ここまで見てきてイヤフォンジャックやmicroSDスロットを廃止する流れはハイエンドにとどまらずミッドレンジでも現れている。
ただ、これらの背景にはワイヤレスイヤフォンの高性能化、高音質コーデックの登場。ストレージの大容量かつ廉価化、5G通信による大容量高速通信の普及がある。イヤフォンジャックやmicroSDメモリカードについては、これらの代替え手段がある程度整ったことも端末側の変化に影響している。
PCの端子類がUSB Type-Cに変わったのと同じように、スマートフォンも時代に合わせた必然的な変化と評価していいだろう。一方で、これらの機能を求める場合の選択肢が少なくなっており、機種変更の際には利用できる機種を見極める必要がある。
スマートフォンからイヤフォンジャック、microSDスロットといった穴が廃止されれば、次は「物理的なSIMスロット」がeSIMの台頭によって廃止されるかもしれない。既に米国向けのiPhoneはeSIMのみの仕様で販売されており、物理的なスロットは備えない。日本でも2024年春に発売されたiPad ProはeSIMのみの仕様となるなど、変化が起こり始めている。
Androidスマートフォンでは数は少ないものの、日本では楽天モバイルの「Rakuten Hand」や「Rakuten mini」といったオリジナル端末がeSIMのみの仕様だったことは記憶に新しい。
物理的なSIMスロットの廃止。この流れがすぐに日本でも来るとは考えにくいが、iPhoneでも前例がある以上は「絶対にない」とはいえない。日本では大手4キャリアがeSIMに対応し、MVNO各社も対応しつつある。eSIMのみの端末を利用する地盤としては十分なものだ。時間等の制約で使いにくい現状の手続き面も、eSIMのみの端末が普及すれば改善される可能性は高い。
イヤフォンジャックもmicroSDスロットといった物理的に親しんだものがなくなったり、大きく変更されたりすると最初は戸惑いがあるかもしれない。それでも時代を追うごとに改善していったのが世の常だ。
microSDスロットやイヤフォンジャックが時代の流れと共に廃止される機種が多い中、同じような理由で物理的なSIMスロットが多数のスマホからなくなる日もそう遠くないのかもしれない。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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