ドコモは通信品質をどう立て直すのか 前田新社長が語る「品質ナンバーワン」への方策(3/3 ページ)

» 2024年06月18日 19時03分 公開
[石野純也ITmedia]
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社長就任は「まったく想像していなかった」「覚悟を決めるのが大変だった」

―― 今回の社長人事はサプライズといわれている。どのような形で就任を伝えられ、持株会社の島田(明)社長からはどんな話を聞いているのか。

前田氏 井伊(基之・前社長)から話を伝えられたのは事実で、そのときは相当驚いた。正直、まったく想像していなかったので、「私でできますか」という反応をした。「できない」とは言われず、「頑張れ、できる」と言われた。井伊もドコモの社長に決まったとき、その前の吉澤(和弘・元社長)に「できますか」と言ったと聞いている。時期はさすがに言えないが、そんなに昔の話ではない。時間が短く、覚悟を決めるのが大変だったぐらい少し前の話になる。

 私自身がこれまでやってきていない分野まで含めて見なければいけないが、島田社長からは、「会社は1人でやるものではない。みんなの力を結集してやることが大事。そういった考えでやれば大丈夫」と言われた。

NTTドコモ前田義晃 井伊前社長(左)から話を伝えられたという。覚悟を決めるのが大変だったことを明かした。写真は5月の決算説明会

―― お客さま視点というキーワードが出たが、ライバルの存在はどう見ているのか。通信品質も、数字だけでなく現場を体験すれば分かるのではないか。

前田氏 お客さまのお声があることは認識しているし、皆さま(報道陣)からもお声をいただき、改善していきたい。また、他社の方に対してもリスペクトは持っている。お客さま起点で事業運営していくときに大事なのは、いかにバイアスをかけずにフラットに見るか。お客さまの声をしっかり理解すること。ともすれば、「こういうことなんじゃないか」と勝手に尾ひれをつけてしまうが、そうではなく、正面からおっしゃっていただいた事実を正確に受け止めるのが大事だと思っている。

 同じように、われわれは競争しているが、競合他社がどういう形でそれぞれの取り組みをしているかは、しっかり見ていきたい。そこをしっかり見て、把握して、時にはよさをまねすることも含めてどうやっていくか。自分の会社がこうだからこうすればいいというのは、まさにバイアスで、そうではなく、事実をフラットに把握し、取り組みを行っていく。

―― 入社時の2000年は、iモードでイケイケだった。当時と比べて失われているものや、取り戻したいメンタリティはあるか。

前田氏 当時にあって、今にないものがあるとは思っていない。やはり時代は移り変わる。その時その時に最良と思って取り組み、決断する。そうやって前に進んできた。その結果が思わしくないことはもちろんあるが、チャレンジをし続けないと成長することはできないし、強さにつながることもない。そういった姿勢は持ち続ける。



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