―― もう1つ、ディスプレイに関しては解像度が下がっています。その理由も教えてください。
八木氏 今回、ディスプレイの解像度は変更しましたが、視聴体験はより良いものになるよう、「Powered by BRABIA」という形でAIを活用し、フラグシップのBRAVIAを再現することを試みています。体験会でもデモを通じて、よくなっている、安心したというコメントをいただけています。
解像度変更のメリットとして大きいのが、電池の持ちです。Xperia 1シリーズで最長と言っていますが、実質的にはXperia史上最長で、動画の連続再生時間は36時間になっています。前モデルとの比較でいうと倍以上で、ここはかなりよくなっています。他社モデルも含めて比較しても、一般的な端末の中ではトップクラスで、熱の影響なども含めてかなりポジティブに働いています。
その上で、なぜQHDにしなかったのかという話はあると思いますが、これまでも視聴体験はコンテンツファーストで考えてきました。コンテンツ目線で次の解像度は何かと考えると、やはりフルHDになる。QHDのコンテンツは世の中にほとんどないからです。
―― 確かに、QHDのディスプレイを搭載している端末も、多くは通常時、フルHDに解像度を落としています。メリットが体感しづらいなら、数字だけを追わずにフルHDにというのは理解できます。逆の話になりますが、デザイン的はXperia 1 Vを踏襲している部分も比較的多いかと思います。今回のコンセプトを教えてください。
八木氏 ディスプレイ比率は変わった(結果として見た目が変わった)ことはありますが、それ以外だと、カメラ窓の色を背面のカラーに合わせる形で色を変えています。よりカメラ窓が強調され、三眼であることが伝わるようになりました。また、レンズ部分はすり鉢のようになり、傷つきにくくなっているのと同時に、光が当たるとキラっと光るようになっています。他にも、シャッターキーが前モデルより大型化し、より撮影がしやすくなっています。
―― シャッターキーがあるのも、Xperiaの特徴ですね。やはり、この部分は好評でしょうか。同じく、ハイエンドモデルではほとんど搭載されなくなってしまった3.5mmのイヤフォンジャックも引き続き採用されています。
八木氏 シャッターキーはご好評をいただけている部分で、体験会で使われている方のお話を聞くと、そこはキープしてほしい、撮影の楽しさにつながるといった声があります。ボタン1つで操作感が変わる部分で、よりカメラ的な撮影ができるのは大きなポイントです。
オーディオジャックについても、音楽をとことんこだわる人は有線で遅延なく、環境に左右されないで聞きたい。Bluetoothだとどうしても環境によってビットレートが調整されてしまうこともあるので、最高の音楽を楽しむためのパーツとしてイヤフォンジャックはどうしても必要です。クリエイターの方でも、音楽を作るときの確認でBluetoothヘッドフォンを使う方がいるかというと、いないですからね。
―― 確かに、Bluetoothは都内の混雑しているような場所だと、音が途切れてしまうこともあります。ゲームでの音ズレが気になる人もいるようです。
大島氏 そうですね。途切れないようにするにはどうしてもビットレートを下げる必要があり、最高音質のまま途切れずというところにはまだ技術的な課題があります。
―― 踏襲した部分という観点では、広角カメラのセンサーは先代に続きExmor T for mobileです。やはり、あの性能だとすぐに変えるということにはならないのでしょうか。
八木氏 ただし、よりノイズ感を減らしたり、ダイナミックレンジを広げたりといった、ソフトウェアの改善は入っているので、進化させることはできたと思っています。
―― ソフトウェア的な対応ということは、Xperia 1 Vにそれを適用することもできるのでしょうか。
八木氏 現時点では課題があります。実は今回、カメラのアプリケーションだけでなく、ベースの部分も変えています。
大島氏 (UIのレイヤーだけでなく)深い部分までチューニングをしたということです。
―― ということは、Xperia 1 VIで対応した切り出しの2倍ズームもXperia Vに適用するのが難しいのでしょうか。
大島氏 はい。センサーの方式は同じなのですが、細かいところのチューニングが全然違うので、これをXperia 1 Vに入れようとするとゼロから考え直さなければなりません。実は「Xperia 5 V」を出す際にセンサーのチューニングをしていて、その新しいものがXperia 1 VIに入っています。
八木氏 48メガの真ん中だけを取りあえず切り出したらいいと思われるかもしれませんし、実際にそうしているメーカーもあるのかもしれませんが、それをした際に、色味や画角に差が出ないような調整にはこだわってきました。クロップであっても違和感がないように切り替えられることは意識しながら作っています。
―― 今回は、望遠の焦点距離が変わったのと同時に、テレマクロにも対応しました。これはどういう意図があるのでしょうか。
大島氏 テレマクロもそうですが、それも含めたマクロ撮影がジャンルとしてプレゼンスが上がってきているところです。動画だとスローモーションの表現がそうですが、今までにない体験ができることはクリエイターが新しいことにチャレンジするためのキーになっています。2倍のテレマクロは、普通のカメラでやるのはすごく大変ですが、今回はそれを実現できました。
―― フォーカスがマニュアルですが、オートフォーカスを入れるのは難しかったのでしょうか。
大島氏 今は難しいですね。2倍でそれをやろうとすると、ピントを合わせる場所がすぐに変わってしまうので。
八木氏 オートフォーカスでやるより、自分でピントを合わせて近寄っていった方が被写体に最大まで寄れます。使っていく楽しさも大事にしています。
大島氏 ちなみに、ワイド側のマクロにはそのままオートフォーカスが効きます。
「Xperia 1 VI」は何が進化した? 21:9比率/4Kディスプレイ廃止の理由は? 「Xperia 1 V」と比較しながら解説
「Xperia 1 VI」が大きな変貌を遂げたワケ 実機に触れて感じた「進化」と「足りないところ」
大きく変わった「Xperia 1 VI」のカメラを試す 全面刷新のカメラアプリや光学7倍ズームの新望遠レンズはどう?
「Xperia 1 VI」発表 光学7倍ズームのカメラを搭載も、21:9比率/4Kは廃止 SIMフリーモデルは19万円前後から
“ダサい”と酷評のdocomoロゴ、「Xperia 1 VI」「Xperia 10 VI」には印字されずCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.