OCN モバイル ONEは“ドコモのサブブランド”になるのか? レゾナント合併後の将来像を予測する石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年05月27日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]

ソフトバンクや楽天モバイルもMVNOを存続、一方でスタンスに違いも

 同様に、ソフトバンクもMVNOを吸収合併している。LINEが2016年に設立したLINEモバイルだ。もともと独立系MVNOだったLINEモバイルだが、サブブランドの台頭にあらがえず、2018年にはソフトバンクがその株式の51%を取得し、傘下に入った。2021年に導入したオンライン専用ブランドのLINEMOは当初からソフトバンク自身が運営していた別サービスだが、コンセプトの一部はLINEモバイルから引き継いでいる。

ドコモ 16年にMVNOとして新規参入したLINEモバイルだが、18年にはソフトバンクが株式の51%を取得し、傘下に入った

 また、LINEMOの発表に合わせ、ソフトバンクはLINEモバイルを完全子会社化した後、吸収合併することを明かしている。現在、その経営統合は完了しており、既存ユーザー向けに提供しているLINEモバイルのサービスもソフトバンク自身が運営する。新規申し込みは終了しているものの、LINEモバイルには現在でもトリプルキャリアとしてサービスを行っている。ソフトバンク自身が手掛けているため、ドコモとKDDI回線はMVNO、ソフトバンク回線はMNOと整理できそうだ。

ドコモ 20年12月に、LINEモバイルを完全子会社化したあと、吸収合併する方針が明かされた
ドコモ 21年3月に始まったのが、オンライン専用ブランドのLINEMO。コンセプトの一部はLINEモバイルを引き継いでいるが、こちらもソフトバンク自身が提供するサービスだ

 楽天モバイルもMNOとMVNOが併存している。ただし、KDDIやソフトバンクとは成り立ちの経緯が真逆だ。もともと同社はドコモやKDDIから回線を借りるMVNOだったが、自ら周波数の割り当てを受け、基地局などを持つMNOとしてのサービスを開始。現時点でもMVNOは残っているものの、新規申し込みは終了しており、徐々に契約数は減少している。既存ユーザーが不利益を受けないよう、従来のサービスを単に維持しているだけに近いが、この点はソフトバンクのLINEモバイルに近い。

ドコモ MVNOとしての楽天モバイルは、14年10月にスタート。写真は開始当時の会見の様子。MVNOの楽天モバイルは、現在もサービスを継続している

 KDDIはサービスだけでなくユーザーも統合し、UQ mobileを自社の低料金ブランドと位置付け直したのに対し、ソフトバンクや楽天モバイルは、あくまで顧客基盤のベースにしているといえる。ドコモがNTTレゾナントを取り込んだ後、どちらの形式に近づけていくのかは語れていないが、MVNOとしての楽天モバイルやLINEモバイルのように“死蔵”させておく必然性はない。

 現状、KDDIにはUQ mobile、ソフトバンクにはサブブランドがあり、メインブランドのau、ソフトバンクと比較的簡単に行き来ができるようになっている一方で、ドコモには低料金ブランドがahamoしかないからだ。UQ mobileやワイモバイルの中容量プランには対抗できている一方で、小容量のユーザーを取り逃していた。

ドコモ 21年3月にahamoをスタートしたドコモだが、UQ mobileやY!mobileに対抗しうる小容量プランは手掛けていない

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年