あの“ライカのスマートフォン”の第3世代モデルとなる「Leitz Phone 3」がソフトバンクから発売されました。
Leitz Phone 3はシャープのAQUOS R8 Proをベースにライカが監修したスマートフォンです。おなじみの4720万画素1型イメージセンサーにSUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.レンズを搭載したカメラが特徴であり、ライカによるチューニングが施され、ライカの世界観を体現した1台となっています。
Leitz Phone特有のカメラ機能のうち、前作のLeitz Phone 2からの主なアップデート点は「LEITZ LOOKS」と「ライカ・パースペクティブ・コントロール」の2つ。基本性能はCPUがSnapdragon 8 Gen 1からSnapdragon 8 Gen 2へと進化しており、スマホとしても1世代分の進化が見られます。
ベースは2023年夏発売のAQUOS R8 Proと同等であり、最新機種と比較すると周回遅れではあるものの、円安が進行する中発売時価格が前作の22.5万円から19.6万円に下がったことは歓迎できます(関連記事)。
筆者は普段からLeitz Phone 2を利用しており、今回はLeitz Phone 3でカメラ機能がどのように進化したかを中心に見ていきます。
Leitz Phone 3を手にしてまず気付くのが、そのデザインのよさ。初代Leitz Phone 1はLeica Tシリーズのようなシルバーで丸みを帯びたデザインだったのに対して、Leitz Phone 3はLeica Qシリーズのようなシックなブラックになりました。
背面はダイヤモンドパターンのレザー調デザインとなっており、摩擦でハンドリングしやすいとともにライカの赤バッジが映える仕上げになっています。
側面にはホールディング向上のためのローレット加工がなされています。M型ライカのブラックペイント、というのは言い過ぎではありますが、機能性とデザインを両立した、高級感が感じられるライカらしいデザインです。
Leitz Phone 2からの主なカメラ機能のアップデートは、エフェクト機能である「LEITZ LOOKS」にあります。
Leitz Phoneには19mm相当のSUMMICRONレンズが搭載されていますが、LEITZ LOOKSではソフトウェアシミュレーションにより「SUMMILUX 28mm」「SUMMILUX 35mm」「NOCTILUX 50mm」の3本のレンズを使い分けることができます。単にデジタルズームをかけているだけでなく、ボケ味やゆがみ、トーンなどSUMMILUX・NOCTILUX特有の描写をシミュレーションしているのが特徴であり、ズームしたというよりかはレンズを交換した体験ができます。
4720万画素センサーにより、50mm相当でも画質が大きく劣化することなく、各レンズ素直で自然な描写をしてくれます。筆者は本家NOCTILUXもSUMMILUXも所有したことはありませんが、それでも気分はマルチレンズのライカ使い。じっくりと考えながらの街角スナップが楽しめます。
気になる点といえば撮影記録です。Leitz Phone 3からウオーターマークが付けられるようになりましたが、記録に残るのはSUMMICRONのままなのは残念です。
また、LEITZ LOOKS利用時はブライトフレームが出ません。筆者はレンジファインダーのM型ライカの世界観に没入したいので、ライブビューは19mm全域で撮影範囲にフレームが出るスタイルがあればベストでした。
Leitz Phone 3から登場したLEITZ LOOKSの新機能としては、各レンズでF1.2からF8までのF値シミュレーションがあります。
これは物理的な可変絞りがあるわけではなく、各レンズ使用時に絞りを利用したときの描写をソフトウェア上で再現するものです。そのため、通常時やマニュアル撮影では利用不可であり、LEITZ LOOKS利用時のみ利用可能となっております。
例えば、50mmで本家NOCTILUXと同じF1.2開放を再現可能です。大口径レンズ特有のとろけるような前後ボケとNOCTILUX特有のヌケ・透明感はLeitz Phone 3でしか得られません。一方で、ピクセルビニングが利用できないためか、夜間撮影の解像度は落ちる印象です。夜(NOCT)でも明るい写真が撮れるのは本家NOCTILUXの特権なのでしょう。
また、シミュレーションであることが災いし、ボケのエッジ処理が甘いのは他社スマホ同様の課題です。ここは改善が難しいとは思いますが、ファームウェアアップデートに期待です。
LEITZ LOOKSでは画角が変わるだけでなく、併せてフィルター機能も利用できます。従来は「ORIGINAL」「MONOCHROME」「CINEMA CLASSIC」「CINEMA CONTEMPORARY」の4種類だったのに対して、「ENHANCED」「VIVID」という効果が加わり、合計6種類のフィルターを使い分けることが可能です。
従来あるMONOCHROMEはハイコントラストな傾向であり、まさにライカらしい深みのあるトーンを再現可能。MONOCHROMEをオンにすると、さながらライカのモノクロ専用機のように、ついつい光と影を追ってしまいたくなります。
筆者が気に入ったのは新フィルターのENHANCED。シャドーの沈み込みで写真にメリハリが出るのと、周辺減光が最高にクールです。強烈な被写体を見つけたときには積極的に利用したいルックですね。
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