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“楽天モバイル初のMVNO”が誕生した背景 法人メインだが、個人向け格安SIM登場の可能性もMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2023年05月17日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 楽天モバイルの回線を使うMVNOが、ついに登場した。同じ楽天グループでIP電話やインターネット接続、パブリッククラウドを事業に据える楽天コミュニケーションズだ。同社は、2000年に設立されたフュージョン・コミュニケーションズが母体で、2015年12月に現在の社名に変更している。MVNO時代の楽天モバイルも、当初は同社が運営していた。その楽天コミュニケーションズが楽天モバイルから回線を借り、法人向けのMVNO事業に乗り出した。

楽天コミュニケーションズ 楽天コミュニケーションズが楽天モバイルのMVNOとして、4月から法人向けに「モバイルデータ通信サービス」を提供している

 楽天モバイルとはレイヤー2で接続しており、料金プランも楽天コミュニケーションズ独自のものを用意している。PCやタブレットなど、一般的なデータ通信が可能な「スタンダードタイプ」に加え、監視カメラなどに提供する「上り優先タイプ」、さらには速度を絞った「IoTタイプ」の3つを用意。スタンダードタイプは1GB、363円(税込み、以下同)から、上り優先タイプは1GB、308円からとなり、50GBや100GBといった大容量プランも展開する。

 自身で直接サービスを提供するのに加え、楽天モバイル回線を使ったMVNEとして、グループ外のMVNOも支援していく構えだ。一方で、法人事業は楽天モバイル自身も始めている。あえて楽天コミュニケーションズとして、MVNOやMVNEを開始した狙いはどこにあるのか。同社の代表取締役社長COOの金子昌義氏とネットワークサービス本部 ネットワークソリューションビジネス部 第一グループ マネージャーの松原大輔氏に話を聞いた。

【訂正:2023年5月17日10時00分 初出時、松原氏のお名前に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

法人のエンドユーザーをターゲット、B2B2Cの形で提供することも

―― 楽天モバイルの回線を使ったMVNOは初めてだと思います。この事業を始めた経緯を教えてください。

金子氏 楽天コミュニケーションズの視点で言うと、2014年から他のキャリア回線を使ったMVNOのサービスをしていました。電話としてのユースケースもありましたし、IoT用としても使っていました。2019年には楽天が楽天モバイルを設立し、MNOになっています。当然の成り行きとして、そのMVNOをやることになりました。

楽天コミュニケーションズ 楽天コミュニケーションズの金子昌義社長

―― このタイミングは、人口カバー率が98%を超えたようなことも踏まえているのでえしょうか。

金子氏 人口カバー率が何%になったらということは特にありませんが、今はいいタイミングでした。お客さまへのメニューの建て付けや、法人向けだと課金システムなどをいくつか作らないといけません。もろもろの体制の整備もあって、今になりました。

―― ターゲットはどこなのでしょうか。

金子氏 MVNOとしては、(法人の)エンドユーザーです。直接エンドユーザーに提供することもあれば、B2B2Cの形で提供することもあります。MVNEと読んでいいのか微妙なところではありますが、サービサーであることです。通信でサービスをされている方に回線を提供する。そのときに、上位のレイヤーでお渡しするMVNEという形もあれば、MVNOを扱っていただき、コンシューマーに販売していただくような形もあります。

料金とスピード感、仮想化ネットワークが強みに

―― 楽天モバイルは料金の安さを売りにしていますが、強みはやはりそこでしょうか。

金子氏 一番は料金面だと思っていますが、2つ目としてあるのがスピード感です。お客さまの欲する形でスピーディーにサービスを立ち上げいこうとしています。設備も先進的なものを使っているので、そういったところを活用した高帯域サービスも提供できます。提供の仕方にフレキシビリティがあるのが強みです。

楽天コミュニケーションズ スタンダードプランは1GB〜50GBのデータ容量をそろえている

―― そこは、楽天モバイル側が完全仮想化ネットワークを組んでいることが大きいということですか。

金子氏 はい。エンドツーエンドで仮想化されていることがあります。大きな視野で戦略を語るべきなのは楽天モバイルですが、楽天コミュニケーションズの視点だと、エッジで何かやりたいときに接続がしやすいですね。お客さまが閉域網を使いたいというようなときにも、違いやメリットが出せます。また、楽天モバイルのデータセンターがあるので、ご要望があれば、そこにつないでレイテンシの低いサービスも提供できます。そういったことが(モバイル回線と)シームレスにできるのが強みです。

―― 価格に関してですが、1GB、330円(税込み363円)だと他のMVNOでさらに安いところもあります。この点はどうお考えでしょうか。

松原氏 今は、楽天回線自体がいろいろな方に興味を持たれています。われわれは、その入り口の一部になります。おっしゃるように、必ずしも現時点では最安ではないかもしれませんが、そういったところまで含めて見ていただければと考えています。

楽天コミュニケーションズ ネットワークサービス本部 ネットワークソリューションビジネス部 第一グループマネージャーの松原大輔氏

金子氏 法人向けなので、基本的にはボリュームも含めて相対価格になります。ただ、まず使っていただくときにどの程度かというのも必要で、目にとまるような価格にしました。

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