HONORはもともとHuaweiのサブブランドだったが、米国政府の制裁を受けた影響で2020年に分離独立した。Huaweiから多くの技術者が移動したが、スマートフォンの出荷台数でAppleを抜くほどの技術力を持った旧Huaweiの開発陣と、HONORの独立後の動きを見て入社した新しい技術者たちが、次々と優れたスマートフォンを生み出していった。
HONORのカメラフォン「Magic」シリーズは歴代モデルがカメラベンチマークを行うDXOmarkでトップの評価を受けている。現在もDXOmarkの上位を見ると、2023年2月発表の「HONOR Magic5 Pro」が3位、そして1年以上前の2022年3月発表の「HONOR Magic4 Ultimate」が6位。日本では独立後のHONORの動きはあまり知られていないが、大手メーカーのフラグシップモデルと互角の製品をHONORは出している。
HONORは2022年9月に「フラグシップモデルも海外に積極展開する」とアナウンスし、同年11月に発表したMagic Vsをグローバルでは2023年3月に発表、またMagic 5シリーズは2023年3月に中国とグローバルで同時発表した。HONORのグローバルシェアはまだ低いものの、フラグシップクラスの製品の展開はサムスンに取って大きなライバルになる。
サムスンのGalaxy Z Fold5はIPX8の防水対応、専用スタイラス「Sペン」による手書き対応など、Magic V2より優れた点はある。だがMagic V2 Ultimateは専用ペンの利用ができる。これから始まるサムスンの折りたたみスマートフォンの大々的なキャンペーンに乗じてMagic V2がグローバル展開されれば、プレミアム市場でHONORの存在は一気に高まるかもしれない。
2019年に「Galaxy Fold」を発表してから数年間、折りたたみスマートフォン市場はサムスンが道を開いてきた。しかし2023年に入り、中国メーカーの技術力がサムスンを追い抜き始めた。折りたたみスマートフォンはここにきて、新世代の製品に進化を遂げようとしている。
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