同様に、ソフトバンクもMVNOを吸収合併している。LINEが2016年に設立したLINEモバイルだ。もともと独立系MVNOだったLINEモバイルだが、サブブランドの台頭にあらがえず、2018年にはソフトバンクがその株式の51%を取得し、傘下に入った。2021年に導入したオンライン専用ブランドのLINEMOは当初からソフトバンク自身が運営していた別サービスだが、コンセプトの一部はLINEモバイルから引き継いでいる。
また、LINEMOの発表に合わせ、ソフトバンクはLINEモバイルを完全子会社化した後、吸収合併することを明かしている。現在、その経営統合は完了しており、既存ユーザー向けに提供しているLINEモバイルのサービスもソフトバンク自身が運営する。新規申し込みは終了しているものの、LINEモバイルには現在でもトリプルキャリアとしてサービスを行っている。ソフトバンク自身が手掛けているため、ドコモとKDDI回線はMVNO、ソフトバンク回線はMNOと整理できそうだ。
楽天モバイルもMNOとMVNOが併存している。ただし、KDDIやソフトバンクとは成り立ちの経緯が真逆だ。もともと同社はドコモやKDDIから回線を借りるMVNOだったが、自ら周波数の割り当てを受け、基地局などを持つMNOとしてのサービスを開始。現時点でもMVNOは残っているものの、新規申し込みは終了しており、徐々に契約数は減少している。既存ユーザーが不利益を受けないよう、従来のサービスを単に維持しているだけに近いが、この点はソフトバンクのLINEモバイルに近い。
KDDIはサービスだけでなくユーザーも統合し、UQ mobileを自社の低料金ブランドと位置付け直したのに対し、ソフトバンクや楽天モバイルは、あくまで顧客基盤のベースにしているといえる。ドコモがNTTレゾナントを取り込んだ後、どちらの形式に近づけていくのかは語れていないが、MVNOとしての楽天モバイルやLINEモバイルのように“死蔵”させておく必然性はない。
現状、KDDIにはUQ mobile、ソフトバンクにはサブブランドがあり、メインブランドのau、ソフトバンクと比較的簡単に行き来ができるようになっている一方で、ドコモには低料金ブランドがahamoしかないからだ。UQ mobileやワイモバイルの中容量プランには対抗できている一方で、小容量のユーザーを取り逃していた。
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