―― 確かに、言語を切り替えると全然詳しいことが書いてなかったりすることはありますね。
梅川氏 弊社は国籍でいうとフィリピンが一番多いのですが、ベトナムやインドネシアがそれに続き、最近ではネパールも増えています。特に技能実習生はベトナムから来る方が多く、最近ではコンビニなどでも働いています。ただ、ベトナムの方は英語ができないことも多い。日本語は勉強してから来るのである程度の会話はできますが、携帯電話のサービスには難解な言葉が使われていることが多い。IT系だと片仮名も多いですからね。
Smilesはもともと8つの言語に対応しています。Smiles Connectはその中で利用割合の高い、英語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語の4言語に対応しています。コンテンツは全て翻訳してある他、ユーザーサポートもネイティブの言語で対応できるようにしているのが売りの1つです。
SIMカードを入れてAPNを設定してというのも、自分の言語ではないとなかなか分かりづらいですからね。ユーザーにとってもネイティブの言葉でサポートを受けられるのは大きい。外国人の不安を解消することには力を入れています。
―― とはいえ、銀行口座やクレジットカードがないと、そのまま滞納されてしまうリスクもあると思います。何か対策は取っているのでしょうか。
梅川氏 外国人の方は在留期限が決まっているので、更新しない限り延長ができません。事業的には、そこがリスクではあります。こうした事情もあり、外国人向けのSIMカードのサービスを提供されている会社は他にもありますが、どうしても料金が高めです。ただ、それらと同じサービスをしても意味がありません。弊社はなるべく安い料金で提供したいと思っていたので、初期費用としてあらかじめいくらかデポジットを入れていただき、一定期間使っていただいたらお戻しする仕組みにしています。その結果として、月額料金に関しては、日本人が一般的に契約するMVNOと同等レベルにすることができました。
―― 銀行口座やクレジットカードの契約がしにくい外国人向けという前提だと、料金の回収が難しくなりそうです。ここはどのように解決しているのでしょうか。
梅川氏 弊社の送金サービスはウォレット型なので、海外送金するための残高があります。それで決済ができるようにしているので、入金方法は海外送金と同じです。今は4つの銀行と提携していますが、ATMや銀行振込でウォレットに入金いただければ、その残高でモバイル通信の料金も支払えるようになっています。新たな支払い方法を追加する必要はありません。お客さまの課題となっていたことがまとめて解決でき、相性もいいと思います。
―― 契約は、Smilesを使っている方に限定されているのでしょうか。
梅川氏 送金サービスのモバイルアプリの中から申し込みや計画内容の確認、手続きができる形を取っています。携帯電話、特に音声通話付きの場合、本人確認が必須になっていますが、外国人だとその部分のハードルが高くなります。弊社の場合、送金サービスは資金移動業者のライセンスで提供しており、そこで本人確認を行っています。その確認が完了していれば携帯電話も契約できる形で、楽天モバイルがやっているもの(楽天カード、楽天銀行などの契約を生かして本人確認を簡略化する仕組み)と同じですね。
逆に送金サービスに登録していない方は、(携帯電話用の)本人確認が終わると、自動で会員登録がされSmilesを利用できるようになります。その意味で、現状はSmilesとSmiles Connectは一体となっているといえます。ただ、送金サービスだけは他社のものを使いたいという方も当然いらっしゃいますので、この辺の設計は追って変更し、分離していきます。通信だけで契約できるようにする構想はしています。
―― 母数の大きい送金サービスのユーザーに通信を提供するビジネスモデルだと思いますが、逆に通信で獲得したユーザーを送金のサービスにつなげていくような狙いもあるのでしょうか。
近藤氏 はい。実際、ローンチのころから、Smilesを使っていない方が入ってくださることもあります。通信の方に魅力を感じて入ってくださるようです。そういった方々が別の送金サービスから弊社の送金サービスに移行できるよう、アプリ内でポイントの付与も行っています。そのポイントは現在、送金サービスで使えるようになっていますが、ゆくゆくはSmiles Connectにも対応していきたいですね。お手頃に、両方を使っていただければと考えています。
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