2024年6月19日付でKDDIの田中孝司代表取締役会長の代表権が外れる。KDDIが3月14日に発表した。田中氏は2010年12月1日から代表取締役社長、2018年4月1日から代表取締役会長を務めた。ガジェット好きでネットワークなどの専門知識を持つことから業界では「田中プロ」として知られる。
代表取締役執行役員副社長の雨宮俊武氏も、同日付で代表取締役から退き、エグゼクティブ・アドバイザーとなる。両氏の異動理由についてKDDIは「業務執行に関して経営陣により多くを委ね、業務執行を監督する立場を更に明確にすることで、当社のコーポレートガバナンスの一層の強化を図るため」だとしている。
あわせて、桑原康明氏が同日付で代表取締役執行役員副社長に昇格することも発表された。
田中氏はいわばスマートフォン時代においてKDDIに欠かせない人物だった。2011年10月14日には「iPhone 4S」を発売し、2012年3月1日には固定通信サービスと組み合わせて毎月のauスマートフォンの利用料金を割り引く「auスマートバリュー」の提供を開始。2014年3月にはau 4G LTEの800MHz(プラチナバンド)で実人口カバー率99%を達成した。
KDDIの歴史をたどれば、田中氏の社長在任時期と、スマートフォンとその関連事業が急速に成長する時期は重なる。特にインパクトがあったのは、NTTドコモが2013年からiPhoneを販売した後の田中氏の発言だ。他社に負けず劣らず「ガツンと行く」──。
この発言が出た2014年当時、KDDIは下り最大150Mbpsのキャリアアグリゲーション(CA)、WiMAX 2+対応の夏商戦向け端末や、電子マネーサービス「au WALLET」など、他社にはない独自の強みをアピールしていた。まさしく「iPhoneを買うなら、エリアが広く、決済という付加価値もある、auで」と言わんばかりの勢いだった。
2018年1月31日の決算説明会では、KDDIが「4月1日をもって田中氏を代表取締役社長から退任させる代わりに、代表取締役会長に高橋誠氏が就任させる」という役員異動を発表した。
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