誕生から四半世紀を経たBluetoohだが、規格やブランドとして長続きしたのは「3つの潮流」があったからだという。
「Bluetoothの出発点、原点」(コルドラップCMO)であるワイヤレスオーディオ(Bluetoothオーディオ)は、規格の黎明(れいめい)期からメジャーな用途となっている。
当初は携帯電話向けのワイヤレスヘッドセットで使われ、自動車のハンズフリー通話でも利用され始め、現在では完全ワイヤレスイヤフォンを含むワイヤレスオーディオデバイスでもBluetoothが広く使われている。
昨今では、スマホの普及に伴い、Bluetoothオーディオの機能を備える“補聴器”も現れ始めた。Bluetoothオーディオの最新規格であるBluetooth LE Audioでは、このようなBluetooth補聴器の標準サポートを盛り込んでいる。音声の一斉配信機能であるAuracast ブロードキャストオーディオも、音声に関するアクセシビリティー向上の観点から実装されたという。
ABI Researchによると、Bluetoothオーディオ対応機器は2023年に13億台以上、2027年には17億台以上の出荷が見込まれるという。用途としては最古参ながらも、今後も成長が期待できる分野といえる。
「有線の束縛からの解放」を目指して、Bluetooth SIGがワイヤレスオーディオの次に取り組んだのが、コネクテッドコンシューマーエレクトロニクスの分野だ。平たく日本語でいえば「周辺機器や家電でのBluetoothの利活用」といったところである。
同団体は2009年、低消費電力の通信モードである「Bluetooth Low Energy(BLE)を策定した。この規格は元々、Nokiaが2006年に開発した「Wibree(ワイブリー)」という規格だった。それを、同団体が標準規格として“引き継いだ”結果、Bluetoothの規格の1つとなった。
BLEが真っ先に使われた用途の1つが、PCや携帯電話/スマートフォン向けのキーボード/マウスである。BLE以前(≒Bluetooth 2.3まで)のBluetooth規格を用いるよりも、消費電力を大きく抑制できるからだ。その後、BLEはスマートバンドやスマートウォッチを含む、スポーツ/フィットネス機器でも使われ始め、最近では医療機器や健康管理機器にも使われるようになった。スマートトラッカーなど、新ジャンルの電化製品にも用いられている。
ABI Researchによると、Bluetoothを用いるコネクテッドコンシューマーエレクトロニクスデバイスは2023年に16億台以上、2027年には29億台以上の出荷が見込まれるという。Bluetooth規格の成長ドライバーといえそうだ。
従来のBluetoothデバイスは、どちらかというと「B2C」、つまり個人/家庭で使うものが多かった。Bluetooth SIGでは、その用途を「B2B」「B2B2C」といった産業向けにも広げる活動も行っている。
工場における「予知保全システム」、ビルの照明を遠隔制御する「照明制御システム」、工場や倉庫において作業者の動向をトラッキングする「追跡システム」や、リアルタイムに価格を変えられる「電子値札(ESL)システム」にBluetoothが利活用されているという。
現在、Bluetooth SIGとして注力しているのが上記3分野だが、用途の拡大を支えているのが各種機能強化(プロファイルやプロトコルの追加など)である
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