その分、iPhone SE(第3世代)より価格は上がってしまった。iPhone SE(第3世代)は5万7800円(64GB版)からで、iPhoneとしては破格の安さだったのに対し、iPhone 16eは9万9800円(128GB版)からと、よりハイエンドモデルらしい価格設定になっている。iPhone SE(第3世代)にあった64GB版がないため、ストレージ容量をiPhone 16eの最小構成である128GBにそろえても、発売当初の価格は6万3800円から9万9800円の値上げになっている。
仕様面が充実したことが1つと、円安ドル高の為替相場が反映されたのが、その理由とみていいだろう。前者は、為替の影響を受けづらい米国での価格から推察できる。iPhone SE(第3世代)の128GBは、米国でiPhone 16e発表の直前まで、479ドル(米国価格は税別、以下同)で販売されていた。これに対し、iPhone 16eは599ドルと、120ドルほど値上がりしている。iPhone SEのような格安販売はやめ、よりスタンダードモデルに近づけたというわけだ。
ただし、iPhone SE(第3世代)の発売時点よりも為替相場が大きく円安方向に振れているため、日本での値上げ幅は3万6000円にもなっている。直近の価格である6万9800円との比較でも、値上げ幅は3万円になる。120ドル(現時点で約1万8000円)以上の値上げだが、これは、iPhone SE(第3世代)に直近の為替レートが反映されていなかったためだ。日本では、意図的に安く販売していたといえる。
対するiPhone 16eは、現時点での相場に近い為替レートが設定されている。2月21日時点の為替相場をそのまま当てはめると、599ドルは約9万円。9万9800円から消費税を除いた9万727円に限りなく近づく。機能性の向上だけで価格が上がった米国に対し、日本では為替相場の反映も値上がりの大きな要素といえる。円安ドル高はコントロール不能な要素で、Appleにとっても不運だったが、以前のように、気軽に買えるハイエンドモデルではなくなってしまったのは少々残念だ。
もっとも、iPhoneはリセールバリューが高く、キャリアの残価設定型購入プログラムで免除できる金額は大きくなるため、実質価格は抑えやすい。免除できる残価の基準となる買い取り価格を公表しているリユースモバイル・ジャパン(RMJ)の資料によると、先代のiPhone SE(第3世代)、128GBは、24カ月目で3万9009円の買い取り価格がついている。発売時点での価格を元にした残価率は約61%。同じ基準でiPhone 16eを下取りに出せれば、6万円程度は免除できる計算になる。
さらに、キャリアには最大4万4000円までの割引が認められている。ここまで加味すれば、価格を毎月1円程度まで下げることも不可能ではない。一括で買える気軽さは失われてしまったが、端末購入プログラムであれば、比較的、負担を抑えることができる。シングルカメラとはいえ、プロセッサにA18を採用した端末としては十分リーズナブルに提供できるというわけだ。
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