そもそもオリーブグリーンの誕生に至ったのには、TORQUEシリーズに根強いファンがいるだけでなく、ユーザーからの強い熱視線や要望があるようだ。京セラ 通信機器事業本部 通信技術部 プロダクト戦略部 責任者 伊藤恭弘氏は「カラーをユーザー自身で変えるという発想は、ユーザーによる発信が多いと思う。中には自ら部材を購入して塗装する人もいる」と語る。
KDDIで、2005年から最新のTORQUE G06に至るまで、KDDIとして販売してきたタフネスモデルに関わっている、パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部の近藤隆行氏は「このプロダクト(TORQUEシリーズ)を趣味嗜好(しこう)で使う人もいれば、仕事で使われる人もいる。性能や価格が重視される一方で、カラーの要望もあるため、今回は、外装交換だけでなく、シールでカスタマイズできるようにした。皆さんからのご要望に少しずつお応えできるよう、手探りでイベントの内容を企画した」とイベントの企画意図を述べた。
こうしたファンの熱量の高さから、京セラは以前、「WebページでTORQUE G06のサイズを公開し、それをもとに型取りをして、シールを貼り付けられるようにするトライアルも行った」(伊藤氏)ことがあるという。
京セラが、TORQUE STYLEでの10周年記念カラー投票で、オリーブグリーンだけでなく、イエローやブルー、近年では類をあまり見ないベージュも用意した。
会場の隅に置かれたクリアケースの中には、実物には至らないものの、モックアップとして作られたレアカラーが展示されていた。これらは、TORQUE STYLEでの10周年記念カラー投票企画の候補色。「TORQUEシリーズの過去モデルに近いカラーはイエロー、ホワイト、ブルーで、最近のトレンドカラーであるアースやミリタリーの系統として用意したのがベージュ、オリーブグリーン、グレー」(伊藤氏)という。
これらは発売には至らないのだろうか? ズバリな質問をぶつけたところ、伊藤氏は「新色の台数をあまり作れないと、販売価格が高くなってしまう」とした上で、「京セラとして限定的に作れる数を、イベントで展開していくのが実情」だと話した。KDDIの近藤氏も、「提供方法を変えていくことを考えなければ、ここから先は難しい。行き詰まっているところにまできているのかもしれない」と続けた。
とはいえ、このような事情がある中で、京セラが「TORQUEシリーズで重視する一体感」(伊藤氏)を壊さないようにと、考え抜いた苦肉の策が「外装交換」だったようだ。京セラとKDDIは3月16日のファンイベントで、背面カバー「スプリット」を発表し、auオンラインショップにて5500円(税込み)で販売している。ベースカラーはレッドだが、「風を切るスピード感や、泥水を弾き飛ばす打撃を表現した柄」となっている。
タフさだけでなく色やカバーなどのアクセサリーに至るまで、京セラとKDDIだけでなくユーザーによる強いこだわりが伝わってくるTORQUEシリーズ。他のモデルにはない熱量の高さがうかがえるだけに、新色の製品化には至りづらい現状には切なさがある。TORQUE G07(仮)が出るかどうかも定かではないが、ユーザーの声が反映されたカラーが採用され、実際に店頭に並ぶ日を楽しみに待ちたい。
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