KDDI側の対策としては、会場周辺の既存基地局を5G(NR)化。さらに会期中は基地局車を3台導入して通信環境の改善を図った。こちらもNR化したことで通信容量が前年比で1.6倍となった。さらに1台にはMassive MIMOを導入することで、従来よりも安定した通信を目指した。
これに加えて、Starlink導入も考慮したエリア設計をして、混雑エリアのトラフィックをStarlinkに逃せたことで、基地局のトラフィック増を緩和できたという。同社はミリ波アンテナを搭載した基地局車も投入したが、Massive MIMOアンテナの効果を測定して、効果が高いと判断すれば今後はミリ波ではなくMassive MIMOアンテナに置き換える(排他のため)考え。
今回、実際に現地でスピードテストの測定をしてみると、比較的良好なau回線に対して、他キャリアではエラーになることもあり、来場者の通信を制御し切れていない様子がみて取れた。
ただ、イベント全体としては人が多く集まる飲食エリアやクロークエリア、テントエリアにStarlinkを配したことで、「少し移動してWi-Fiがつながれば通信ができる」という状況になった。その結果、問題を指摘する声が減ったというのが運営側の分析だ。
ちなみにKDDIではブースも設けており、最もニーズが高いという充電スポットに加えてフォトスポットを用意。係員がPixelで撮影して、編集マジックを使って補正した画像を提供する、というサービスを行っていた現代では、夏フェスのような大型イベントでは、安定した通信環境が不可欠になっている。「ここまでの広大なエリアでWi-Fiがつながるようなサービスを提供しているフェスは他にはない」と運営チーフは胸を張り、「そもそも暑くて決して快適ではない」(同)という野外フェスにおいて、トイレ、飲食と並んで通信においても快適さを提供することで、イベントのイメージ向上や集客につなげていきたい考えを示している。
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