メルカリがMVNO事業に参入したワケ 売買したギガは「繰り越せない」が、ニーズを満たせると判断(2/3 ページ)

» 2025年03月04日 16時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

なぜメルカリがMVNO事業に新規参入したのか MNO事業への参入は見込んでいない

 メルカリのサービスに欠かせないのが、スマートフォンの端末と通信サービスだ。このセットがなければ、メルカリは成立しない。メルカリが新たに目を付けたのは通信サービス。個人間でものを売買するメルカリの仕組みを、通信サービスにうまく落とし込んだといえる。なぜ、いま端末ではなく通信サービスなのか、それもMVNOサービスを選択したのだろうか。永沢氏は調査データをもとに解説する。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 「あらゆる価値を循環させる」メルカリの各サービスは、スマートフォンと通信がなければ成立しない。メルカリはサービス利用の軸といえる通信に着眼点を置いた

 2010年代にスマートフォンが広く普及して以降、大手キャリアのサブブランド、MVNOサービスが増加し、通信契約の選択肢が広がった。国内の携帯電話市場を見ると、2020年に楽天モバイルが正式にMNO事業を開始して以降も、依然として大手キャリアのシェアは大きいが、2021年3月末時点から2023年12月末時点にかけて、後発の楽天モバイルやMVNOのシェアが伸びており、こうした現況はメルカリにもチャンスと映った。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 国内の大手キャリアとMVNOの市場シェア。後発の楽天モバイルやMVNOのシェアが年々伸びている

 一方、外部機関による18〜69歳の男女522人を対象としたインターネット調査によると、「スマートフォンの通信キャリアを変更したことがない」もしくは「変更経験が1回まで」の消費者は64.4%を占めることから、依然として乗り換えのハードルが高いという。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 キャリアを変更した経験がない人、もしくは1回しか変更経験のない人にとって、乗り換えの手続きが面倒であることが乗り換えの障壁となっている

 乗り換えた経験がない人にとってハードルとなっているのが、「乗り換えの手続きが面倒」という点だ。メルカリは「さまざまなサービスを使いやすくする、分かりやすくする」というメルカリと同じコンセプトが通信サービスでも受け入れられると考え、契約から用までをメルカリアプリで完結できるようにした。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 メルカリモバイルはメルカリアプリで契約でき、サービスの利用も同アプリで行う。この手軽さを武器にしている

 一方、永沢氏は「ただ単にサービスを使いやすくしただけでは、お客さまに選んでいただけないのではないか?」と懸念を示す。

 毎月のデータ使用量を把握している、18〜69歳の男女1242人を対象としたインターネット調査によると、毎月のデータ通信量が余っても「特に何もしていない」「繰り越しているが、結局使わず余る」の合計が75.0%、データ量が足りない人のうち45.2%は「毎月追加でデータ容量を購入する」など、契約内容と実際の利用実態にはギャップがあることが判明。加えて、料金プランの柔軟さへのニーズについて聞いたところ、「使い方に合わせてプランを自由にカスタマイズしたい」意向がある人は78.6%に上ったという。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 メルカリは、スマートフォンの料金プランに足りない要素として、「柔軟さ」を挙げている。「毎月のデータを余らせてもったいない」「データの追加購入が割高」と感じる人は、回答者全体の半数を超えており多いことが分かった
メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 月間データ容量が余っている人で「特に何もしていない」「繰越しているが、結局使わずに余っている」という人は75%いた。「足りない」と感じる45.2%が追加購入していることも分かった。裏を返せば、残りの55%が「足りていないのに、追加を我慢している」といえる

 こうした問題を解決すべく、メルカリは「ギガ(データ容量)の売り買いができる、日本初の機能を実装した」と永沢氏は続ける。個人間取引の仕組みはそのままに、売り買いする「もの」が「データ容量」に置き換わったイメージだが、「誰のデータ容量を買っても基本的には中身は同じ」であることから、評価やコメントの機能はない。

メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 メルカリモバイルはデータ容量の売買が最大の売り。メルカリアプリ内からマイページを開き、「売る」「買う」のどちらかを選択する
メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 買うを選択すると、取引可能なデータ容量の一覧が表示される。この中から、最もお得なデータ容量を選択すればいい
メルカリモバイル MVNO ドコモ回線 データ容量を購入する際の画面

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