ドコモは通信品質をどう立て直すのか 前田新社長が語る「品質ナンバーワン」への方策(1/3 ページ)

» 2024年06月18日 19時03分 公開
[石野純也ITmedia]

 6月14日に、前田義晃氏がNTTドコモの代表取締役社長に就任した。これを受け、同社は6月18日に記者会見を開催。前田氏が今後の経営方針や注力していく分野を語るのと同時に、記者からの質問に答えた。

NTTドコモ前田義晃 新社長としてドコモのかじ取りを行う前田義晃氏。18日の記者会見では、その方針を語った

「当事者意識」「リスペクト」「チャレンジ」の3つを方針に掲げる

 前田氏は、2000年に前職のリクルートからドコモに転職。当時、急成長していたiモードに携わり、その後もドコモがスマートライフ領域と呼ぶ非通信の分野を担当してきた。コンテンツの開拓やサービス開発などがその役割で、最近ではd払いやdポイントといった金融・決済サービスも前田氏が手掛けている。2022年にはカンパニー制で誕生したスマートライフカンパニーのトップに就任した。

NTTドコモ前田義晃 前田氏の経歴。入社以来、一貫して非通信分野を歩んできた

 方針として挙げたのは3つ。1つ目が、「当事者意識を持つこと」だ。特に通信サービスに関しては、「通信を担当していない社員も常に品質を意識する」ことを掲げた。逆に、「通信を担当している社員も、サービス、コンテンツの品質に目を向け、全体に対して当事者になる」(同)という。2つ目が「リスペクトすること」。個人、法人問わず、多くのユーザーの声に耳を傾けることを重視するという。こうした取り組みをしながら、「チャレンジをし続けること」も方針に掲げる。

NTTドコモ前田義晃 「当事者意識を持つ」「リスペクトする」「チャンレジし続ける」の3つを方針として掲げた

 通信事業者であるドコモで、一貫して非通信分野を歩んできた前田氏だが、社長就任会見で真っ先に挙げたのが、「通信サービス品質の向上」だった。「ドコモのサービスは全て通信が土台になっている」という思いがあったからだ。

 通信品質は、「さらなるSub6エリアの拡充を主軸にしながら、マルチユーザーMIMOなどの高機能、最新型基地局への移行も速やかに推進する」ことで向上させていく方針。体感品質も重視し、「混み合う場所や時間帯でも、動画視聴やd払いでの決済を快適にご利用いただける品質を確保する」(同)。モバイルネットワーク体感の評価指標であるOpensignalで1位を目指すことも宣言した

NTTドコモ前田義晃 キーワードはお客さま起点の事業運営。その1つ目として前田氏が挙げたのが、通信サービスの品質向上だった
NTTドコモ前田義晃 混雑するエリアには、Sub6のエリアをさらに広げていく方針を示した

 また、もともと前田氏が担当していた非通信分野は、まず金融・決済サービスの拡充に取り組んでいくという。「最も身近な情報ツールであるスマートフォンならではの強みを生かし、一番身近なライフマネーパートナーになることを目指す」(同)のがその方針。エンターテインメント分野では、「ドコモのアセットやテクノロジー活用していく」(同)。ライブ会場やスタジアム、アリーナでの観戦体験向上や、6月3日に発表のあった国立競技場の運営を通じた新たな体験価値の創造などをその事例として挙げた。

NTTドコモ前田義晃
NTTドコモ前田義晃 決済・金融分野やエンターテインメント分野には、さらに力を注ぎ、サービスの拡充を行う

 研究開発では、HAPSや低軌道衛星(LEO)、静止軌道衛星(GEO)を連携させる「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の取り組みを挙げ、「この領域ではグローバル展開も見据えている」と語った。先に挙げた方針の通り、いずれの注力分野でも「お客さま起点で事業運営」を徹底するという。プレゼンテーション終了後には、報道陣からの質疑応答に答えた。分野別の主な一問一答は、以下の通りだ。

NTTドコモ前田義晃 HAPSや6Gなどの研究開発にも、従来通り注力していく方針だ

Sub6の拡充で体感品質を向上、通信分野の運営方針は?

―― 通信に関して、今の課題をどう捉えているのか。また、非通信分野出身だが、通信分野のかじ取りをどうしていくのか。

前田氏 昨年来、さまざまなご指摘をいただいていたが、23年度を通じて集中対策を実施し、改善は進んでいる。実際、昨年度後半には300億円を投じ、ネガティブな声はだいぶ減っている。お客さま体感品質向上の効果はあったと理解している。もちろん、対策はもっと強化していなければならない。人口集中地域に関しては、さらなるトラフィック増を見据えて、Sub6の集中投下を行う。

NTTドコモ前田義晃 人口集中エリアでは、Sub6のエリアをさらに厚くしていく計画を示した

 これまで通信を直接担当したことは確かにない。ただ、ドコモに来てから10年ほど、iモードをやらせていただいた。さまざまなコンテンツやサービスは、通信のインフラの上で価値が成り立っている。当時から、どのぐらい通信サービスが進化すれば、どういうコンテンツが提供できるかは社内が一体となって検討してきた。もちろん、それはさらに強めていかなければいけない。私だけでなく、ドコモの社員全体がそういう認識を持っている。

―― 現状、通信ではドコモの強みはどこにあると思っているのか。

前田氏 他社に先駆けて「瞬速5G」を整備してきた。全国的に見るとカバー率は一番だと思っているし、全国レベルでの品質を提供できている強みはある。ただ、エリアごとに強い弱いはある。当社だけでなく、他の会社もそうだが、どんどん強化し、負けないようにしていきたい。

―― 5Gへの投資はどうなるのか。

前田氏 まず5Gへの投資は積極的にやっていく。その中でも、Sub6を中心とした通信品質に好影響がある投資は大きく進めたい。東名阪などの都市部を中心としたところには、集中的に(基地局を)打っていくし、全国的にも進めていく。装置自体も新しいものに切り替える。毎年毎年、かなり多くの設備投資をしているが、その中でもかなりの割合をここにつぎ込んでいく。

―― 全社的にネットワークを意識するという話があったが、組織にそれをどう反映させるのか。

前田氏 組織に明確に反映させているわけではないが、ドコモ全体で問題意識を持って強化する。新経営陣全体でも、既に討議をしている。どこのエリアでお客さまが「ここはちょっとよろしくない」と思っているかを見える化して、全社で共有する。問題があるところには、速やかに手を打ちに行く。可視化も含め、それが会社全体で共有され、そこに対して現場がスピーディーに対応していく仕組みをより洗練させる。組織というより、今まで以上に全社で取り組んでいきたい。

NTTドコモ前田義晃 ユーザーの声に向き合い、体感品質で1位を目指すことを宣言した。英Opensignalの調査も重視する
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