スマホの「イヤフォンジャック」「microSDスロット」は廃止されるのか 次のターゲットは「SIMスロット」?(1/3 ページ)

» 2024年06月30日 10時00分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 スマートフォンから減りつつあるイヤフォンジャックとmicroSDスロットは、今でも根強い支持されている機能だ。今回は日本国内にて2024年発売、発表された機種で改めてmicroSDメモリカードや有線イヤフォンが利用できる機種を取りまとめてみた。

少なくなったイヤフォンジャック搭載機、ハイエンドでは少数派に

 まずは、2024年日本で発売(発表)されたスマートフォンにイヤフォンジャックとmicroSDスロットが利用できるか否かを表にまとめた。microSDスロットの有無は本体のストレージ容量の関係が大きいため、端末のストレージの最低容量も合わせて記載している。

microSDメモリカードや有線イヤフォン 現行機種での、microSDスロットとイヤフォンジャックの採用可否。赤字は10万円を超える機種、緑字は4万円を下回る機種

【訂正:2024年7月1日10時50分 初出時、Galaxy A55のmicroSDスロットを、AQUOS wish4のイヤフォンジャックを非対応としていましたが、正しくは対応しています。おわびして訂正いたします。】

 イヤフォンジャックはミッドレンジでは採用機種が一定数あるが、ハイエンドでは少数派だ。10万円を超える価格帯では、現時点でゲーミング性能をアピールする「ROG Phone 8」と「REDMAGIC 9 Pro」、ソニーの「Xperia 1 VI」で採用している。

 また、ソフトバンク専売の「Leitz Phone 3」もイヤフォンジャックを備えるが、こちらのベースモデルは2023年発売のシャープ製のハイエンドスマホ「AQUOS R8 pro」だ。

 ミッドレンジではFCNTの「arrows We2 Plus」、ソニーの「Xperia 10 VI」がイヤフォンジャックを採用するが、Xiaomiやモトローラといった海外勢は採用していない。以前に比べて海外メーカーの機種が増えたこともあり、ミッドレンジでイヤフォンジャックを採用する機種が少なくなった印象だ。

 市場想定価格が4万円以下のエントリーモデルではイヤフォンジャック採用機種も多く、ユーザーからの支持が根強い。このあたりの価格帯ではFMラジオ機能を備える機種もあるため、有線イヤフォンをアンテナとして機能させるために備える。

 さて、ハイエンドスマートフォンにおけるイヤフォンジャックは機能性よりも、もっぱらゲーミングのアピール要素が強くなった。ゲーミング用途では音声の遅延を抑えられること、本体を充電しながら有線イヤフォンを利用できることがアピールポイントだ。REDMAGICやROG Phoneといったゲーミングスマホで支持が根強い点は納得だ。

 また、ソニーのXperiaはゲーミングに加えて音楽の「高音質再生」という付加価値を備えている。このあたりはウォークマンを同じグループ内に持つソニーらしい強みだ。

 ミッドレンジでもイヤフォンジャックを備えない機種が増えているのは、メーカーの考え方も大きい。日本での地盤が強いメーカーはユーザーの声に応える形で採用しているが、海外勢のようにグローバル向け製品をベースに日本向けローカライズをする場合は別途コストもかかるので好まれない。Xiaomiでは自社のワイヤレスイヤフォンを購入特典として提供するなど、利便性を損なわないように対応した例もある。

 また、ミッドレンジやエントリーモデルではFMラジオ機能を備える関係で、有線イヤフォンをアンテナとして機能させるためにイヤフォンジャックを備える機種がある。2024年初めの能登半島地震でも「携帯電話のセルラー通信に依存しない情報収集ツール」としてFMラジオが注目を集めるなど、もしもの備えに応える機能だ。

microSDメモリカードや有線イヤフォン Xperiaはイヤフォンジャックを高音質仕様に仕上げた
microSDメモリカードや有線イヤフォン XiaomiのRedmi Note 13 Pro+では購入者にワイヤレスイヤフォンの「Redmi Buds 5」を提供する
microSDメモリカードや有線イヤフォン
microSDメモリカードや有線イヤフォン moto g24などの廉価機種ではFMラジオ機能をアピールしている

 2024年は端末の変化も大きい。長年イヤフォンジャックの採用を続けていたシャープは、2024年夏に発売する「AQUOS R9」で採用を見送った。端末のデザインを一新したことや、海外市場にも注力している点から、従来のイメージとは異なる戦略に至ったと考えたい。

 また、積極的な日本向けローカライズで人気を集めるOPPO Reno Aシリーズの最新モデル「Reno11 A」も今回はイヤフォンジャックの採用を見送っている。こちらはベースモデルをグローバル向けの機種としたことで円安下でもコストを抑えており、その影響だと考えられる。

microSDメモリカードや有線イヤフォン イヤフォンジャックを廃した2024年のAQUOSシリーズのスマートフォン
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  5. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  6. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  7. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  8. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  9. NHK ONE、簡単には「閉じられないメッセージ」表示へ 目的は“NHK受信料”の徴収 なぜ強引な仕様に? (2025年11月12日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー