なぜ今、ガラケー型スマホなのか 2つ折り「Mode1 RETRO II」の開発意図を聞く(1/3 ページ)

» 2024年01月30日 10時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 異色の携帯電話端末「Mode1 RETRO II MD-06P」が2023年10月20日に発売された。昨今では珍しい折りたたみ型かつテンキー付きの携帯電話端末だ。

 しかも、Android 13の搭載により、LINEやX(旧Twitter)など、スマートフォン向けにGoogle Playで配信されているアプリをインストールできる。

 そんなニッチな端末を世に送り出したのがモーターバイク事業のMoto-UP、携帯電話販売店「テルル」運営元のピーアップなどを傘下に持つP-UP World(ピーアップワールド)だ。なぜ今どき珍しい端末をあえて市場に投入したのか、Mode1 RETRO IIの商品開発を担当した梅澤俊之氏に話をうかがった。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ 「Mode1 RETRO II MD-06P」はP-UP Worldが2023年10月10日に発表し、20日に発売した折りたたみ端末
Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ Mode1 RETRO IIの実機。ニュースリリースで「型はガラケー、中身はスマホ」と表現されている通り、物理ボタンとタッチ操作が可能なディスプレイを備える

Androidに極振り 戻る/ホーム/タスクは物理キーとして搭載

―― まずはMode1 RETRO II発売の経緯を教えてください。

梅澤氏 われわれは2017年9月25日に「Mode1 RETRO MD-02P」を発売しました。いわば初号機に当たるモデルです。このモデルはハイブリッドスマートフォンという位置付けで投入しました。われわれが目指したのはフィーチャーフォンからスマートフォンへの架け橋になるような存在です。これがハイブリッドスマートフォンの意味です。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ Mode1 RETRO IIの1世代前に当たる「Mode1 RETRO MD-02P」。2017年9月25日に発売された

 世の中にはどうしてもフィーチャーフォンから離れられない人がいます。だからといって、われわれがフィーチャーフォンをそのまま市場に投入するというわけにはいかないので、乗り換えの架け橋となるような端末を市場に投入することを決めました。

 アプリを入れられるなど、スマートフォンのいい所を少しずつ勉強しながら、最終的にはスマートフォンに移行してもらえるようなことを目指し、設計したのがMode1 RETROであり、2世代目に当たるMode1 RETRO IIでもそのコンセプトを受け継いでいます。

 製品名には古いけど新しいという意味を込めています。つまり、最新のものを取り入れて、懐かしさも取り入れる、ということです。

―― 初代もMode1 RETRO IIも変わっていないのですね。RETROに込めた思いはありますか。

梅澤氏 そうですね。われわれとしてはハイブリッド端末という言い方をしています。ただ、レトロといっても、決して古臭いという意味ではなく、最新のものを取り入れつつも、懐かしさも重視すること、これがRETROという名に込めたわれわれの考えです。

―― 初代から変えた部分はありますか。

梅澤氏 われわれはコールセンターを持っており、「テルル」という販売店もグループ会社が運営していますから、Mode1 RETRO IIの設計に際しては、やはり初代をお使いの皆さんの声を聞きながら、次期モデルでは何をどうすべきかを模索していました。

 予算の範囲内でユーザーさんに満足してもらえる、要望に寄り添うような形で作っていきたいという思いはありました。

 Mode1 RETRO IIではAndroidに極振りしています。Mode1 RETROでは戻るボタンなどを物理キーとして設けていませんでしたので、やはりキーから小型ディスプレイの方へ指を動かし、丸、三角、四角ボタンのいわゆるソフトウェアキーを表示させて、戻るなどの操作をしてしまいます。ですが、フィーチャーフォンに近い3型クラスの小型ディスプレイにソフトウェアキーを表示させると、場合によっては邪魔になります。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ スマートフォンではソフトウェアキーとしてディスプレイに表示される丸、三角、四角ボタン。それぞれ戻る/ホーム/タスクを意味するが、Mode1 RETRO IIでは物理ボタンとして設けられている

 そのため、Mode1 RETRO IIではこれらのボタンを物理ボタンとしてキーパッド内に配置しました。ハイブリッドスマートフォンである前にフィーチャーフォンとしても機能しますから、携帯電話端末としての使いやすさを重視した結果、このような判断に至ったわけです。

 それに加えて、OSの制約により、丸、三角、四角ボタンがなければ、Google Playで配信されているアプリをインストールできないので、極力、アプリケーションを入れることができるようにするためにも、物理キーとしてこれらのキーを設けています。こちらはMode1 RETROユーザーさんの声を反映した結果でもあります。

 サイズ感も重視しています。昨今のスマートフォンの重量は200g強あり、メインとサブの2台を一緒に持ち歩くのは大変ですよね。そういったシーンを想定し、Mode1 RETRO IIの重量は約145gとしています。

 とはいえ、バッテリーの持ちも大事です。実はMode1 RETROで最も多く使われた機能がテザリングでした。Mode1 RETRO IIもテザリング機能を搭載しています。なるべくテザリング使用でも電池持ちがいいね、と感じてもらえるようにすべく、厚さは先代の18.1mmから1.9mm増した20mmとなってしまいましたが、バッテリー容量を1650mAhから2500mAhに増量しました。

―― なぜその容量なのでしょうか。

梅澤氏 初代は1日バッテリーが持つように設計していましたが、下手をすると平成初期のガラケーと同じ厚みになってしまいます。そうならぬように2500mAhとしました。横幅を細くして厚みをある程度抑えています。お客さまから評価を得た厚みになるようにしています。

