まだまだ残暑が続く中、スマートフォンの発熱について気にする人もおおいだろう。今回は主に直射日光をはじめとした外的要因でスマートフォンが発熱する際に「ケースの色」でどれだけ変わるのかといったところを実験していきたい。
黒いスマートフォンよりも、白いスマートフォンの方が発熱しにくい。その理由として、黒という色が最も多くの光(電磁波)を反射せずに吸収してしまうことが挙げられる。この結果、熱放射によって多くの電磁波を吸収した物体は「熱を持つ」状態になりやすくなる。
熱放射は日常的に体感する場面も多い。ストーブを炊くと部屋が暖かくなる。日陰から日向に出ると暖かく感じることも、全て熱放射によるものだ。
今回はスマートフォンの色が熱放射にどう影響するかを実験した。日常的に過度な熱放射を感じやすい場面を想定して、車内のダッシュボードに携帯電話を置いて実験を行った。
前提条件として、スマートフォンのケースは黒と白の2つのパターンを用意する。それぞれ表面温度が30度前後の状態から表面温度の計測を始め、炎天下のダッシュボードに15分置いた際のケースの表面温度を計測した。
また、端末の負荷として、動画撮影させた状態で放置し、何分間記録できるか合わせて実験した。今回使用した機種はiPhone 8だ。その結果以下のようになった。
黒いケースの表面温度は15分後で60度以上を計測した。動画も7分52秒で記録終了しており、スマートフォンは発熱から本体を保護するための、機能制限がかかったモードになっていた。
その一方、白いケースの表面温度は15分後でも50度前後にとどまった。動画も15分の検証時間内は記録されていたので、厳しい環境でもきちんと動作してくれたことになる。 高温のためフラッシュが利用不可などの機能制限かかっていたものの、スマートフォン自体は利用することができた。
今回の実験では、黒いケースよりも白いケースの方が熱放射による発熱が抑えられることが分かった。通説で言われている「白いスマートフォンは発熱しにくい」という評価は、熱放射に限定すればその通りになった。
基本的に暗い色ほど電磁波を吸収するため、熱放射の影響が大きいものと考えられる。少しでも熱放射による発熱を軽減したいなら、比較的明るい色のスマートフォンケースを選ぶとよさそうだ。
この結果から、真夏のスマホの冷却を考えるのであれば、取りあえず「白いケース」を装着すれば、熱放射による本体の発熱をある程度軽減することができる。それでも厳しいようなら、外付けの冷却ファンなどを使うことをお勧めする。
黒いケース以外に熱放射の影響を受けやすいケースは、背面や側面が金属製のケースだ。特に「バンパーフレーム」などの金属製フレームは高温になりやすい。手帳型のケースは熱がこもってしまう傾向があることも片隅に置いておこう。
かつてはiPhone 7やXperia XZシリーズのように金属筐体のスマートフォンが多くあり、これらの機種は熱放射の影響を大きく受けていた。近年のスマートフォンはガラスパネルになるなどの変化はあるものの、依然として熱放射の影響は受けている。
一方で、今のスマートフォンはほぼ全画面の端末が多く、画面側は基本的に真っ黒だ。そのため画面側を上にして直射日光の環境に置いた場合は、黒いケースを装着した場合とほぼ変わらない状態となる。この点は注意してほしい。
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