本イベントでKDDIとソニーが工夫していたのは、専門用語を多用せず体験ベースでXperia 1 VIの魅力を伝えたことだ。メーカーやメディア向けのイベントによってはスペックや機能の説明で終わってしまうところ、一般参加者が集ったということもあり、魅力がより分かりやすく伝わってきた。その狙いは何だろうか。
ソニーで商品企画を担当する八木隆典氏は「メディア向けのイベントとは違った説明をした」と明かす。「メディア向けのイベントではXperia 1 Vからの変更点として、4Kかつ21:9の廃止や、複数あったカメラアプリの結合を挙げていたが、本イベントにはXperiaを持っていない方もいらしていたため、優先度を下げて話をした」(八木氏)
Xperia 1 VIはAIを活用して人間の骨格を認識し、被写体を追従できる「姿勢推定技術」を搭載している。人の骨格を学習させたことで実現した機能だが、本イベントではあえて「プレゼンテーションに含めないようにした」(八木氏)という。
体験を重視したイベントとしたのは、「AIへの理解や関心のあるメディアと違い、一般の方々にとってはAIがどうなっているのかというよりも、結局、何ができるか(体験のところ)が大事だから。まだこの内容が世の中というか、エンドユーザーまで届ききっていない」(八木氏)ためだという。
では、KDDIがソニーと本イベントを共同開催した狙いは何だろうか。
KDDI パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部の近藤隆行氏は、「お客さまによりスマートフォンの魅力を知ってほしい、という思いから、ファンイベントを開催している。最初の頃は開発者の方と実際にお客さまが直接、やりとりをしたり、Q&A形式で質問に答えたりしていたが、2023年から今回のような体験イベントを開催している」と話す。
八木氏は「Xperia 1 VIの体験会を5月17日に開催し、この日はメディアの方々だけでなく、ロイヤルカスタマーの方々にもお声がけをした。Xperiaの価値を実体験で伝えたいというわれわれの思いとKDDIさんのお考えが合致したため、本イベントの開催に協力した。お客さまの反応を見られるのは貴重。このような場を設けることで、カメラやオーディオについて、今お持ちのスマートフォンと比較してもらえる。そのリアルな反応を確認できる」とした。
スマートフォン市場を見ると、部品数の増加や多機能化、半導体不足などを背景に、Xperia 1 VIをはじめとするハイエンドモデルは、高騰化に歯止めがかからない。加えて、2020年以降はコロナ感染拡大防止の観点から、多くの人が密集するイベントの開催に踏み切れずにいた。
こうしたいくつもの要因が重なり、ここ数年では特に「スマホの価格高騰」というワードが一人歩きし、メーカーとして本当に伝えたい、体験価値が十分に伝えづらい感があった。
今後、KDDIとしては他のメーカーとの共同開催も考えているという。「カメラやそうでない魅力をお客さまにお伝えできる場を増やしていきたい。KDDIとしてはさまざまな端末を用意している。複数のメーカーが一堂に会す体験会を検討していきたい」(近藤氏)
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