“世界最薄折りたたみスマホ”の座を手にしたHONOR 中国メーカーがサムスンを超える?山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2023年08月22日 10時45分 公開
[山根康宏ITmedia]

 HONORが2023年7月12日に発表した「Magic V2」が、中国で大きな話題となっている。スマートフォンのカメラ性能で世界トップクラスの製品を次々と排出していたHONORが、次は折りたたみモデルで覇権を握ろうとしている。グローバルでも発売予定のMagic V2は折りたたみスマートフォンの概念を大きく変えるモデルになるだろう。

HONOR Magic V2 極薄ボディーが目を引く「HONOR Magic V2」

世界最薄折りたたみスマホの座をHONORが奪う

 HONOR Magic V2は開くと7.92型、閉じると6.43型のディスプレイが現れる横に開く形状の折りたたみスマートフォン。カメラ性能も高く、5000万画素の広角、5000万画素の超広角、2000万画素の2.5倍望遠を搭載。2023年7月時点で販売されている各社の折りたたみスマートフォンの中でも大きな画素数を誇る。

 しかし特筆すべきは本体の大きさ。開いたときの最薄部の厚みはわずか4.7mmで、同社は世界最薄の折りたたみスマートフォンをうたう。また閉じたときの厚さ(奥行き)も9.9mmで、10mm以下にすぎない。HONORのGeorge Zhao CEOはMagic V2の新製品発表会で「折りたたみスマートフォンは『ミリサイズ』の時代がやってきた」と誇らしげに語った。

HONOR Magic V2 新製品発表会でMagic V2を披露するGeorge Zhao CEO(オンライン発表会より)

 Magic V2のサイズは開いたときが145.4(幅)×156.7(高さ)×4.7(奥行き)mm、閉じたときが74.1(幅)×156.7(高さ)×9.9(奥行き)mmとなる。重量は231g。ここまで薄く軽量となると、一般的なスマートフォンとその使い勝手は変わらないだろう。「折りたたみスマホ=重い」という図式はもはや全く当てはまらないのだ。

 ちなみに、前モデルの「Magic Vs」は開いたときが141.5(幅)×160.3(高さ)×6.1(奥行き)mm、閉じたときが72.6(幅)×160.3(高さ)12.9(奥行き)mm、重量は261gだった。厚さは23%、重量は12%軽量化されたことになる。

 Magic V2はまず中国で発売された。価格はメモリ16GB+ストレージ256GBモデルが8999元(約17万8000円)、同16GB+512GBモデルが9999元(約19万8000円)。前モデルが中国発売後、欧州やアジアにも投入されたことから、Magic V2もグローバル展開が予定されている。

HONOR Magic V2 驚異的な薄さ。もはや普通のスマホと変わらない

 実はMagic V2の発売前に、中国では超薄型の折りたたみスマートフォンが発売された。2023年3月に発表されたHuaweiの「Mate X3」だ。Mate X3は厚さが5.3mm(開時)、11.3mm(閉時)、重量は239gという、当時では世界最薄・最軽量の横折り式の折りたたみスマートフォンだった。Mate X3の新製品発表会ではHuaweiのビジネスコンシューマーグループCEO、Richard Yu氏が「iPhone 14 Pro Maxより軽い」と説明し、もはや折りたたみスマートフォンを選ばない理由がなくなったとアピールした。

 そのMate X3登場からわずか3カ月半でHONORはあっさりと世界記録を抜き去った。しかもmmクラスの厚さというおまけつき。Mate X3は、スマートフォンで苦しむHuaweiがあらん限りの技術力で生み出した製品に見えたが、HONORの技術力はさらにその上を進んでいたのだ。

 ここで改めてMagic V2、Mate X3、そしてiPhone 14 Pro Maxの厚さ、重量、ディスプレイサイズを比べてみよう。Magic V2はディスプレイサイズでもMate X3より大きいにもかかわらず、厚さと重量は少ない。

  • Magic V2:4.7mm(開時)、9.9mm(閉時)、231g、7.92型/6.43型
  • Mate X3:5.3mm(開時)、11.3mm(閉時)、239g、7.85型/6.4型
  • iPhone 14 Pro Max:7.9mm、240g、6.7型

