サムスン電子は、4月6日に「Galaxy S23」シリーズを日本に導入することを発表した。2022年と同様、「Galaxy S23+」の発売は見送られ、フラグシップモデルの基準点ともいえる「Galaxy S23」と最上位モデルの「Galaxy S23 Ultra」の2機種を用意する。発売は4月20日。ドコモとKDDIは2機種を、楽天モバイルはGalaxy S23のみを取り扱う。
例年通りの戦略を踏襲しているかのように見えるサムスンだが、オンライン限定カラーを用意するなど、販売戦略は変化も見られる。楽天モバイルにGalaxy Sシリーズを納入するも約3年半ぶりだ。ここでは、両モデルの特徴を解説するとともに、同社の販売戦略を解説する。
Galaxy S23シリーズは、言わずと知れた、サムスン電子のフラグシップモデルだ。グローバル版が発表されたのは、2月1日(現地時間)のこと。2020年の開催以来、約3年ぶりとなる同社の製品発表イベント「Galaxy Unpacked」で、Galaxy S23、S23+、S23 Ultraの3機種がお披露目された。サムスン電子は、2022年にGalaxy Sシリーズの最上位モデルをリニューアルしており、実質的にGalaxy Noteを復活させている。Galaxy S23シリーズでも、この路線は踏襲した格好だ。
一方で、Galaxy S23シリーズでは、デザインにより共通性を持たせることで、“シリーズ感”を強化している。象徴的なのが、その背面だ。Galaxy S22シリーズでは、「Galaxy S22」や「Galaxy S22+」にのみ、「オペラ座の怪人」に登場するファントムの仮面に似たカメラユニットを採用していたのに対し、Galaxy S23、S23+はその見た目を最上位モデルのGalaxy S23 Ultraに近づけている。背面ガラスにレンズが直付けされたようなデザインになり、その印象を大きく変えた。
機能面で売りになるのは、やはりGalaxy S23 Ultraに搭載された2億画素のカメラだろう。16の画素を1つに束ねて感度を大幅に高めることが可能な他、4つの画素を水平、垂直に使って位相差を検出するスーパークアッドピクセルオートフォーカスにも対応。暗い場所でも明るく撮影でき、ピント合わせも高速になった。こうしたハードウェアの力に加え、処理能力が向上したAIで夜景撮影の性能を大きく向上させている。
こうしたAIを下支えしているのが、「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」だ。同チップは“for Galaxy”と銘打たれていることからも分かるように、通常の「Snapdragon 8 Gen 2」よりも処理能力が高い。どの程度、特別なカスタマイズが加わっているのかは不明だが、恐らくCPUやGPUに選別品を採用することで、CPUやGPUの性能を高めているはずだ。パフォーマンスの高さを生かし、サムスン電子はゲーミングスマートフォンとしても同シリーズを訴求している。
日本に導入されるのは、Galaxy S23とS23 Ultraの2機種。スペックはグローバル版とほぼ同じだが、おサイフケータイを搭載しており、対応バンドも日本の周波数に合わせるなど、これまでと同様のカスタマイズが加えられた。また、2022年9月発売の「Galaxy Z Fold4」「Galaxy Z Flip4」で搭載したeSIMにも対応。Galaxy Sシリーズとしては、初の物理SIM/eSIMのデュアルSIMモデルとなる。キャリアごとに分かれていた対応周波数の差分も埋まり、マルチキャリア環境で利用しやすい端末になった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.