アップルのティム・クックCEOがWWDC基調講演で「One More Thing」と言って発表した「Apple Vision Pro」。3499ドル、日本円で約49万円という価格設定が話題だ。
製品プレゼンを聞いた後に価格が発表されたが、確かに搭載されている部材を考えてみれば納得の値付けでもある。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年6月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
Mac用のM2チップに加えて、センサーなどから信号を処理する独自開発の「R1チップ」、さらに12個のカメラ、5つのセンサー、6つのマイク、切手サイズの4Kディスプレイが2枚も入っていることを考えると、アップルはApple Vision Proを売ったとしても大儲けはできないのではないか。
実際にApple Vision Proを装着し、アップルが提唱する「空間コンピュータ」を体験してみたが、IT業界に住んでいるのであれば、49万円を出していち早く購入して、この世界観のなかで日常生活を送るというのも悪くないだろう。
アップルが言うとおり、Macでパーソナルコンピュータ、iPhoneでモバイルコンピュータが世間に普及した。まさに「第3の革命」としてApple Vision Proが空間コンピューターとして我々の生活に入り込んでくる未来がやってきそうな気がしている。
もちろん、3499ドル(約49万円)という価格設定では一般への普及はあり得ない。
おそらく、アップルとしてはApple Visionシリーズを何年も継続的に出していくだろう。当初はアップルファンとアプリ開発者ぐらいしか買わないが、しばらくするとチップの性能がさらに進化し、AI処理によって、搭載するカメラなどのセンサーの数を減らせるようになる。
するとコスト削減ができるので「Apple Vison」というスタンダードモデルが登場。数年後、そのスタンダードモデルが「Apple Vison SE」となって販売されるのではないか。
iPhoneも発売当初はその革新性があまり理解されずに販売に苦労した。日本ではソフトバンクが「Everybodyキャンペーン」で実質ゼロ円でバラまいて、ようやく普及した。
Apple Watchも毎年のように新製品を出し続けたことで、なんとかウェアラブル機器として定着した。
願わくば、日本に上陸するであろう2024年には、もうちょっと為替レートが円高に振れてくれるとありがたい。今の段階では49万円だが、為替レートが1ドル114円程度になれば、40万円を切ってくるのでだいぶ印象が変わってくる。
ただ、メガネっ子はZEISS製の視力補正レンズが別途必要になる。
また、基調講演時、Apple Vision Proの値段発表した際には「Apple Vision Proは3499ドルから」という言い方をしていたため、3499ドルはあくまでエントリーモデルの値段であり、容量などによってはさらに高価なモデルも存在しそうだ。
個人的には「5G対応モデル」も期待したいのだが、果たしてどうなることやら。
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