 ここまでサイズが薄ければ革張り風仕上げの高級モデルもサイズは大型化しない。ビーガンレザーで仕上げたMagic V2 Ultimateモデルは厚さが4.8mm/10.1mm、重量は237gでやはりMate X3より薄くて軽い。ケース不要でも十分使えるため、ノーマルモデルにケースをつけるより、Ultimateモデルの方が普段は実質薄くて軽い、となりそうだ。

HONOR Magic V2 レザー風仕上げのUltimateモデル

ライバルはiPhoneにあらず フラグシップは折りたたみになる

 HuaweiのMate X3は3月、HONOR Magic V2は7月に発表された。そしてサムスンの折りたたみ新製品「Galaxy Z Fold5」「Galaxy Z Flip5」も例年8月の発表を前倒しして2023年7月26日に発表された。サムスンは新製品の発売を8月11日と、これも例年より早めている。

HONOR Magic V2 サムスンの2023年折りたたみ新製品発表会は7月26日に開催された

 スマートフォン各メーカーは大型新製品の発表会を年に2回行うのが過去の習わしだった。年明けにはカメラ強化モデルを発表し、秋にはiPhone新製品に対抗するモデル、HuaweiのMateシリーズ、サムスンのGalaxy Noteシリーズが発表されてきた。しかし2023年の折りたたみモデルの発表時期を見ると、もはやiPhoneの発売スケジュールとは無関係になっている。

 HuaweiとHONORは新製品発表会でiPhoneとのサイズ比較などを行ったが、サムスンの発表会ではiPhoneの名前すら出てこなかった。それはもはや「ただのスマートフォン」と折りたたみスマートフォンはカテゴリーの違う製品であり、春のカメラフォンと夏のフォルダブルフォンという、2つのフラグシップ戦略に製品展開を切り替え始めたからだろう。

 折りたたみスマートフォンは確かに話題の製品だが、全スマートフォンの出荷台数の中ではまだ数は少ない。カウンターポイントによると、2023年第1四半期のスマートフォン全出荷台数は2億8020万台であったのに対し、折りたたみスマートフォンは250万台と全体のまだ1%程度。しかしスマートフォン市場全体が14.2%の出荷減となる中、折りたたみモデルは6%増加している。特に高価格なプレミアムモデルを購入する層にとって、折りたたみスマートフォンは購入のターゲットになりつつある。

HONOR Magic V2 折りたたみスマートフォンは各社のプレミアムモデルになる

 価格の高いプレミアムスマートフォン市場ではAppleが圧倒的な人気を誇っており、各社はこれまで対抗モデルを出してきた。しかし折りたたみモデルというApple不在の市場が立ち上がったことで、各社はAppleの影を意識せずに新製品開発を行うようになった。

 「フォルダブルiPhone」のうわさ話はよく出るものの、折りたたみディスプレイを製造できるメーカーの数と生産枚数は限られている。Appleが折りたたみモデルを出すのはまだ当分先であり、その間に各社は折りたたみスマートフォンを独自展開していくことで、プレミアムモデル市場での存在感を高めようとしているのである。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月09日 更新
  1. コンセントに挿すだけで見守れる「Wi-Fiセンシングプラグ」発売 人感センサーよりも広範囲に検知 (2026年04月07日)
  2. メルカリで詐欺に遭った話 不誠実な事務局の対応、ユーザーが「絶対にやってはいけない」こと (2025年04月27日)
  3. 「Google Pixel 10a」を実質3万9800円で入手する方法 先代「Pixel 9a」から“値上げしなかった”理由 (2026年04月07日)
  4. 「任天堂3DSの未使用品、素手で触るなよ」――中古店による「素手持ち」写真が物議 商品ランクの定義とは? (2026年04月07日)
  5. 「Google Pixel 10a」はどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年04月08日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. 依然として人気の高い「iPhone SE(第3世代)」、2万円台のお手頃価格も魅力 Back Marketの販売ランキング (2026年04月07日)
  8. Android 15搭載11.97型タブレット「アイリスオーヤマ 12型タブレット TM12E2W74-AZ1B」が19%オフの2万3800円に (2026年04月08日)
  9. 「Google Pixel 10a」が日本上陸 価格は据え置きの7万9900円から 日本限定カラー「Isai Blue」も (2026年04月07日)
  10. iPhoneの「衛星経由のSOS」って誰が使えるの? (2026年04月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年