Y!mobileも主戦場は20GB、楽天モバイル対抗の側面も 新料金プランの狙いを読み解く石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年08月26日 12時23分 公開
[石野純也ITmedia]

値上げか? 実質値下げか? 割引への依存度は上がる

 一方で、データ容量が上がった分、料金自体もやや値上げになっているのも事実だ。例えば、現行のシンプルは、Sプランが各種割引適用前で2178円なのに対し、シンプル2は2365円と187円高くなっている。Mプランも、シンプルは3278円だったが、シンプル2は4015円だ。より値上げ幅が大きいのはLプラン。こちらは4158円から5115円へと957円も高くなっている。寺尾氏は、こうした見方に対し、「われわれとしてもサステナブル(持続可能)にしなければいけない」と語る。

ワイモバイル 割引適用前の料金を見ると、いずれのプランも値上げされていることが分かる

 ただし、最も容量の少ないSプランは、「無料で作れるPayPayカードを申し込んだ際の187円の割引を織り込んでみれば、現在と(ほぼ)同額」になる。最安の1078円まで料金を下げるには、家族で契約した2回線目か、「SoftBank光」「SoftBank Air」などの固定回線サービスも必要になるが、この建てつけは現行プランも同じ。差分として「PayPayカード割」を設けた分の値上げといえる。「家族割引サービス」や「おうち割 光セット」の割引額も1188円から1100円に下がってしまったが、それを加味しても、各種割引適用後の料金は88円の値上げにとどまっている。

ワイモバイル シンプル2には、PayPayカード割が導入されている。Sプランは、この分だけ値上げした格好。事実上、PayPayカードの加入促進策といえそうだ

 Mプランに関しても、おうち割 光セットの割引額が1650円に上がったことで各種割引適用後の料金は2178円まで下がる。現行のシンプルMプランとの比較だと、こちらも最安価格では88円の値上げにとどまる。逆に、Lプランは大きく上がった素の価格を割引で吸収できず、3278円になり、現行プランから308円の値上げになる。その意味では、SプランとMプランは大幅な値上げにならないよう、踏みとどまっていることが分かる。

 これは、Y!mobileの「主力になっている」のが、SプランやMプランだからだ。寺尾氏によると、「大体SプランとMプランが同じぐらいの割合で(多く)、だんだんMプランが増えている」状況だという。ボリュームゾーンに大きな影響を与えてないよう、データ容量を増やしつつも、料金を抑えようとしていることが見て取れる。これに対し、Lプランは「もともとわれわれとして、少し安くしすぎていたのでリバランスしている」という。

ワイモバイル 現行のシンプルプランは2020年12月に発表され、2021年2月に導入された。発表時よりデータ容量を増やし、おうち割 光セットの割引額も増額している。他社対抗上、Lプランの料金が安く抑えられていた

 現行のLプランは、データ容量が25GB。各種割引適用後の料金は2970円だが、これはドコモのahamoと同額だ。寺尾氏が「Lプランは競合時の状況があったのでいびつになっていた」と語っていたように、他社対抗上、あえて安めに設定していたようだ。一方、シンプル2はMプランが20GBに上がり、Lプランをahamoにぶつけた価格設定をする必要がなくなった。30GBで3278円になると、メインブランドのソフトバンクで4928円からの「メリハリ無制限」に加入することも視野に入ってくる。代わりに、主力となるSプランやMプランを手厚くしたというわけだ。

 とはいえ、Sプランはさておき、Mプランはおうち割 光セットがないと、やはり値上げになる。素の状態はもちろん、家族割引がついた状態でも現行のシンプルより料金は高い。こうした見方に対し、寺尾氏は「ギガ単価は下がっている」と反論する。実際、Mプランで比較すると、各種割引適用後は1GBあたりの料金が139円から109円に下がっている。Sプランも330円から約270円に下がっており、いずれも2割前後、1GBあたりの価格は落ちていることが分かる。

ワイモバイル 割引適用前の価格は上がったが、割引を拡充することで1GBあたりの単価は大きく下がっているという。ただし、主力ではないLプランはギガ単価が8%程度しか落ちていない

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