ソフトバンクとauのデュアルSIMは同一番号で使える? 宮川社長が“アイデア”を披露(2/2 ページ)

» 2023年02月04日 12時01分 公開
[小山安博ITmedia]
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KDDI高橋社長から「本気でやる気はあるのか」と問われたデュアルSIMサービス

 質疑応答ではデュアルSIMに関する話題も出た。経緯としては、昨夏のKDDIの大規模障害において、「対岸の火事ではない。いつどこが、同障害を起こすかは未知数で、あらゆる角度で対策したい」と考えた宮川氏は、デュアルSIMのアイデアを披露していた。それに対してあるとき、KDDIの高橋誠社長が「本気でやる気はあるのか」と問いかけてきたという。

ソフトバンク 質問に答える宮川社長

 本気ということを示したことで、両社が急ピッチでサービス設計をしていったのが経緯だったという。現時点で詳細はほとんど明らかになっていないが、保険として使ってもらえるように「数百円のできるだけ下の方がターゲット」という月額料金を想定する。

 ただ、どの程度の設備増強が必要か、実際の障害発生時にどういった連絡手段が必要かなど、実務的な部分を最終調整しているそうで、「3月には速やかにサービスを開始したい」考えだ。

 KDDIの場合、基本料金が無料のpovoブランドがあり、ソフトバンクユーザーであればpovoを契約すればより安価にデュアルSIMを実現できる。ただ、今回のデュアルSIMサービスの仕組みだと、「ソフトバンクのショップでauの通信保険(のようなサービス)をソフトバンクが販売、auのショップでソフトバンクの通信保険をauが販売する」という構造になるため、ソフトバンクユーザーがショップに行って、保険となる他社の通信サービスを契約できる点が特徴となる。

 そのため、自分で保険としてデュアルSIMを選ぶユーザーだけでなく、ショップで説明を受けて選びたいというユーザーに向けたサービスになる見込み。そのため、他社回線を他社で契約するのとは「似て非なるものではないか」というのが宮川社長の認識だ。

 加えて宮川社長は、特に災害時に他社回線で発信すると普段とは別の電話番号になってしまい、着信相手側に見知らぬ番号が表示されてしまう点、また、着信も番号が異なってしまって事前に知らせておかないと電話がかけられないという状況になるという点を問題視。

 そのため、デュアルSIMサービスでは同一の電話番号で発着信できるような仕組みを考えているという。iPhoneとペアのApple Watchでは、同一番号で発着信できるサービスが提供されており、技術的には可能という判断で、そういった検討も必要だと考えているそうだ。

 この仕組みの検討は「現場と打ち合わせたわけではない」と宮川社長は断りを入れて、あくまでまだ自身のアイデアであることを強調していた。なお、他のNTTドコモ、楽天モバイルと同様のサービスを計画しているかどうかについては、「協議しているかどうかも含めてお答えできない」とした。

5GはSub-6を本格化、インフラシェアリングも拡大

 5Gネットワークのエリア構築に関しては、700MHz帯を中心として2022年度末に人口カバー率90%を達成。基地局数は5万3400局まで拡大。これを使って5G端末のエコシステムを拡大したい考え。

 Suーb6を使った5G基地局の整備は、「ようやく衛星で使っていた干渉の部分が緩和され、エリア拡大できるようになった」という状況で、東名阪を中心にキャパシティー確保用としての整備を進めているところ。28GHz帯のミリ波は、「まだ投資効果が得られるほどは期待できていない」という判断で、次の段階の整備で活用する方針。特にインドアのエリア対策として28GHz帯を活用する。

 値下げ影響もあって「体力がなくなりかけているキャリア同士、手を組めば基地局の増設がすごいできるのではないか」ということで生まれた、KDDIとのインフラシェアリング会社である5G JAPAN。

 お互いの基地局にそれぞれの無線機を設置するというシェアリングによって、既に1万〜2万局にお互いの無線機を設置しているという。2社同時に工事することでコスト削減ができ、電源や伝送路の入手などのコストも削減できるため、今後も活用する方針だ。

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