ローソンエンタテインメントは、今回の仕様変更について「電子チケットの不正防止を目的に利用方法の変更を実施した」と説明している。
もともと人気チケットの転売トラブルは以前から指摘されている。国民生活センターによれば「海外の転売仲介サイトで高額チケットを購入してしまった」「SNSで転売チケットを購入して支払いをしたら、相手と連絡が取れなくなった」といった相談が近年多く寄せられているという(参考)。2019年6月にはチケット不正転売禁止法も施行された。
この数年で普及した電子チケットは、そうした不正防止が期待されるものだ。チケット画面を表示した状態のスクリーンショットによる悪用が難しい電子スタンプの導入や、同行者にチケットを分配する機能、行けなくなってしまったイベントのチケットを適正価格で公式に再販できるリセール機能などを用意するサービスも少なくない。
ただ、システムが複雑化の一途をたどる中で、環境によってはうまく動作しないケースも散見される。例えば、ローチケの公式チケットリセールサービスでは、注意書きとして「auのpovo、楽天モバイルのUN-LIMITなどの一部環境、またはe-SIMやデュアルSIMの一部端末にて認証機能がうまく働かない事象を確認している」として、改善に向けて調査、検討中との記載がある。
一般ユーザーにとって、モバイル回線によって固有サービスの理由に不都合が出るとしてトラブルシューティングに至るのは難しいことも考えられる。こうした部分の対策が、サービスそのものの評価につながることを事業者は念頭に置く必要がありそうだ。
今回のローチケの問題は、ユーザー側にスマホの機種変更またはアプリを再インストールした環境で電子チケットを再表示させる手段がなく、問い合わせによって再表示させられるという情報が後出しになってしまったことが事の発端だ。他社のチケット販売サービスでは、そうした手段や案内が既に整備されていたことも炎上を加速させた理由といえるだろう。
昨今の不正利用対策はいたちごっこという現状もある。日本経済新聞による2023年4月1日の報道によれば、高額転売の際に電子チケットが入った中古スマホを相手に貸し出すといった手口も横行しているという。入場の際に本人確認などを行うといった対策なども行われているが、心ない不正利用者によって、正規ユーザーの利便性が日々損なわれていくのは残念だ。
マイナンバーカードでチケット不正転売の抑止へ デジタル庁やぴあなどが実験
ネットで「障害者割引乗車券」「車椅子対応指定席」を予約可能に JRのきっぷ予約サイト「えきねっと」「e5489」で
スマホアプリで都電の「デジタル乗車券」を期間限定販売 Google PayやApple Payで決済可能
JR東日本が「モバイルSuica」を使った電子チケットを試行 フリー乗車区間の利用分は“キャッシュバック”で対応
povo、ミスドのギフトチケット+データ追加0.5GB(3日間)を300円で提供 11月16日までCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.