「iPhone 16e」実機レビュー カメラや処理性能、独自モデム「Apple C1」による通信品質はどうか(2/2 ページ)

» 2025年02月27日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2       

処理能力はiPhone 16譲りでメモリもSEから倍増、ただしこれは廉価なのか

 iPhone 16と同じ「A18」を搭載していることもあり、処理能力は高い。ただし、CPUはiPhone 16と同じ6コアなのに対し、GPUはコアが1つ少ない4コアになっている違いがある。iPhone 16 Proに搭載されていた「A18 Pro」はGPUも6コアという違いがあった。同じA18という型番だが、グラフィックスの処理に関してはiPhone 16とiPhone 16 Pro程度の違いはあるというわけだ。

 実際、ベンチマークでもその違いが浮き彫りになった。「Geekbench 6」で計測したiPhone 16eのシングルコアスコアは3343、マルチコアスコアは8226で、この数値はiPhone 16 Proと大きくは違わない。対するGPUのMetalスコアは、iPhone 16 Proが3万3337だったのに対し、iPhone 16eは2万4226と、9000点程度の差があった。筆者の過去記事を参照すると、iPhone 16は2万6583だったので、それより低い数値だ。とはいえ、その差は小さく、GPU性能をギリギリまで使うゲームなどをしなければ、体感はできないだろう。

iPhone 16eiPhone 16e CPUのスコアはiPhone 16とほぼ同じだった。メモリ容量も、iPhone 16に合わせてきた格好だ
iPhone 16e 1コア少ない分、GPUのスコアは低めに出た。ただし、これでも十分な処理能力であることに変わりはない

 ちなみに、Geekbench上ではメモリ容量が8GBと表記されていた。この容量は、iPhone 16などと同じ。iPhone SE(第3世代)からはもちろん、「iPhone 15」からも底上げされていることが分かる。iPhone 16eは、Apple Intelligenceに対応したモデルだが、これを駆動させる上で必要な要件を8GBに設定していることが分かる。この点では、廉価モデルとして大きなスペックアップを果たしたといえそうだ。

 iPhone 16eは、初の独自開発となる「Apple C1」モデムを搭載していることでも話題になった。試用した際には、ドコモのeSIMおよびOCN モバイル ONEのSIMカードを利用したが、どちらも基本的な動作には問題がなかった。別のドコモ回線から電話してみたが、きっちりVoLTE(HD+)でつながり、音声もクリアだった。通話中にデータ通信が途切れるといったこともない。使い勝手の面では、Qualcomm製のモデムを搭載していた従来モデルと変わりはない。

 5Gにもきちんと接続できた。比較用に、ドコモの「Galaxy Z Fold6」と速度を比べてみたが、渋谷の街中で200Mbps以上を記録していた。ただし、iPhone 16eは大手3キャリアの1.5GHz帯に非対応。ドコモ回線の場合、LTEのBand 21を利用できない。こうした事情もあり、場所によっては速度が半減してしまうケースもあった。

iPhone 16eiPhone 16e Band 1に接続し、23Mbps出ていたが……
iPhone 16eiPhone 16e 同じ場所でBand 21につながったGalaxyは、60Mbps近くまで速度が上がった

 例えば筆者の事務所内(東京都渋谷区)やその周辺の飲食店では、ドコモのBand 1(2.1GHz帯)、Band 3(1.7GHz帯)、Band 21(1.5GHz帯)を代わる代わるつかむことが多い。電界強度を見ると、周波数が高い分、Band 1だとやや接続状況が悪くなる。この際に、GalaxyはBand 3もしくはBand 21をつかみ、かつキャリアアグリゲーションすることで速度が60Mbps程度まで上がっていたが、iPhone 16eはBand 1をつかんだまま離さず、23Mbps程度にとどまってしまっていた。

 これでも十分通信はできるため、大きな問題はなかったものの、よりトラフィックが逼迫(ひっぱく)しているようなエリアでは、もう少し差が出てしまう恐れがある。少なくとも、対応周波数が多い機種よりは不利になることは間違いない。東名阪は上記のようにBand 3があるため速度は出しやすいが、それ以外の都市部ではBand 21に頼らざるを得ないケースも存在する。Band 21はiPhone SE(第3世代)でも対応していた周波数帯。ここが省かれてしまったのはやはり残念だ。

iPhone 16e 上記はBand 21非対応端末に厳しい環境であえてテストしたものだが、5Gにつながれば、速度的にGalaxyを上回ることもあった。総じて普通に通信はできたため、大きな問題にはならないだろう

 冒頭から廉価版と書いてきたものの、128GB版が9万9800円(税込み、以下同)の端末を廉価と呼んでいいのかどうかも、正直悩ましかった部分だ。iPhone SE(第3世代)は堂々と廉価版と書けたが、iPhone 16eの約10万円はもはやハイエンドの価格帯だ。iPhone 16との価格差は約2万5000円。この価格差なら、個人的にはより多機能かつ、デザインも洗練されたiPhone 16を選ぶ。

 ただ、UQ mobileやY!mobileのようなサブブランドを使っていると、キャリアで機種変する際にiPhone 16という選択肢がない。キャリア版はMNPを組み合わせることで、実質価格も限りなく無料に近づけているため、取りあえず最新のiPhoneを(安く)使っていたいと考える人には、安心してお勧めできる端末に仕上がっている。子どもや親に持たせるにも、いい端末だ。お勧めできる人は選ぶかもしれないが、iPhoneの裾野を広げる効果はありそうだと感じた。

iPhone 16e サブブランドには、iPhone 16という選択肢がない。手に取りやすく、間違いのないiPhoneを求めるユーザーには響きそうだ

(製品協力:アップルジャパン

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月30日 更新
  1. スマホの「SIM組み合わせ」を3カ月で3回も変えた話 楽天モバイル→日本通信→Y!mobileからの移行先を思案中 (2026年06月29日)
  2. 松屋の券売機が「思いのほか使いやすかった」 それでもネットで不評なのはなぜ? (2026年06月29日)
  3. ティム・クックCEOが「もはや限界」と値上げに言及――すでにAndroidでは値上げラッシュが始まる (2026年06月28日)
  4. 「モラルが欠如している」──LINE安否確認で“悪ふざけ”、SNSで批判の的に (2026年06月26日)
  5. 「EV=長距離は不安」は本当か テスラ・モデルYで東京〜大阪を走破して分かったリアル (2026年06月29日)
  6. ワイヤレス全盛期に「有線イヤフォン」が再注目される理由 (2026年06月30日)
  7. ダイソーで770円の「備えラジオ」は“備える”以上に”ノスタルジック”だった件 目的に徹したシンプルさが懐かしさを呼ぶ (2026年06月27日)
  8. ヨドバシ池袋出店で幕を開ける「新・家電三国志」 ヤマダ、ビックはどう迎え撃つのか (2026年06月30日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. ソニー「aiboはやめません」──“次の開発”も明かす オーナーに「安心してください」と呼びかけ (2026年06月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー