既報の通り、NTTドコモが完全子会社のNTTレゾナントを2023年7月1日付で吸収合併することが決まった。
合併後も、OCNやgooをはじめとする、レゾナントの個人向け・企業向けサービスはドコモが継続して提供していく。ここで気になるが、レゾナントがMVNOとして提供している通信サービス「OCN モバイル ONE」の扱いだ。
合併後はドコモがOCN モバイル ONEを提供することになるが、提供元がMNOのドコモになれば、MVNOとして提供する必要はなくなる。ドコモがMNOとしてOCN モバイル ONEを提供することになれば、KDDIのUQ mobileと、ソフトバンクのY!mobileと同じ扱いになり、いわゆる「サブブランド」になる。
例えばUQ mobileの場合、2015年9月まではKDDI傘下のKDDIバリューイネーブラー(KVE)が提供していたが、同年10月1日にUQコミュニケーションズがKVEを吸収合併し、UQコミュニケーションズがUQ mobileの提供元となった。その後、2020年10月1日にKDDIがUQコミュニケーションズからUQ mobileの事業を承継。UQ mobileはMVNOサービスではなくなり、KDDIがauとUQ mobileの2ブランド体制でサービスを提供することになった。
OCN モバイル ONEもUQ mobileのように、ドコモがdocomo、ahamoに並ぶ3つ目のブランドとして提供することになるのか。ドコモに確認したところ、「現時点ではサブブランドではなく、MVNOサービスとして当社がOCN モバイル ONEを提供する方向で検討している」とのこと。それでも、ドコモが新たなプランを設定できることになるが、プラン改定などは検討しているのだろうか。この点について「今後の料金戦略は回答を控えさせていただきます」とのことだった。
OCN モバイル ONEはドコモショップで取り扱う「エコノミーMVNO」として提供しているが、7月1日以降も、その扱いは変わらない。ただ、MVNOサービスは本来、通信回線を自前で所有しない事業者がMNOから回線を借りることで実現している。そんなMVNOサービスをMNO自らが提供するのは、少しおかしな構造にも思える。MNOがMVNOサービスを提供する例として、ソフトバンクが吸収合併したLINEモバイル、楽天モバイルのMVNOサービスがあるが、いずれも新規受付は停止している。LINEモバイルは後継サービスに位置付けられるLINEMOへの移行を促しており、楽天モバイルはMNOサービスに軸足を移している。
なお、ドコモの井伊基之社長は、2022年6月のインタビューでOCN モバイル ONEをドコモに統合する可能性について聞いたところ、「それはない。あくまでMVNOとしてのレゾナントの事業なので。NTTコミュニケーションズが法人に特化するので、レゾナントをドコモに持ってきて、通信事業としてドコモがやるけれど、あくまでMVNO事業としてやるということです。取り込む話はないです」と答えていた。サブブランド化についても否定していたが、「でも、変えなきゃいけない状況になったら変えますよ」とも述べていた。
ドコモがOCN モバイル ONEをどう扱っていくのか、今後の発表待ちたい。
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