四角く手に引っ掛かるような形状に変更 バッテリーの持ちにも自信

―― バッテリーの持ちも大事にしつつも、厚みは何mmくらい抑えられているのでしょうか

梅澤氏 数値上はMode1 RETROが約56mm、Mode1 RETRO IIが約52mmですから、約4mm抑えています。

 形状についてはMode1 RETROがかまぼこのような形をしていましたが、本体の一部が少し大きかったので、手になじみやすいようにしていましたが、Mode1 RETRO IIでは四角く手に引っ掛かるような形状に変えています。

 Mode1 RETROが全体的に丸みを帯びていた、ということではなく、むしろMode1 RETROの方がMode1 RETRO IIよりもフラットでした。ただ、国内メーカー製のCMOSイメージセンサーを採用するとなると、どうしても厚みが出てしまいます。

 それをごまかすためにもアウトカメラのフレームを大きくしています。本当はここまで大きくする必要はないですが。もっと言うと、一眼レフのような形にしたかったですが、それだと不格好になり過ぎてしまいます。

―― 横幅もかなり抑えてありますが、ここも意識されたポイントですか。

梅澤氏 横幅が約56mmで2021年10月10日発売のスマートフォン「Mode1 Grip(MD-05P)」と比べても、データではバッテリー持ちがよくなっています。

 余談ですが、私は会社から車で新潟へ帰るときがありますが、およそ6時間はかかります。その際、Mode1 RETRO IIでテザリングを起動し、そのWi-Fiをナビでつかむように設定し、使い続けてみたところ、着いたときのバッテリー残量は約25%ほどでした。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ 「Mode1 RETRO IIでナビを試した」と語る、P-UP World商品開発室長の梅澤俊之氏。常日頃から使う携帯電話だからこそ、持ちやすさやバッテリー持ちにこだわったそうだ

 バッテリー持ちという意味では、Android 12からAndroid 13にアップデートしてから出荷しています。その代わりにOS自体が重たくなってしまいましたが。

―― Mode1 RETRO IIでもナビは一応、使えるのですね。

梅澤氏 Mode1 RETRO IIもAndroidを搭載していますから、他社のフラッグシップ端末と並べて、どの端末のナビ性能がよいのかをチェックしました。

 位置情報とGoogle マップに関してよくある話ですが、チェックをしていると、自分の向いている方向と、画面上の方向が反対になってしまうことがあります。電子コンパスの機能になります。その角度調整にもかなりの時間を費やしました。

 Mode1 RETROと比べてもナビだけはやたらとよい精度になるように調整しました。

折りたたみのMode1端末としては初めて指紋センサーを搭載

―― 先ほど少しアウトカメラについて触れましたが、Mode1 RETRO IIは昨今珍しいインカメラ付きですよね。

梅澤氏 アウトカメラのユニット自体はMode1 RETROよりも大きくしてしまいました。その代わりにインカメラの性能を落としています。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ Mode1 RETRO IIのアウトカメラ。本体中央にきれいに配置れた大きなカメラリングは、かつてシャープが手掛けた「AQUOS SHOT」や、カシオ計算機製の「EXILIMケータイ」をほうふつとさせるデザインだ

 Mode1 RETRO IIのインカメラの画素数としては約1300万画素ですが、本当は2000万画素にしたかったです。ですが、ユニットを大きくしてしまうと、ユニットがケースに収まらない問題が生じてしまう。

 コンマ何mmの違いにはなりますが、フィーチャーフォンほどコンパクトに作るとなると、コンマ何mmの差であったとしても、すごく致命的です。

 これ(Mode1 RETRO II)で自分撮りをするか? といわれると、そのような方は少ないと感じます。大型のスマートフォンですと、ディスプレイサイズも大型ですから、姿見代わりにお使いの方もいらっしゃると思いますが、このケータイのサイズではそういったニーズがないと踏みました。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ インカメラはディスプレイの右上にある。ただ、約3.5型の小さなディスプレイで、自撮りをするニーズはほぼないという

―― なぜインカメラを入れたのでしょうか。

梅澤氏 正直に言うとインカメラ自体はなくてもよいと考えていました。ですが、Google モバイル サービス(GMS)で必須要件になります。これがないと、この端末であってもGMSに対応できなくなってしまいます。

 GMS対応端末はざまざまな形で市場に流通していて、パッと見では分からないですが、実はGMS対応端末として出すためにベースとなる要件は満たさなければなりません。

―― 顔認証が必須ということではないですよね。

梅澤氏 はい。仮に顔認証の機能を入れたとしても、精度がかなり厳しい……。液晶モニターやPCのディスプレイに表示させた画像だと、顔認証が機能しないですが、紙媒体に印刷したものですと、突破できる可能性がありますから、使用するのは怖いかなと。

 かといって認証機能を全く入れない、というわけにはいかないので、使う方が意外にも多いと聞く、指紋認証機能をMode1 RETRO IIに搭載させました。

 初代のMode1 RETROには指紋センサーを搭載していませんでしたから、折りたたみのMode1端末としては初めて指紋センサーを入れたということです。物理ボタンではPINコードを入力しづらいですから、サイドの指紋センサーに指を当てるだけでロックの解除を行えるようになりました。

 Mode1 GRIPにも指紋センサーが付いています。ただ、その端末のユーザーさんからは、指紋が認識しづらい、感度が悪いというお声をいただきましたが、Mode1 RETRO IIではそういったお声はないです。

Mode1RETRO 初代 2世代目 ケータイ スマホ 側面にある赤色のバーのようなパーツは、事前に登録された指紋で本人かどうかを確認するための認証パーツ。いわゆる指紋センサーだ。指を当てるだけで、PINコードを入力せずにロックを解除できる

 また、よく「なぜテレビが見られないのか」という意見をいただきます。

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