Appleにブロックされた「Beeper Mini」、アップデートで復活 当面は無料アプリに

» 2023年12月12日 06時48分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Beeperは12月11日(現地時間)、4日にGoogle Playストアで公開し、8日に送受信不能になったAndroid向けチャットアプリ「Beeper Mini」をアップデートし、復活させたと発表した。

 beeper

 月額1.99ドル(日本では300円)のサブスクリプションアプリとしてリリースしたが、「状況が安定するまで」無料で利用できるようにした。「状況が安定したら(安定することを願っている)、再度有料にすることを検討している」という。米Appleが再度ブロックしてくることを予想しているようだ。

 また、従来はApple IDが不要だったが、アップデートでApple ID必須になった。

 Beeper Miniは、Appleのデフォルトチャットアプリ「iMessage」にAndroid端末から接続する際、既読確認やフルサイズの画像・動画の送受信、「青いフキダシ」など、Apple製品とほぼ同じ機能が使え、E2EEも提供するというアプリだ。

 Beeperはこのアプリのリリースに当たり、iMessageのプロトコルをリバースエンジニアリングしたことでこうした機能を実現したが、法的には問題がないはずだと説明した。

 Appleは9日、米The Vergeに対し、「iMessageにアクセスするために偽の認証情報を悪用する手法をブロックすることでユーザーを保護する措置を講じた」という声明文を送った。

 apple AppleがThe Vergeに送った声明文

 BeeperはAppleから直接連絡を受けてはいないが、この声明文はFUD(ユーザーのFear、Uncertainty、Doubtを煽って競合製品を陥れる戦略)だと主張する。このブロックは、ユーザーの保護のためではなく、「iMessageのロックイン効果を保護するため」であり、AppleはBeeper Miniが「メタデータの漏えいの可能性、スパムやフィッシング攻撃を可能にする可能性がある」としているが、その逆だという。

 現在、iMessageでAndroidユーザーにメッセージを送ると、自動的にE2EEではないSMSになり、グループチャットにAndroidユーザーが参加するとグループチャット全体がSMSになる。この方がよほど危険だとBeeperは主張する。

 Appleが再度Beeper Miniをブロックする可能性は高いだろう。だが、Beeperの今回の動きは米国で注目を集めており、エリザベス・ウォーレン議員(民主党、マサチューセッツ州)は10日、AppleがBeeper Miniをブロックすることに疑問を呈し、「大手IT企業は競合を潰すことで利益を守っている」とXでAppleを非難した。

 Appleは11月、2024年にはSMSの代わりに、ほとんどのAndroidデバイスが採用しているメッセージング標準のRCSを採用する計画を明らかにしている。

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