少しスピードを上げてくれないかと常々思っていた」という状況だった。

ソフトバンク これまでの経営に不満があったことを吐露し、3社合併を歓迎する宮川社長

 「サービスの選択と集中をすべきではないか、オフィスもリアルに合体して同じ釜の飯を食ったらどうだなど、いろいろなことをリクエストしてきた」と宮川社長はさまざまな要望をしていというが、2023年に入ってからはそろそろ結果を出し、「新しく世の中がビックリするようなサービスが出てこないのか」と求めていたそうだ。

 結果として、1月中にZホールディングスの経営陣から経営統合の案が示されたという。「方向性としては非常に正しいと感じたので、即答で(統合案に)賛成した」そうだ。合併によって「相当変わるんじゃないかと期待している。自分の中でのモヤモヤ感は吹っ切れた」と宮川氏。

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