台湾MediaTekは1997年設立のファブレスメーカーで、スマートフォンやデジタル機器に詳しい人だと、低価格帯のスマホやテレビなどでMediaTekのチップを搭載したモデルを見かけたことがあるだろう。
5G時代の2020年からはDimensity 5Gチップとしてミッドレンジやハイエンドへと製品の幅を広げ、Xiaomiを含む中国の大手スマホメーカーで採用が進んだ。日本でも「Xiaomi 11T」やシャープ製「AQUOS wish3」、モトローラ製「edge 40」などが発売されている。そして今回のXiaomi 13T Proでは、待望のハイエンド向けチップ、Dimensity 9200+搭載モデルが日本にも投入されたというわけだ。
では早速ベンチマーク結果を見ていこう。総合ベンチマークの「Antutu Benchmark」では14万点台、3Dグラフィック性能を計測する「3DMARK WildLife Unlimited」で1万4000点台と、いずれもライバルのSnapdragon 8 Gen2と同等のスコアを記録した。冬場のテストという理由もあるが、テスト中の温度上昇が緩やかなのも好印象だ。
だが、主にCPU性能を計測する「Geekbench 6」はSingle-Core 1295、Multi-Core 3560で、Snapdragon 8 Gen2搭載モデルのSingle 1800前後、Multi4900前後と比べ低めのスコアだ。とはいえ、現在のハイエンドモデルのCPU性能は十分高く、一般的なアプリを快適に動かせることに変わりはない。
ハイエンドスマホに求められるゲームのプレイ環境だが、PCやゲーム専用機に近い高画質3Dグラフィックのゲーム、miHoYoの「原神」を高画質設定かつ60fps設定でもプレイできた。音楽リズムゲームのバンダイナムコエンターテインメント「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」も3Dグラフィックの描写はもちろん、新しいチップのスマホにありがちな、リズムゲーム中の譜面タッチに対する効果音の極端な遅延も確認できなかた。
この他のゲームや一般的なアプリも試したが、特に違和感なく快適に操作できた。AndroidかつQualcomm製以外のチップを搭載したスマホで、ここまで最新ハイエンドの性能に肉薄し、高性能を求めるゲームタイトルを問題なく動かせる製品はなかなかない。
バッテリー容量は5000mAhで、利用中のバッテリーの持ちはかなりいい部類だ。もちろん、3Dグラフィックのゲームなど高負荷なアプリを動かし続けるとそれなりに減る。だが、スリープ時の電力消費がかなり少なく、メールやSNS中心の利用だと2〜3日は利用できた。
さらに、急速充電の120W Xiaomi ハイパーチャージに対応。ソフトバンクでいう神ジューデンだ。付属の120W充電器を接続すると、最短で1%から100%まで19分で充電できる。朝の急ぎの時間や、外出先や停電などで充電できる時間が短いときに便利だ。
実際にバッテリー計測アプリの「Battery Mix」を起動し、スリープ状態のまま1〜100%まで充電してみた。結果、標準設定の充電ブーストが「オフ」で約27分、充電ブーストを「オン」にすると本体が熱くなるものの約21分で充電できた。アプリが動作していない状態なら19分で充電できた可能性がある。バッテリーへの負荷を考えると、通常は標準設定の充電ブースト「オフ」で利用した方がよさそうだ。
なお、USB PD対応の充電器に接続した場合は、充電器にもよるが25W前後での充電になる。スリープ状態での充電時間は1〜100%まで約45分と、一般的なスマホより高速だ。
5Gなどのモバイルデータ通信周りだが、nanoSIMとeSIMのデュアルSIMに対応。周波数帯はソフトバンクの他、動作を保証するわけではないがNTTドコモ、KDDI、楽天モバイルの利用に必要なものはほぼ対応している。気になるのは、ドコモのn79に非対応という点ぐらいだ。
UIはAndroidベースのMIUIとなっている。アプリがホーム画面の右側の画面に追加され、右上から下のスワイプでクイック設定、左上から下のスワイプで通知を確認するなど、操作方法はどちらかというとiPhoneに近い。
なお、Xiaomiはグローバル向けに、2024年の第1四半期からMIUIの後継として「Xiaomi HyperOS」を提供すると発表している。これにより、動作の効率化やUIのリニューアルや、機器連携が強化される。ただし、日本向けモデルへの提供は今のところアナウンスされていない。
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