―― Xperia 1 VIでは、ベイパーチャンバーも搭載することになりました。やはり、チップセットの性能が上がり、放熱の要件が厳しくなったのでしょうか。
八木氏 Snapdragonの状況に限らず、特に動画において長時間撮影できたり、ゲームで発熱したりしないことが求められたからです。
大島氏 どちらかといえば、ユーザーの要求として長く使いたいというものがありました。ディスプレイに可変のリフレッシュレートを入れましたが、熱対策も1つのキーワードになります。意外だったのが、ゲーマーなーの人たちがすごく食いついてきたところです。もちろん、意識はしていましたが、ここまで反応がいいとは思いませんでした。
―― 各社とも、最近ではAIや生成AIを全面に打ち出すようになってきました。Xperiaもオートフォーカスや色再現などにAIを使っていますが、編集機能などが弱いと思います。レコーダーの文字起こしなどもできません。この点はどうお考えでしょうか。
大島氏 カメラに関わらずですが、意識しているのはリアルタイムクリエーションにAIを使っていくことです。目立っているのはカメラのインプットの部分です。一方の編集はポスト処理ですが、ポスト処理がリアルタイムになってきたときに視野に入れたいと考えています。
八木氏 Powered by BRAVIAのディスプレイにもAIを使っていますが、Googleが得意とするところと、弊社が得意とするところでは違いもあり、すみ分けができています。両社で同じものを作っても……というところはあるので、GoogleがAndroidに得意のAIを展開していく中で一緒にいい体験を作っていければと考えています。
―― 同時に発表されたXperia 10 VIについてもうかがいたいのですが、こちらのディスプレイは21:9のままです。これは今後、19.5:9に寄せていく方向なのでしょうか。
八木氏 Xperia 1 VIに関してはクリエーションも含めて比率を変えていくという方針で、Xperia 10シリーズも視聴環境に関してはそれに近いところはあります。ただ、それ以上にXperia 10シリーズはハンドフィットの部分が好評でした。端末によるニーズの違いもあるので、今年に関してはXperia 1 VIと差を出しています。ただ、21:9が絶対というわけではありません。まずは1回、21:9を残して市場の反応を見てから、今後そろえていくかどうかは考えていきたいですね。
―― ミッドレンジモデルは、各社が端末を投入して競争がかなり激しくなっています。その中で、Xperia 10 VIはどういったところを強みにしていくおつもりでしょうか。
八木氏 まずは電池の持ちと軽さのところです。2日間、しっかり電池が持つというのは、各社ができているかというとそうではありません。また、一般的に、中国メーカーのミッドレンジモデルはもっと重い。そこは明確に差があるところだと思っています。ここに、ソニーとしての撮影や視聴体験といった味付けをしてながらどこまでお伝えしていけるかですね。
ディスプレイ比率やカメラUIが一見すると“普通のスマホ”のようになったXperia 1 VIだが、その狙いはターゲットを広げるためではなかった。象徴にもなっていた機能が一気に変わったため、コンセプトを刷新したのかと思いきや、話を聞いていると、時代に合わせたアップデートに近い印象も受けた。クリエイターの意見を反映させ、機能を研ぎ澄ましていた結果が、この比率であり、このカメラUIだったというわけだ。
Xperia 1の登場から間もなく5年がたとうとしている中、これまで集まったユーザーの声を集約した結果がXperia 1 VIだったといえる。一方で、AIの活用に関しては、話を聞いても少々ふに落ちない部分があったのも事実。ハイエンドのスマホは高い処理能力を持つだけに、カメラと相性のいい映像編集などの機能にはもっと力を入れていくべきなのではと感じた。今後の開発に期待したい。
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