先に述べたように、NoteシリーズをUltraにリブランディングしたGalaxy S22シリーズは、日本でも販売が好調だったという。サムスン電子ジャパンでCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務める小林謙一氏は、発売1カ月で全モデル比約57%増になったGalaxy S22 Ultraのデータを挙げ、「日本のフラグシップ市場で確かな存在感を確立した」と語る。
その要因は、「もともとのNoteユーザーと、Sシリーズのファンが重なった」ことが大きいという。円安ドル高や物価高による本体価格の上昇や、2万2000円という端末購入補助の制限がある中、ハイエンドモデルが販売台数を大幅に伸ばせたのは、異例といえる。“Noteの統合”といった飛び道具がなかったGalaxy S22も、販売台数は約9%増と、微増ながらも販売を拡大している。
実際、日本市場では、サムスン電子のシェアが徐々に上がっている。調査会社MM総研が2月に発表した2022年のスマートフォン出荷台数シェアは、Apple、シャープに次ぐ第3位の10.2%。2021年から順位は変わっていないものの、シェアを2%以上拡大し、2位で10.5%のシャープに肉薄している。もちろん、これはエントリーモデルからミドルレンジまで幅広く展開したうえでの結果だが、フラグシップモデルの市場が厳しい中、サムスン電子は健闘したといえる。
サムスン電子は、この勢いに拍車を掛けようとしている。翻ってGalaxy S23シリーズの実績を見ると、先行して発売された海外では好調なスタートダッシュを切れているという。中でも、サムスン電子のお膝元である韓国では、「歴代最高の予約数を記録した」(同)といい、出だしは好調だ。また、インドでも過去最高、フランスでも前年2倍と、予約は大きく伸びていたという。ブラジルと台湾でも、前年比で増加傾向を示している。
海外では、Galaxy S22 Ultraのカメラ性能などが好評なことに加え、Galaxy S22は「デザインや持ちやすさが評価される。今回は積極的に(シリーズ全体の)アイデンティティーを作った」(同)ことも奏功したという。日本でも、取り扱いモデルのストレージに選択肢を設けた他、予約キャンペーンを強化。Galaxy Sシリーズの取り扱いを見合わせていた楽天モバイルへの納入を行い、販路を拡大するなど、販売を伸ばす工夫に余念がない。
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