Galaxy S23 Ultra単体購入はキャッシュバック対象外 値引き規制の違反にならない?ふぉーんなハナシ

» 2023年04月14日 17時05分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 サムスン電子製のスマートフォン「Galaxy S23 Ultra」が国内でも発表され、NTTドコモとauによる取り扱いに加え、512GBと1TB(au限定)の大容量ストレージをオンライン限定で選択可能になった。

 2億万画素のカメラなど、ハードウェアの進化はもちろんだが、あるキャンペーンにも注目が集まっている。

 それは「4月19日まで(ドコモオンラインショップでの予約については4月17日9時59分まで)に予約した上で、5月14日までに購入した全ユーザーに対して、1つ下の容量のモデルとの差額分をAmazonギフト券でキャッシュバックする」内容。キャッシュバック額は以下の通りとなる。

  • 512GBモデル(ドコモ):2万円
  • 512GBモデル(au):1万5000円
  • 1TBモデル(au):1万7000円
Galaxy S23 Ultra ドコモ au キャンペーン 大容量ストレージの選択肢があるGalaxy S23 Ultra

 一見すると、お得に大容量ストレージのGalaxy S23 Ultraを入手できるチャンスと思いがちだが、ネット上で「このキャンペーンがGalaxy S23 Ultra(端末)単体購入(回線契約にひも付かない)だと適用外になる」と話題になっている。

 この意外な落とし穴について、事実かどうか、事実なら理由は何か、ドコモとKDDIの広報部に問い合わせた。

ドコモ

―― ドコモオンラインショップで端末の単体購入はできますか?

ドコモ広報部 ドコモオンラインショップでは、単体購入いただくことはできますが、予約の受付ができません

―― どのように購入すればキャンペーンの対象になりますか?

ドコモ広報部 本キャンペーンは事前予約が応募条件となるため、単体購入は対象外となります

KDDI

―― au Online Shopで端末の単体購入はできますか?

KDDI広報部 発売日以降、機種のみ購入が可能です

―― どのように購入すればキャンペーンの対象になりますか?

KDDI広報部 発売日前日までにau Online Shopで予約いただいたお客さまが対象です。機種のみ購入は発売日以降となるため、キャンペーン対象期間外となります

―― 本キャンペーンのキャッシュバックに、5G機種変更おトク割の1万6500円割引を加えると、回線とひも付く割引が2万2000円を超えますが、電気通信事業法上、問題ないですか?

KDDI広報部 サムスン電子ジャパン様が自らの企画・原資で実施するメーカー独自キャンペーンと認識しています。メーカー独自キャンペーンについては「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の2万円のルール対象外となるものと理解しています

オンラインショップでの単体購入はキャンペーンの対象外に

 両社広報部の回答をまとめると、そもそも端末単体購入をする場合、予約ができないことになる。そのため、期間内の予約と購入を条件とした本キャンペーンでは、端末単体購入が適用外となってしまう。

 また、法律にのっとったキャンペーンなのか、という点もまとめると、以下のようになる。

 ドコモは22歳以下を対象に、Galaxy S23シリーズを購入すると最大2万2000円を割り引くキャンペーンを実施しているが、Wストレージキャンペーンの対象機種であるGalaxy S23 Ultra(512GB)は対象外なので、割引の合計金額が2万2000円を超えることはない。

 auの場合、回線とひも付く割引金額が合計2万2000円を超えるが、電気通信事業法(2万2000までの値引き規制)の対象が通信事業者で、キャンペーンの主催がサムスン電子ジャパンであるため、問題ないと判断される。

 なお、電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドラインには「原資の拠出元が電気通信事業者等である場合や、電気通信事業者等が企画の内容の決定に関与している場合には、『約させる』に当たる可能性が高い」とあるが、「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備」という資料には「原資の拠出・企画がメーカ等である場合で、加入者を事業者の利用者に限らないオープンなポイント制度等を活用して、ポイントを付与する場合は、『約させる』に当たらない」とあるため、前述のサムスン電子ジャパン主催であることに加え、Amazonギフト券でのキャッシュバックであることから、問題ないと思われる。

Galaxy S23 Ultra ドコモ au キャンペーン 原資の提供元が電気通信事業者(携帯キャリア)の場合、禁止行為の対象となる(電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドラインより引用)
Galaxy S23 Ultra ドコモ au キャンペーン メーカーの値引きは利益の提供に該当しないと記載されている(総務省「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備」より引用)

 一方で「『継続利用』を条件とする施策については、より強く電気通信事業者等による企画の内容の決定の関与が推測されるためその状況を確認する必要性が高く、電気通信事業者等のポイントプログラムを活用して利益の提供を行う場合には電気通信事業者等との関係を詳細に確認して判断することが不可欠と考えられる」とも記載されているため、もしメーカーが契約の有無を条件に含めていた場合、グレーゾーンという扱いになりそうだ。

 今回、ネットで指摘されているケースは端末単体購入前に予約できないシステムによる事情が大きく関わっていると思われる。キャンペーン実施側のサムスン電子ジャパンとキャリアが利用者のニーズを把握し、この障壁を取り払うべきであると筆者は考える。

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