楽天モバイルは6月1日に「Rakuten最強プラン」の提供を開始しました。また、同じタイミングで東名阪でKDDI回線のローミングを開始したため、今後通信品質の向上が期待されます。今回は「Rakuten UN-LIMIT VII」からの変更点をまとめた上で、楽天モバイルのメリット、デメリットを解説します。料金は全て税込み。
6月1日に開始したRakuten最強プランの料金表は以下の通りです。料金プランはRakuten UN-LIMIT VIIと変わらず、月のデータ使用量が3GBまでは1078円、3〜20GBまでは2178円、20GB以上はどれだけ使っても3278円です。アプリ「Rakuten Link」を使えば国内通話は無料でかけ放題になります。
Rakuten UN-LIMIT VIIとRakuten最強プランの唯一の違いは、パートナー回線の容量制限が撤廃されたことです。楽天モバイルは自社回線でカバーできないエリアはKDDIの回線を使って通信(=ローミング)しており、このエリアをパートナー回線エリアと呼んでいます。Rakuten UN-LIMIT VIIでは、楽天回線による通信は容量無制限なのに対し、パートナー回線での通信には月5GBの制限があり、5GBを超えると最大速度が1Mbpsに制限されていました。私の友人も自宅がパートナー回線エリアのため、以前はデータ高速モードを常時オフにして高速通信できる容量を温存していると話していました(現在のデータ高速モードは海外でのみ有効)。
しかし、Rakuten最強プランではパートナー回線での通信も容量無制限になりました。これまでパートナー回線のデータ使用量を5GB以下に抑えるために工夫をしていた人も、6月1日以降は容量を気にせず高速通信できます。
なお、5月末までに楽天モバイルに契約した人も6月1日にRakuten最強プランに自動移行されているため、各自でプラン変更手続きをする必要はありません。
プランの変更点は前述したパートナー回線の容量制限撤廃のみですが、同じタイミングでKDDI回線のローミングにも大きな変更がありました。KDDIと新たに策定したローミングの新協定では、これまでローミング対象外だった東京23区、名古屋市、大阪市もエリアに追加されました。このエリアは既に楽天回線でほぼカバーできているものの、楽天モバイルは使える周波数が限られるため、地下や建物の中はつながりにくいことがありました。そこで、KDDIが持つ地下や建物内にも届きやすい高周波数帯のプラチナバンドをローミングすることで、これまでつながりにくかった場所でも通信品質の向上が期待されます。さらに、楽天回線とパートナー回線の接続切り替えもスムーズになったとのことです。
ただし、以下の4点により、新しいローミング協定に過度な期待は禁物です。
まず、東名阪でのローミングは6月から順次開始されるため、6月1日から一気につながりやすくなったわけではありません。
また、楽天モバイルのパートナー回線はauと同じ通信品質ではない点にも注意が必要です。auはさまざまな周波数帯を使って通信しているうえ、複数の周波数帯を束ねて通信する「キャリアアグリゲーション」という技術を用いて通信を高速化しています。しかし、楽天モバイルで使えるのはauが持つ周波数帯のうちの1つ(800MHz帯のみ)で、キャリアアグリゲーションもありません。この800MHzはプラチナバンドと呼ばれ、地下や建物の中にも届きやすいため楽天回線でつながりにくい場所でも使えるようになることが期待されるものの、速度はあくまで最低限普通に通信できるレベルと考えておいた方がよいでしょう。
また、ローミングは繁華街の一部エリアで局所的に提供されるため、東京23区、大阪市、名古屋市ならどこでもKDDI回線が使えるわけではありません。東名阪におけるローミングは、あくまで繁華街で楽天回線がつながりにくい場所をスポットで補助する役割です。
なお、東名阪以外でローミングエリアが広がることはないため、それ以外の地域では今回の新協定で通信品質が向上することはありません。ただ、契約者数が多い東名阪で通信品質が向上するのであればユーザーにとっては朗報です。過度な期待はできないものの、今後の通信品質改善を願いましょう。
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