あまりの安さに注目を集めるワイヤレスイヤフォンがXiaomiの「Redmi Buds 6 Play」だ。税込み1380円という破格の安さでネットユーザーを中心に注目を集めている。今回はこの製品に対して価格の近い「ライバル製品」と評価される、ダイソーの税込み1100円ワイヤレスイヤフォンと比較してみて、どのような差があるのかチェックした。
まずは、両者の性能をおさらいしよう。両者の性能は以下にまとめる。
Redmi Buds 6 Playは10mm径のダイナミックドライバーを採用。音はXiaomi Acoustic Labsでチューニングされたものとしている。これによって上位機種で採用したチューニングを可能な限り廉価モデルにも反映させており、安い機種でも「音がいい」という評価につなげている。
Xiaomi自体も有線イヤフォンの「Pistonシリーズ」を展開しており、ワイヤレスイヤフォンは日本でも複数機種を展開している。イヤフォンのサウンドチューニングは10年以上のノウハウがあるのだ。
一方でダイソーの1100円イヤフォンは「DG036-02」を選択した。こちらは8mm径のダイナミックドライバーを採用。サウンドについては「日本人技術者がチューニングした日本人向けの音質」としている。この手の製品はコストを抑えるため、中国などで販売されている廉価な機種をそのまま持ってくることも多いが、今回の製品は日本向けにローカライズが図られている。
チューニングの意図も「高音域、演奏、ボーカルの解像度を高め、音のつややかさを強調しながらバランスを取りつつ中低音域の力強さと切れのいいリズム感を演出しました」とある。これに加えて「ボーカルの伸びを意識し、高音の余韻に浸れるように調整いたしました」と続いている。
正直なところ、ダイソーのイヤフォンでここまでチューニングの意図が記載されているものはなく、ただ安いだけの商品ではないことが伝わってくる。
両者共にコーデックはSBCのみ対応だ。こちらは音声の基本コーデックなので、スマートフォンに限らず、多くの機種で利用できる。ある意味で接続機器を選ばずに使用できるのだ。
さて、両者の音を聞いてみよう。まずはダイソーのイヤフォンからチェックしたところ、アピールしている文言通り高域に抜けがありつつ、ボーカルの解像感もしっかり備えるサウンドだ。廉価な機種では抜けてしまう低域も量感がしっかりとある。
ひと昔前のダイソーイヤフォンに多い「聴けるだけ」からしっかり進化している。いい意味でダイソーの製品とは思えないくらい「ちゃんとチューニングされたサウンド」だった。特段こだわりのない方なら「これで十分」と思えるくらいだ。
続いてXiaomiのRedmi Buds 6 Playを聴いてみる。高域の抜けのよさ、ボーカルの解像感、低音の量や質感をはじめ、あらゆる部分がダイソーのイヤフォンよりもワンランク上にアップデートされた印象だ。正直この価格のイヤフォンとは思えないサウンドで、3000円前後の機種とも対等レベルなのかと思うくらいだ。
ワイヤレスイヤフォンの場合、信号を処理するプロセッサと音響ユニットのアナログ部をあわせ持つことから、耳に収まる単一のオーディオシステムと評価することができる。ドライバーユニットや音響空間といったハードウェアはもちろん、ソフトウェアによる音響チューニング(DSP処理)も聴感的な「音のよさ」に占めてくる割合も大きいのだ。
今回のRedmi Buds 6 PlayもXiaomi Acoustic Labで研究されたサウンドチューニングだ。このあたりのソフトウェアチューニングは、スマホメーカーとしての知見がふんだんに生かされていると感じた。イヤフォンの価格差は280円だが、筆者としては金額の数字以上にサウンドクオリティーには差があるように感じた。
音切れや遅延については両者同等クラスと感じた。コーデックもSBCのみで昨今の高音質伝送を行う高級機と比較すると、伝送するデータ量が少ないので音切れは少なかった。
Redmi Buds 6 Playの優位性として、サイズの異なるイヤーピースが3サイズ付属していることを挙げたい。これによって幅広い利用者の耳に応えることができる。ダイソーのイヤフォンでは1サイズしか付属していないため、うまくフィッティングできない場合は別途購入する必要がある。
ワイヤレスイヤフォンの場合、ケースに収容する関係で通常のイヤーピースよりも軸の短いものが必要な場合がある。その場合は一般的な製品が流用できず、ワイヤレスイヤフォン向けのものを選ぶ必要がある。そのようなものは高価なこともあり、ダイソーの持つ「コストパフォーマンスの高さ」を相殺してしまう可能性がある。
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