「祝!卒業」「新たな旅立ちがみんなの夢につながりますように」──。そんなNTTドコモ公式アカウントによる投稿がXで一時注目を集めた。一見すると、旅立つ人へのメッセージのようだが、「つながり」がネットワーク品質にちなんだものにも思える。
ドコモのネットワーク品質については、2023年からXを中心に「都市部でつながりづらい」などとするユーザーの投稿が取り沙汰され、「ドコモといえば最もつながりづらい」というネガティブなイメージが植え付けられてしまった経緯がある。
この問題を受けて、ドコモが2023年4月26日に「5Gネットワーク戦略に関する説明会」を開催。この問題とSNSへの投稿について、ネットワーク部長の引馬章裕氏は「特に都市部の混雑しているところで通信速度が低下していることを認識している」と品質低下を認めた。
速度低下の主な要因として、同社は「トラフィックの増大」「瞬速5Gエリア拡大の遅れ」「再開発などによるエリア変動」「特定周波数の逼迫(ひっぱく)」の4つを挙げる。
特に渋谷駅周辺エリアについては、近年で再開発が最も進んでいる都市の1つで、渋谷スクランブルスクエア、渋谷キャスト、渋谷ストリームなど新しい商業施設が続々と完成している。新しいビルができると人が集まってトラフィックも増大してしまう。
「ユーザーの端末がプラチナバンドにつながり過ぎてしまう」問題も起きた。高層ビルが立ち並ぶ環境で、ユーザーの端末がプラチナバンドをつかんで通信をし続けることにより、プラチナバンドの混雑につながってしまったという。
他の周波数帯に空きがあるのに多くの端末がプラチナバンドにつながり続けてしまうと、つながっているもののデータが流れず、「つながりづらい」「遅い」などの体感となってしまったようだ。
ドコモとしてはネガティブなイメージを払拭したく、300億円を先行投資し、全国2000箇所以上の品質改善を目標に取り組んでいることを2023年10月に発表した。2023年12月にはアンテナの角度や方向、出力調整など、既存基地局を活用した対策を完了させた。その後も、4Gと5Gの切り替えを高速に行えるようにするなどして、改善に向けた取り組みを継続している。
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