メルカリが3月4日、MVNO事業に新規参入し、「メルカリモバイル」の提供を開始した。メルカリモバイルは、フリマアプリのメルカリで誰でも簡単に申し込みを完結でき、データ容量をメルカリのように出品、購入できる機能が大きな特徴で、「これまで以上にスマートフォンを柔軟でお得に利用できる」という触れ込みだ。
同日開催の記者発表会場には、メルカリ 執行役員CEO Fintech 兼 新規事業責任者 永沢岳志氏が登壇し、新サービスの概要やMVNO事業への参入意図を語った。
サービス開始当初の料金プランは2種類のみで、2GBで月額990円、20GBで月額2390円となっている。ユーザーは、音声通話、SMS、データ通信の各サービスを利用できる。サービスは、まずiOSアプリから段階的に利用できるようになり、Androidアプリでも順次利用可能になる。
メルカリモバイルでは物理SIMの選択はできず、「当初はeSIMのみでの提供」となる。契約時の本人確認はマイナンバーカードをスマートフォンの背面にかざして行う。店頭などでのいわゆるオフライン契約について、永沢氏は「今のところ予定はしていない」という。
サービスで利用する回線は当初はドコモのみで、今後au回線も追加予定という。なお、メルカリがドコモの設備と直接接続するのではなく、MVNE(MVNOのための一次卸受け会社)を介した接続となる。永沢氏は、「MVNE事業者名は非開示」とした。MNOになるかどうかについては、「初期投資なくキャリア(MNO)の回線を借りられる」ことを理由に、現状はメルカリ独自に回線網や設備を整備する「MNOの立場にはならない」考えを示した。
メルカリは、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」ことを掲げており、フリマアプリのサービスを2013年に開始した。「自宅にある使わなくなったものを、誰でも簡単に売買できる体験」がメルカリの最大の武器といえる。永沢氏によると、「月間利用者数は約2300万人、年間流通総額は1兆円を超えるマーケットプレース」となっている。
2021年には、「メルカリShops」を開始し、個人間の取引だけではなく、事業者がメルカリを通じて販売できるようにした。2025年現在は、「年間約2.7倍のスピードで成長している」という。「直近では、越境取引という形で日本だけではなく、約120カ国の人がメルカリに出品されたものを購入できる」ようにしている。
メルカリが、こうした「物の循環」と並行して推進してきたのが、「お金や信用の循環」だ。2019年には、スマートフォン決済サービス「メルペイ」の提供を開始、メルカリの売上金を「メルカリの中だけでなく、外でも使える」ようにしてきた。利用者数は累計で1800万人を超えている。メルカリとメルペイの利用実績にもとづく独自の与信を活用したクレジットカード「メルカード」は、発行開始から2年間で400万枚の発行に至っている。
2023年には、メルカリアプリ内でビットコイン取引ができるサービスの提供を開始し、メルカリの売上金をビットコインやイーサリアムといった暗号資産に変換して保持できるようにした。暗号資産口座数は300万口座を超えており、「日本最大の事業者となっている」という。
2024年からは、スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」を提供しており、 「一人一人が持つ時間やスキルを価値に変え、働くということをより、気軽に身近にしている」という。2025年2月には、サービス開始から1年弱で登録者数が1000万人を突破したと発表し、「多くの人が空き時間を価値に変えている」としている。
「あらゆる価値を循環させる」というメルカリのミッションが各サービスに反映されている。これらの事業について、永沢氏は「単体で成長していることだけでなく、相互に各サービスを利用されていることも重要だ」と話す。
永沢氏は各サービスの利用シーンの一例を次のように述べる。「メルカリで欲しいものがあるときに、手元にお金がなくてもメルペイでまずは支払って後払いにするで、その後払いを例えばメルカリハロで働いたお金で返すといった形の複数のサービスの利用だったり、メルカリで売って得た売上金をすぐに扱わないでビットコインにして保持しておいて、ビットコインでメルカリでお買い物をする」 このようなことがメルカリアプリ1つで完結するのもメルカリの強みといえる。
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